表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/209

再会

 冒険者組合へ入ると俺はあまりの騒がしさに圧倒された。


 それは楽しそうな騒がしさというわけではなく、まとまりのない嫌な騒がしさだ。


 ようはうるさいってことだ。


「賑やかだな」

「そうだね」


 だいぶ言葉を選んでみた。


 フィオもあまりいい顔はしてない。しかし、お嬢とベクトルは気にした様子もないので都会の組合はこんな感じなのかもな。


 まぁ、ショッピングモールくらいの騒がしさだと思えば大したことじゃない。


 懐かしいな。ショッピングモール。


「宿を取るから付いて来て」

「「はーい」」


 そう言って、お嬢は長テーブルが置かれている広間の横を進み奥の受付へ。


 もちろん、他の冒険者に見られているが別に今更。


 俺たちが奥へ進むにつれて辺りは静まり返っていく。不躾な視線はそのぶん集まるが、あのガヤガヤした雰囲気が散っていくと思うと悪い気はしない。


 俺がそんなくだらないことを考えているうちに受付の前まで来ていた。


 受付の女性はお嬢に「ようこそ」と頭を軽く下げて挨拶をする。


 すると奥の事務員っぽい男性が慌ただしく更に奥へかけて行った。


「宿泊用の部屋を借りたいのと従魔用の厩舎の確保をお願い」

「畏まりました。登録証と名札を確認させていただきます」


 お嬢とベクトルは指示に従い登録証とやらを出す。


 久しぶりに見たなその登録証。ドッグタグのような物で冒険者であることの証明証らしいが、小さな都市では見せることもなかった。なんと言うか、いい加減だった。


 それはともかく、フィオは自分の名札と俺の名札を一緒に渡した。


「二級冒険者ディジー、同じく二級冒険者ベクトルの登録証を確認しました。また、従魔の名札も確認しました。すぐに係りの者に部屋を用意させます。また従魔用の厩舎も係りの者に急ぎ用意させます」

「厩舎は可能な限り綺麗にしてほしいのだけれど」


 そこは大事。


 厩舎だからといい加減な管理をしていたところがどれだけ多かったことか。


 それに従魔用の厩舎なんて殆ど使用されないからまあ汚い。使用率を考えれば仕方ないとはいえ、定期的に掃除くらいはしてほしい。


 今まで本当に酷かった。


「わかりました。係りの者にそう伝えてきます」

「ありがとう」


 しっかりしてるー。


 こんなにしっかりしてる組合職員はそうそういないと思う。というか、今までいなかった。ビビりながら面倒くさそうにするやつかビビりながら焦るやつが殆どだった。


 これは期待できるぞ。それもやはり都会だからかな。


「なんか凄いな」

「ね」

「二級冒険者はそれなりに貴重なので、それが原因かもしれませんね」

「へー」

「露骨だね」


 そういう理由もあるのか。生々しい理由ではあるが理解はできる。


 冒険者なんていつ死んでもおかしくない仕事だ。その中で二級冒険者まで登り詰めた人材はそれだけ貴重なんだろう。


 そう考えるとこの対応の良さも頷ける。組合としてはやめられると色んな意味で都合が悪いんだろう。だからこそのこの好待遇。そして、冒険者としてもこのくらいの好待遇じゃないとやってられないという感じか。


 外から見てる俺としては釣り合いが取れているとは思えない。が、そもそも冒険者というよくわからない仕事を選んでいる時点で釣り合いなど気にしていないのかもしれない。好きなことをするためにこの仕事に就いただけって感じなのかも。少なくともお嬢とベクトルはそんな感じだし。


 まぁ、いろいろと考えたが雑に扱われるよりは丁寧にしてもらった方がいい。


「あとは一級の推薦を貰っていことが既に知られているからかもしれません」

「なるほど」

「もっと露骨だね」


 なるほどね。そりゃ、露骨にもなるか。


 一級がどれくらい凄いものなのかは今だにピンとこないが、組合にとっての目玉商品が増えると思えばなんとなくわかる。どんな依頼もうちの一級お任せって具合なのかもな。


 それをここの職員が既に知っているなら筋は通る。俺たちはここまで徒歩だったけど他の人間は違う。馬車で移動する人間が先に噂を広めれば知られてもおかしくはない。ヒュドラが現れる前なら尚更だ。


「まぁ、どうでもいいか」

「その通りです」


 俺たちはまだ一級じゃないし組合の裏事情を知ったところでなにも変わらない。とりあえず、いろいろと便宜を図ってくれるということを理解していればいいだろう。それ以外は今のところ大した意味もなさそうだしな。


 すると職員さんが戻って来た。けど、なぜかレックスたちも一緒に来た。


「部屋の用意は既に終わりましたが……」

「話があるんだ。付いて来てほしい」

「とのことで……」


 なんかさっさとレックスの雰囲気が違うな。


 別に悪い意味じゃなくて、砕けた感じという意味で。


 とはいえ、早く返事をしないと板挟みになってオロオロしている職員さんが可愛そうだ。


「まぁ、別に構わないけど」

「俺たちも別に」

「うん」


 これといってこの後に予定があるわけじゃないしな。


 話くらいは聞いてもいい。


「ベクトルも当然?」

「ディジーさんの判断に間違いはありませんから」

「だそうで」

「ぶれないねぇ」


 ベクトルも問題ないみたいたから満場一致だ。


 まぁ、レックスと職員さんがポカンとしているが、気にしない。気にしない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ