組合長
組合長の部屋は建物の外観とはかけ離れた印象の部屋だった。
来客のために置かれたソファやテーブルは一目見ただけで高級品だとわかる物だ。また、本棚には沢山の本が規則正しく並べられていた。そして、組合長が今使用している飴色の机には細かい彫刻が施されていて、特別なものだとすぐに理解できる。
この部屋はまさに優雅という言葉が似合う部屋だ。
そして、その部屋の主もその言葉にぴったりな容姿をしていた。
髪は長い金髪で瞳は翡翠色。顔立ちも整っているという言葉が控えめに聞こえるほどのイケメンだ。それにさっきの声もとても良い声だった。
しかし、そんな人物が俺とフィオを見てあきらかに戸惑っている。もし見た目に戸惑ってないのなら、先程の俺たちの挨拶に戸惑っているのかもしれない。
まぁ、正直どっちでもいい。
お嬢曰く実物を見たいとのことだから、いつも通りの姿を存分に見てもらおう。
「昨日話した私の従魔たちです」
「耳が長いな」
「……それらはアンデットじゃないのかね?」
「あの人はエルフだね」
そう、組合長はエルフという種族らしい。
生物学的にどういう括りなのかは知らないが、ぱっと見は人間に近い。
しかし、長い髪を突き抜けて特徴的な耳が見えている。その耳はエルフのイメージ通りに鋭く横に伸びていた。
やはり実物のエルフはなんと言うか品があるな。まぁ、偽物のエルフも見たことないけどさ。
それに、なんとも言えない長く生きてますよ感がある。内から出るオーラ的なものを感じる。気のせいだと思うが。
「いえ、ですから昨日の説明をした通りゴーレムです」
「ファンタジーだなぁ」
「……しかし、それはどう見ても」
「よくわからないけど、良かったね」
ファンタジーと言えば、エルフと言っても過言ではない。
魔法が上手かったり凄腕の弓使いなんて設定もよくあった。
実際のところはどうなのか知らないが、やはりそういう設定を期待してしまう。
それに木と会話したりするんだろうか?
流石にそれはできないないと思うが、イメージとは侮れないものでできそうな気がする。
ふとした瞬間に木と会話してくれないかな。
「製法が特殊なので」
「話は変わるが、横向いて寝るの大変そうだな」
「気にしたことなかったけど、大変かもね」
あの特徴的な耳だと寝る時は大変だろう。
下手に寝返りをうつと耳が折れそうだ。
もちろん、本人的には気にならないかもしれないし、エルフは子供の時に耳の折れない寝返りの仕方を自然と身につけるのかもしれない。
だとしたら、それはそれで不思議だ。というか、面白い。
俺にとってはファンタジーなのかもしれないが、この世界にとっては当たり前のことなんだ。
そう思うと本当に楽しい。
「…………静かにできないのか?」
「本人たちに言ってみては?」
おやおや。
どうやら俺たちの雑談が気になるらしい。
お嬢と組合長の会話を気にせず喋っていたら、組合長の気に触れてしまったらしい。
しかし、こっちの話はまだ終わってないんだ。
「……黙りたまえ」
「上向いて寝るのか?」
「……おい」
「うつ伏せ派?」
「黙れっ」
「「はーい」」
せっかくだからそれだけは聞いておきたかったが、答えてくれないようだ。
それくらい教えてくれてもいいと思うんだけどな。
いつも通りの俺たちを見てもらうには、少々組合長はお堅い人のようだ。
「お疲れ様です」
「……なんなんだ、こいつらは」
「ポルター・ガイストと」
「フィオ・ガイストだよ」
俺たちがそう自己紹介すると組合長は頭を抱えた。
別に変なことは言ってないはずだけどな。
一応話も聞いていたし。
二人は俺たちの正体について話してたはずだ。
確かアンデットかゴーレムかだったかな。
まぁ、そこで話がそれたんだけどさ。
「いつもこの調子なので、慣れて頂いた方がよろしいかと」
「……考えておく」
考えているうちに慣れると思うけどな。
「……この二体を従魔にしたいのかね?」
「はい」
「……正気とは思えないな」
失敬な。
黙れと言われたから言うとおり黙っているのに、この言い様はなんだ。
ちょっと自分と合わないからって、そこまで言うことないだろう。
「……君は反対しないのか?」
「はい。ディジーさんが決めたことですから」
「……」
組合長は聞く相手を間違えたな。
ベクトルは俺たちを超える個性の持ち主なんだ。
まともな答えが返ってくると思うなよ。
「全く理解できないが、君たちの考えはわかった」
「はい」
「では、これから本題について話をしよう」
そう言って組合長は姿勢を正した。
というか、本題ってなんだっけ?
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