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急遽

「もう少し調べれば良かったわね」

「仕方ないだろ」


 あれ以上ゲブート隧道の前でごねていても仕方ないので、俺たちはひとまず来た道を引き返していた。


 兵士さんは確か通知をしなければいけないと言っていた。そして、別れ際に議事堂というところで通知の手続きができると教えてくれた。しかし、すぐに議事堂に入れてもらえるかはわからないとも。


 いや、そんなこと知らねえし。こちとら昨日着いたばかりなのだ。親切に教えてくれたのには感謝するが、通知とかは流石に知らねえって。


「通るだけなのにね」

「それだけスターテア王国にとっては大事なことなのでしょうね」

「そうなんだろうな」


 どうやら神獣というのは、俺とフィオのような会話が成立する程の知能を持った魔物の総称らしい。そして、本契約ができるのは神獣に限られるとか。そもそも神獣というものも滅多に現れるものでもなく、本契約もここ数年は聞かなかったと兵士さんは言っていた。


 そんな神獣を生で見れて嬉しいと説明混じりに感謝されたが、こちらはそれどころじゃない。


 どうにか議事堂を探して通知の手続きをしなければいけなくなった。しかし、議事堂に入れるかどうかも兵士さんの話では謎。国家間のやり取りっぽいから、おそらく時間はかかるに違いない。今から急いで行ったところで結果はあまり変わりそうにない。


「じゃあ、これからどうするの?」

「そうですね……。通知というのがどういうものかわかりませんが、少なくとも往復で一日はかかるでしょうしね」

「その前に面倒な手続きもあるだろうしなぁ。もし今日その手続きが終わっても、明日までは暇になるだろうなぁ」

「そうね」


 まぁ、今日のどこかで議事堂へは行くとして。これからどうするのか。


 いかんせん知らないことが多すぎる。長居するつもりがなかったから仕方ないんだけど。


 どうしたものか……。


「行く予定はなかったけど、先に魔術組合に行きましょう。そこで手続きのこととか議事堂のことをついでに聞くわ」

「それはいいけど、魔術組合ってなんだよ」


 冒険者組合なら知っているが魔術組合は初耳だ。もちろん、鍛冶組合とか商業組合とかはどの都市でも見かけるから知っている。しかし、魔術組合は今まで見たことも聞いたこともない。


「一言で言うなら、世界中の魔術を集める組合ね」

「集めて何するんだ?」

「主な目的は管理って聞いてる」

「へー」


 世界中ってのはなかなかの規模だな。それに管理ってのがまた渋い。


 大切な役割ではあると思うが、管理するっていうことの大切さを理解している人間がこの時代にいたとは知らなかった。とくに魔術に関しては秘密主義のやつが多い印象がある。実際、そういうやつはちらほら見かけた。


 それに管理なんてだいそれたことは大体国とかのデカい組織のやることだ。それを一組合がやっているというのは想像もしなかった。


 まぁ、あまり見かけなかったことから上手くいっていないのかもしれないがね。


「それで、その魔術組合に何しに行くの?」

「年一回の提出」

「なにか提出しなきゃいけないのか?」

「組合員がその一年で発見もしくは発明した魔術なり理論を提出する決まりなの」


 ほう、そうやって世界中から集めてるのか。それなら各都市に組合をつくる必要はないな。誰かに届けてもらえば済む話だ。しかも定期的に集めるってのもなかなかの考えてあると思う。魔術に限らず技術は更新されるからな。


 だが、そうなると一つ気になる。


「一年で見つかるものか? そういうのって」

「難しいわね。だから、その場合は金で解決するのよ」

「なるほどねぇ」


 集金のシステムでもあるわけか。上手いことやっている組合に思えてきた。


 けど上手くいっているなら不思議な点もある。お嬢が行く予定はなかったと言っていたこと。またいつも魔術組合員と名乗るのではなく、冒険者を名乗っていることが気にかかる。


 提出するっていうことは、お嬢も当然魔術組合員なのだろう。しかし、さっきの言い方からして、最初から魔術組合に行く気はなかった。提出までの期限がまだあるなら納得するが、そういう雰囲気でもなかった。


 また身分証明のことを考えるなら、冒険者より魔術組合員の方がまだマシに聞こえる。冒険者ってのは結局のところ武器を持った便利屋みたいな者だからな。それなら魔術組合員の方が教養があるように聞こえる。まぁ、俺の勝手なイメージなのではっきりしたことは言えないが。


 とにかく魔術組合に行ってみれば、それらもわかるだろう。わからなくてもお嬢に聞けばいいしな。


「場所はわかってるんだよな?」

「ええ、すぐそこらしいわ」


 流石に場所は知っているらしい。行く気はなかったが組合員としてそれくらいは知っているということか。


 なんとも立ち位置が掴みきれない組合だ。


「あれですかね?」

「え、あれなの?」

「予想を裏切ってきたな……」

「そうね」

「にしても……」

「ボロいな」


 ベクトルの見つけた建物はとてもわかりやすい煉瓦造りの塔だった。しかし、塔は蔦で覆われている上に苔むしているようにも見えた。


 とても重要そうな建物には見えない。どちらかというと、こっちの世界でたまに見かける廃墟に近い。まぁ、なんにせよボロい。


 一気にいろんな謎が解けた気がする……。


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