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処分

「また帰ってきたな」

「三回目だね」


 俺たちはまた廃館に戻って来た。もう帰って来ることはないと思っていたのに。


 三回目ともなると不本意ながら実家っぽく感じてしまう。


 流石にゾンビが徘徊している実家は嫌だ。


「きっとこれで最後よ」

「そうなるように、ちゃんと掃除しないとな」

「だね」


 既に廃館に入ったことのある俺とフィオとお嬢は勝手知ったる様子で先に進む。


 しかし、ここは今まで誰も入ることのできなかった場所。なので、初見組の反応は様々だ。


 ダインのおっさんは室内をよく観察するためにランタンの用意をしている。対して、マリアさんは不気味な雰囲気が落ち着かないらしく、廃館に入ってからずっと武器に手をかけている。


 やはり多少は怖いんだろう。


 しかし、ベクトルは相変わらずニコニコしている。俺はこいつが一番怖い。


 そうして、ランタンの明かりがついたことを確認した俺たちは以前と同じように先に進んだ。


 ゾンビの成れの果ては相変わらず散らかったままなので、迷うことなく進むことができた。


 因みにダインのおっさんがゾンビの成れの果てを見て『なんだこりゃ?』とか『酷えな』とか言っていたが、説明する必要はないので無視することにした。どうせ化け物呼ばわりされるだけだしな。


「しかし、創造主とやらはどこにいるのか……」

「地下かもね」


 俺が何気なく呟くと、お嬢がはっきりと答えた。


 即答とは流石だな。それとも……。


「それも書いてあったのか?」

「まぁ、『私は人の体を捨てる。そして、強靭な体に乗り換え世界を破壊する』とは書いてあったわね。そうなると、地下くらいしか保管場所がない。地上は目立つし、強靭な体がフィオみたいな死体のことを言っているなら腐ってもいけない。それになりより、悪巧みするやつは大体地下に行きたがるし」

「そこも世界共通かよ……」


 似たような世界とはいえ、別にそこまで同じにしなくてもいいだろうに。


 それとも、後ろ暗いやつほど地下に篭もりたがる理由がなにかあるのかね?


 俺はあんまり興味ないけどさ。


「地下は探検してなかったね」

「そうだな。そもそも階段を見てないからな」


 俺とフィオは出口を探して結構探索したが階段は見なかった。


 廃館の外観から二階以上はあったので、どこかに階段はあると思うが。


「流石に地下室の場所までは書いてなかったから、先に貴方たちの資料を処分ね」

「「はーい」」


 ◆◆◆


「全部燃やしたか?」

「はい」


 ダインのおっさんは最後の一枚の書類が燃え尽きるのを確認してからそう言った。


 幸いなことに俺とフィオの資料はフィオの部屋にあったものが全てらしく、探しまわることにはならなかった。


 しかし、俺が元いた部屋にあった魔術陣は消えていない上に例の『未還の魔術』だったので、少し処分するのに手間がかかった。


 なぜなら、ダインのおっさんは監視役なので『未還の魔術』を確認しないわけにはいかない。しかし、見ると高確率で死罪なので、しっかりと目視するわけにもいかない。


 そこで、俺たちは先に魔術陣の中の文字らしきものを削ることにした。そして、おっさんに魔術陣がそこにあったことを確認してもらってから全てを削りとった。


 まぁ、面倒だった。


 あんまりガリガリ音を立てると、ゾンビが寄ってくるので静かに削らなければいけない。なのに静かにすると進みが遅いので早く終わらない。しかも、遅いといっても数十分のことなのにお嬢は急かすしで大変だった。


 こんな姿になって清掃作業に勤しむとは思わなかったよ。


 とはいえ、一通り資料の処分は終わった。


「俺たちだけのでよかったのか?」

「ええ」

「他の資料は迂闊に目を通すわけにはいかないので、組合長に任せましょう」


 ベクトルの言うように『未還の魔術』さえ処分すれば、他の職員でも処分はできるもんな。


 仮にまずいものがあったとしても、それこそ組合長が自ら処分すればいい。


「お嬢は俺たちの資料を真っ先に読んだけどな」

「済んだことよ」

「自分で言うかね」


 悪びれる様子もない。


 開き直り方が凄まじい。


「それはそうと、地下室の入り口が見つけられてよかったね」


 そう、地下の入り口も実は俺たちの書類に書いてあった。


 どうして今になって気づいたかというと、単純にお嬢が読み飛ばしていたから。


 お嬢曰く、『字が汚い上に最後の方だったから読む気になれなかった』らしい。


 実にお嬢らしい理由だと思うが、燃やす時に気づかなかったらあちこち探す羽目になっていた。


 しかし、魔術陣の処理に手間どって少し気が立っているお嬢にそんな文句を言えるわけない。


 なので、俺たちは地下の入り口がある部屋に向かった。


 ◆◆◆


「まさか俺のローブの下に隠れてたとはな」


 地下の入り口は俺とフィオが休憩に使った部屋にあった。


 しかも、俺が着ているローブの元の持ち主であるミイラの下に隠してあったのだ。


 ご丁寧に隠し通路のような造りになっていたので気づかなかった。


 それにしても、なにか隠し部屋にはルールでもあるのか?


 椅子の下って。


「でも、ここに死体があるなら乗り換えも失敗したっぽいね」

「こいつ失敗だらけだな」


 しかも、このミイラが創造主らしい。


 既に会ってたパターンは想像してなかった。創造主だけに。


「とにかく、地下を確認をしないと。無事に貴方たちの資料を全て処分できているか判断ができないわ」

「仮に創造主とやらがまだ生きているとして、頭の中に資料が残っていたら困りますからね」


 そう言ったお嬢とベクトルは躊躇うことなく地下への階段を降りて行った。


 それを見て俺とフィオも置いていかれてはたまらないと思い、すぐに後に続いた。監視役の二人も少しだけ迷っていたが、結果的に階段を降りることになった。


 そうしてしばらく階段を降りると俺たちは広い空間に出た。


 そして、その広い空間には薄ぼんやりと輝く巨大な魔法陣があり、中央にはゲームに出てくるようなドラゴンが横たわっていた。


「中途半端に成功にしてるな……」

「動けないのね」

「そうだよ。そして、はじめまして」


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