表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/209

狂魔師サリー

「冒険者って意外に男女平等なんだな」


 俺たちが街道をのんびり進んでいると、男二人に女三人の冒険者一行とすれ違った。


 案の定、もの凄く警戒されていたがそこはいい。今俺が気になったのは冒険者の男女比だ。


「女が多くて不満なの?」

「いやいや、逆だよ逆。大賛成だ」


 男女平等参画社会万歳。


 変に偏っているよりかは遥かにマシだろう。


「男女平等で素晴らしいなと思ってな」

「そう」


 反応薄いなぁ。現地民からするとそんなものなのか?


 でもまあ、もうそれが当たり前なら特に反応するようなことでもないのかもしれない。


 なんというか、日本人が日本語できて凄いねって言われる感じかもしれない。違うかもしれないが。


「平等になるきっかけとかあったのか?」


 革命的な出来事とかさ。もしくは歴史的に偉大な人物の地道な運動とかさ。俺はまだこちらの世界に疎いからその辺りのことが気になる。


 するとベクトルが歩調を早めて隣りに来た。どうやら説明をしてくれるようだ。


「昔、狂魔師サリーという人物が革命を起こしたんです」

「女性の立場向上に向けて?」

「狂魔師サリーなら私も知っている。でも、確かもっと生々しい理由じゃなかったっけ?」

「まぁ、そうですね」


 フィオの質問にベクトルが苦笑いしている。どうやら偉大な功績というわけではなさそうだな。


 というか、狂魔師ってなんだ。そいつは歴史に名を残していいやつなのか?


 それに、フィオから見ても昔ってことは相当昔だぞ。そんな昔から言い伝えられる生々しい理由ってなんなんだ?


「狂魔師サリーって、自分の腕を世界に示すためだけに国を一つ落としたんじゃなかったっけ?」


 ちょっと待て。何だそいつ。


「概ねそうですね。ですが、その目的に沢山の女性が協力し、革命を成し遂げた末に女性の立場を向上させたのも事実です」

「結果的には良かったんだな」


 最初はなんでそんな危険人物に協力したのか疑問だったが、どうやら協力した女性たちは元々腐敗した国の乗っ取りを考えていたので、狂魔師サリーはわかりやすい象徴として選ばれたのだとベクトルが補足してくれた。


 まぁ、副産物とはいえ良い方向に向かったなら良かったな。


「でも、それだけで終わらなかったのよ」

「というと?」

「狂魔師サリーは国を牛耳った後、国費に手を出したんです」


 おいおい、サリーさんなにしちゃってんの。


「なんのために?」

「一言で言うと、自分の腕をより世界に示すためにです」


 凄いな。サリーさん初志貫徹してる。


「しかし、そんなことが許されるはずもありません。狂魔師サリーは身内であった女性たちによって処刑されました」

「あれま」


 なんというか、勝手にまつり上げられて勝手に失望された感が否めない。けどまあ、そうされても仕方ないことをしたみたいだしな。


 そもそもの目的がアレだったしな。世界に自分の腕を示すってなんだよ。しかもそのために国の金に手をつけるって絶対にやっちゃ駄目だろ。流石は狂魔師だな。


「そうして、その国はようやく落ち着いたんです」

「なるほど」


 なんにせよ落ち着いたのは良かった。


「そこで、その革命から少しずつある気風が世界中に広まったの」

「そうだったそうだった」


 ある気風? なんだ?


 今度はフィオが苦笑いをしている。


「どんな気風なんだ?」

「女だろうと男だろうとヤバい奴はヤバい」


 それは、良いのか?


 いや、良いも悪いも実際にあったことなら文句を言ったところで仕方ないんだろうけどさ。そんな考え方から男女平等が広まっていったって言われてもなぁ。


 もう少しマシな言い伝え方とかなかったのかね?


 これでも歴史的な出来事なんだろ?


「そうしてポルターさんの言う男女平等が広まったんです」

「……そうなのか」

「凄いよねぇ」

「思ってたのと違う」


 異世界凄えな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ