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仲間

 突然お嬢が寝たことによって、俺たちは強制的に喋ることを禁止された。


 流石に寝ている人のそばで楽しくお喋りはできない。うるさいからな。


 しかも、見張りもしなければならないから、お嬢から離れるわけにもいかない。もう黙るしかない。


 そうやって見張りをしていたわけだが、当然火の番もしなければならない。


 お嬢は突然寝てしまったが、集めた枝はそのまま置いてある。そうなると、なんだか消える前に足さなければいけない気がしてくる。


 あくまで気がしてくるだけで、なにも言われてはいない。けど、なんと言うかお嬢の圧を感じた。


 出会って一日でこの従えっぷりは流石だ。


 そして、我がことながらこの従いっぷりにも感心してしまった。フィオも火の管理をしながら小声で『図太いねぇ』と言っていた。全くだな。


 これを俺たちはひとまず信頼と受けるとことにした。


 ポジティブに受け取らないと夜は気が滅入るし、なにより暇で仕方なかった。最初は火の揺らめく様や枝が弾ける音にヒーリング効果を感じたりした。しかし、別に俺たちは疲れていないのですぐに飽きた。


 なんと言うか、俺たちにとって長時間黙るという行為は相当キツいらしい。


 それがせめてもの収穫だなと思っていたら、あたりが明るくなってきた。


 するとお嬢も日の光につられて目が覚めたのか起きた。


 お嬢は手に持ったままの杖でなにかすると、空中に小さな水球を生み出してそれを飲み込んだ。


 因みになにをしたかはさっぱりわからない。強く握ったようにも見えたが、やはりよくわからない。


 なにもしていないと言われると、そんな気もしてくるような僅かな動きだった。少なくとも、魔法少女みたいに振ってはいなかった。


 そんなことを考えていると、お嬢もはっきり目が覚めたのか火のことに気づいたらしい。


「……火の番ありがとう」

「した方が良いかなと思って」

「助かったわ」


 そう言ってお嬢はまた水球を出して火を消した。


「それ凄いな」

「初心者でもできる簡単な魔術よ」

「そうなのか」


 初めて見る魔術っぽい魔術だったから、つい反応してしまった。一番最初はゾンビを爆破させる魔術だったが、あれは凄すぎて正直よくわからない。


 絶対に見る順番を間違えてる。


「水筒いらずだな」

「ええ、これだけで食っていける人もいるそうよ。私は見たことないけど」

「ふーん」


 見たことないなら、いるのかいないのかはっきりしないな。


 まぁ、水道がないなら重宝されるのも納得できる。井戸や川に頼ってる時代なら、すぐに水を生み出せる人間はかなり有難いはずだ。もちろん、出せる量に限りはあるんだろうけど。


「それで今日はお仲間さんに会えるの?」

「その予定ね」

「昨日は変わったやつ、とだけ言って寝たからな。気になって仕方ない」

「そうだったかしら?」

「そうだったんですのよ」


 覚えてないのかよ。


 結構大事なことだと思うけどな。


 俺たちにとっては受け入れてもらえるかどうかわからないし、お仲間さんにとっては相方ががよくわからない魔物二匹を連れ帰ってくるわけだからな。


「仲間がいるなんて聞いてなかったけど、大丈夫なのか?」

「全く問題ない」

「言い切るんだね」

「ええ」


 仲間に紹介しても全く問題ないくらい、俺たちを評価してくれてるなら嬉しいと思う。けど、たぶん違うんだろうな。


 お嬢とそのお仲間さんとの間になにかありそうだ。じゃないと『全く問題ない』なんて言えない。


「行きましょう」

「ああ」

「うん」


 これから会うお仲間さんがどんな人物なのか考えながら、俺はお嬢について行く。期待と不安が入り混じっているが、どちらかというと不安の方がデカい。


 なにせ、お嬢の仲間だからな。


 おそらく個性の塊だと思う。


 ◆◆◆


「なにか見えてきたな」

「サンド、じゃあなさそうだね」

「サンドの前の見張り町」


 見張り町と呼ばれる場所は、ここからでもはっきりわかるくらいの大きさの町だ。しかし、建物はどれも低く木造のものが多く見受けられる。お世辞にも立派とは言えないな。


 さらに町を囲うような壁もない。それどころか柵すらない。ここまで魔物は見なかったが、これで本当に大丈夫なのか心配になる。


「そんなのもあったんだね」

「フィオが知らないなら、ここも後からできたんでしょうね」

「そっか」


 この見張り町も三百年間のうちにできた場所なんだろう。遠目から見て歴史は感じられない。また、新しい建物と古い建物がバラバラに建てられている。


 あまり行きたいとは思わないな。


「誰か立ってるな」

「仲間ね」


 そんな見張り町の前に誰か立っていた。


 お嬢の仲間らしいが、ここからだとまだ誰かわからないと思うんだけどな。


「よくわかるな」

「……まぁね」


 うん?


 お嬢のテンションが低い気がする。


「お出迎えなんて優しいね」

「……そうね」


 そんな違和感をよそに見張り町が近くなってきた。


 ここまで近づくとお仲間さんの姿もはっきり見えてくる。


 容姿は金髪のイケメンで笑顔が似合う優男って感じだ。体格は身長が高めの細マッチョ。姿勢が正しくて立ち姿は綺麗だ。そして、腰には剣をさしている。まとめると鼻につくようないやらしさを感じない好青年って感じだ。


「ぱっと見は完璧な好青年だな」

「そうだね」


 フィオも第一印象は俺と同じみたいだ。


 お嬢の仲間って聞くから癖の強そうなのを予想していたが、どうやら仲間は普通らしい。


 流石に失礼だったな。


 そして、お仲間さんもお嬢に近づいてきて声をかける。


「お疲れ様です」

「簡潔に」

「美しい」

「……どうも」

「「今のなに?!」」


 すぐにわかるヤベぇやつだ!!!!


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