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援護

「フィオはヒュドラについてどれくらい知ってるんだ?」

「頭が沢山ある」

「見ればわかるわ」


 今もしっかり頭が十個ついてますよ。しかも全ての頭がこっちを見てますよ。


 というか、そんな素人の俺でもわかることは報告しなくて結構です。


 もっと有意義なことを教えてくださいな。


「あとは切ってもすぐに再生しちゃうとか」

「はぁ?! さっき切った足もか?」

「まだ再生してないから、すぐには無理なのかもね」


 有意義なことではあるが予想の斜め上を余裕で超えてきた。


 あと急にファンタジー全開にしないでほしい。再生って……。でもまあ、すぐには再生できないのは本当に助かる。心の底からそうであってほしいと思う。いや、本当に。


 今ヒュドラは右前足なくしてバランスを崩している。なので、睨み合いをしているが、いつ足を再生させて襲いかかってくるのかわからない。


 するとヒュドラはまさかの方法で立ちやがった。なんと頭の一つを無理矢理足の代わりにして立ったのだ。


「こいつ無茶苦茶するな」

「まぁ、必死なんだよ」


 だとしても、あんな立ち方するかね? 足の代わりをさせられている頭はどんな気持ちなんだ?


 それなら足を再生させた方が楽だろうに。


 とはいえ、そうしないってことはなにか理由があるのかもしれない。これからヒュドラを削っていくうえで大切なポイントになるかも。


 俺がそんな考察をしている最中にヒュドラは体勢を整えたらしい。すぐさまフィオに噛みつき攻撃をしかける。


 しかし、フィオはそれを躱してヒュドラの頭を蹴り上げる。


 綺麗に決まったな。


「結構効いてるな」

「でも、まだ八つ残ってる」


 確かにまだヒュドラの頭は八つ残っている。油断はできない。


 しかし、足の代わりをさせられている哀れな頭と今フィオに蹴られた頭は攻撃してこなさそうだ。フィオに蹴られた頭は脳震盪なのかあからさまにぐったりしている。復活するまで少しかかりそうだ。


「また来るよっ」

「おうよっ」


 今度は全ての頭がフィオに襲いかかる。ヒュドラもちまちま攻撃しても無駄だと理解したのかもしれない。これには流石のフィオも躱しきれずに一つの頭に噛みつかれる。


 しかし、怪我はない。俺たち不死身の特攻組はどんな攻撃も効きはしない。特別仕様の体なんでね。


 そこですかさず俺が噛みついている頭の目を潰してフィオを開放する。更にフィオは開放されたついでにヒュドラの眉間に拳を叩き込む。


 あれは痛そうだ。


「さっきの起きてきたね」

「そうだな」


 脳震盪の頭と眉間の頭が入れ替わる。


 順調に頭の数を減らせていると思ったが、わかりやすい外傷じゃないと復活は早いみたいだ。


「どういう仕組みなのかな?」

「わからないな」


 今だに最初に奪った右前足は復活していない。流石に血は止まっているが再生する様子はない。


 別に再生の前兆とかは知らないが雰囲気の話だ。そう雰囲気。


「体の欠損はすぐに再生できないのかもな」

「かもしれないね」


 欠損なら筋は通る。欠損はどうしたって失った分の肉などをどこかから持ってこなくてはいけない。しかし、都合よく肉なんてそう余ってない。ヒュドラの見た目からも肉を蓄えている様子はない。ならば、再生のからくりは大体あっているはず。


「さて、どうするか」

「順番に首を落としていく?」

「それもありだな」


 言い方が少しサイコな感じだが悪くない提案だと思う。再生だなんだと言ってはいたが結局はヒュドラも生き物だ。全ての頭を落としてしまえば流石に死ぬだろう。


 それに最悪死ななくてもヒュドラの解体ショーをしていればいつかは死ぬ。


 そう難しい話じゃない。


「端から落としていこっか」

「そうだな」


 ていうか、別にヒュドラを殺せとは言われてなかったな。なんとなくその気になっていたが逃げてもよかったはずだ。


 なら適当にボロボロにして逃げるのもありだな。どうせ再生するならボロボロになるくらい許してくれるだろう。


 許してくれなくてもするけどね。その方が逃げやすそうだし。


「やっぱり身動きを取れなくするために足をもう一本落とさないか?」

「そうだねぇ……うん?」


 突然フィオがよそ見をした。


 幸いヒュドラは俺たちをかなり警戒しているので襲ってくることはなかった。別に襲ってきたとしても死にはしないのでどうということもないが。


 しかし、フィオが戦闘中によそ見をするとは珍しいな。いつも俺がよそ見をして注意する流れはあるけど、逆は滅多にない。


 フィオの視線の先には北門がある。


 まさかお嬢たちが揉めてるとかではないよな?


 だとしたら、さっさとヒュドラを撒いて駆けつけないといけない。


「どうした?」

「誰か来てる」

「はぁ? マジか」


 この状況で誰か来たってどういうことだ?


 フィオの言うことがうまく理解できなかった俺はすぐに北門の方を見た。


 すると青と金の鎧を身に纏った騎士っぽい人たちがこちらに向かって走って来ていた。


 足速いな。


「援護する!」

「誰?」


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