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お披露目

 ダインのおっさんが馬車を進めてしばらくすると、日が完全に暮れる前に廃都市に着くことができた、らしい。


 俺はローブに包まれたので、到着はフィオに知らされるまでわからなかった。


 空を見てみると既に赤くなっていたので、その日は廃都市のそばで夜営することなった。


 しかし、監視役の二人は俺たちと少し距離を空けて食事をしていた。


 どうして距離を空けているかというと、ダインのおっさんが俺の近くで飯を食いたくないと言ったからだ。それでマリアさんもダインのおっさんに付き合うかたちになった。嫌味なおっさんだ。


 俺がそんなことを考えていると、ベクトルは既に食事の準備を終えていた。


 以前のお嬢の食事は保存食を齧っていただけだったが、ベクトルが準備したので今回はマシだった。普段から食事はベクトルの担当なんだろうな。


 そうして全員が食事を終えた後は早めに馬車で寝ることになった。


 となると、当然睡眠が必要ない俺たち従魔組は見張りをすることに。


 最初ダインのおっさんとマリアさんが自分たちも見張りをすると言っていたが、お嬢が無駄だと言って二人を説得した。


 とにかく、そんなこんなで俺たち従魔組は見張りを任された。


 今回はデリケートな馬車の馬がいるので雑談はすることなく、静かに朝になるのを待った。


 人間より馬に気を使うのは不思議な気分だった。


 ◆◆◆


「やっぱりこんなところでも黙って見張りするよりはマシだな」

「退屈は体に毒だよね」


 そう晴れ晴れとした気分で昨晩の感想を言った俺たちは、既に廃都市の中にいる。


 というのも、空が白んできたあたりで冒険者組は全員起床したのだ。


 すると全員ささっと食事をとって、早速廃都市に入ることになった。


 馬車と馬は流石に廃都市の中には入れられないので放置することに。


 俺は盗まれたりしないか心配したが、お嬢曰くここに来るのは冒険者だけだから組合の物を盗む馬鹿はいないらしい。また、馬を襲う魔物もいないのですぐに戻ってくるなら尚の事問題ないそうだ。


「無駄口叩かない」

「「はーい」」


 流石にもう来ることはないと思っていた故郷に帰ってきたので、少しテンション高めでいたら怒られた。


 まぁ、今日は仕事でここに来たわけだから素直に従うべきだな。


 それにやることもあるし。


「ねぇ、私たちは本当に見てるだけでいいの?」

「ええ」

「ベクトルはまだ二人の性能を見てないので、今回は確認をしつつ廃館に向かいます」


 やることとはこれだ。


 つまり、ベクトルに俺たちの性能を見てもらうのだ。


 まさかこっちに来てまでプレゼンするとは思わなかった。


「ここに来た理由を忘れてねぇだろうな?」

「もちろんです。確認はすぐに済ませます」

「楽しみですね」


 ダインのおっさんが資料のことを確認してきたが、忘れるわけがない。


 仕事じゃなきゃこんなところには来ない。


 それにプレゼンだって目的地に向かいながら行うので、時間を取ることはないだろう。


 たぶん一瞬だ。


「手頃なゾンビが来たわね」

「じゃあ、派手そうに見えて実は地味な俺から」


 まだなにも見えないがお嬢が真っ直ぐ前を見てそう言った。


 すると物陰からゾンビがひょっこり現れた。


 相変わらず、凄まじい索敵能力だと思うが今はどうでもいい。


 今すべきことはベクトルに俺の性能を見せることだ。


 ゾンビとの距離は五メートルくらい離れている。ここまで距離があいていると複数本の腕は出せないので、俺はローブの袖から一本だけ腕を伸ばすことにした。そして、最短距離でゾンビの頭を貫く。


 一応プレゼンだから可能な限り速くしてみたが、そこまで速くできなかった。


 往復で一秒はかかったな。


「凄いですね」

「満足してもらえたなら良かった」


 ベクトルは静かに手を叩いて賞賛してくれた。


 おそらくお嬢から前もって話は聞いていたはずだが、実際に見てみると想像よりも凄かったんだろう。


 百聞は一見にしかずってやつだな。


「……どういう原理だ?」

「簡単に言うと、ゾンビの頭に一瞬で穴を開けて仕留めたんです」

「あの一瞬で?」

「ええ、その為に作られたゴーレムですから」


 監視役の二人はまだお嬢の説明を理解できていないのか唖然としている。


 こんなことで一々驚かれていたら困る。先に進めない。


 部外者は静粛にしてほしい。


「慣れたら鉄でも一瞬でいけるだろうな」

「それは凄い」


 それに引き換えベクトルは飲み込みが早くて助かる。


 これもお嬢に対する信頼のおかげなんだろうけど、受け入れられないよりかは遥かに助かる。


「じゃあ、次は私ね」

「はい」


 今度はフィオがプレゼンをするらしい。


 どうやら近くにゾンビはいないので、遠くで突っ立ってるゾンビを仕留めるみたいだ。


 フィオは全員が遠くのゾンビに気がついたのを確認すると、少し姿勢を低くしてから消えた。そして、その直後にはゾンビの頭を両手で挟んで待って帰ってきた。


 まぁ、速すぎて見えない。


 スタートと折り返し時に生じた踏み込みの音が二回鳴ったことくらいしかよくわからん。


「……なにをした?」

「頭をスパッとして待ってきたの」

「素晴らしい」


 フィオは首をはねる仕草をしてダインのおっさんに説明した。


 それを見たベクトルは素直に絶賛。


 するとフィオはゾンビの頭を小脇に抱えて胸を張る。


 ゾンビとはいえ頭をバスケットボールみたいに扱うな。


「にしても、相変わらず加速が漫画みたいだな」

「どういう意味なの?」

「凄いなってこと」

「ありがと」


 これでベクトルへのプレゼンはおおよそ問題ないだろう。


 細かいことは随時説明すればいい。


 お嬢も頷いてくれたので終了だ。


 なので、フィオも持っていた頭を道の端に置きに行った。


 別にいいけど置き方が晒し首なんだよなぁ。


 伝わらないから言わないけどさ。


「これを廃館に向かいながら続けるので、遅くなることはないと思います」

「……そうみたいね」

「化け物め」

「お褒めに預かり光栄だな」


 二名ほどついて来れていないが、気にせず俺たちは廃館に向かうことにした。


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