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あてどない旅

 吾等は再び枯枝城へと赴いた。

「なんだ? 大掃除中に何の用だ?」

 ホブゥが顔を出すと、吾等はホブゴブリンの死骸とそのお伴のガードドレイクを見せる。

「これは貴様達の仲間じゃないのか? アンデッドどもにやられていた」

 それを見たホブゴブリン達は口々に、

「なんてこった!」

「畜生、こんなことになるとは!」

 喚き声を上げる。だが、ホブゥは喚かぬ。そのホブゴブリンの死骸から伝令書を取り上げ、その中身を読むのだ。そして、顔をしかめる。

「……デーモンだと? 北の連中はノール共と戦ってたんじゃないのか? ノール共、デーモンを召喚しやがったのか」

「それは大変なことなのか?」

「ああ。下手したらここら辺一帯、デーモンとノール共に蹂躙されるぞ。奴等は凶暴だ。草も残らん。こうしちゃいられん。すぐに城の防備を固めて、壁の補修なんかも急がせんと……」

「そうか。では良いことを教えてやろう。人は石垣、人は城、といってな」

「なるほど、人を盾にしろ、ということだな。お前らしいいい考えだ」

「酷い誤解があるようだ」

 高貴なるエラドリンは実に心外といった顔で応じる。

「……ところで、こいつは確か魔法の手袋をしていたと思うんだが」

 素手のホブゴブリンの死骸を見て、ホブゥは呟いた。それを耳にした神の護り手スプマンテ、

「ああ、それならここに」

 差し出す。

「おう、持っていてくれたのか。ありがとよ」

 ホブゥはそれを受け取った。

「それにしてもさすがパラディン。正直だな」

「やっぱ返して」

 スプマンテは正直なことを言った。

「まあいい。こいつをここまで運んでくれたことだし、こいつ、グッチの形見として持っていてくれ。いや、グッチとお前らに大した繋がりがあるわけじゃないだろうが」

 ホブゥは恩恵の手袋をスプマンテに渡してそう言った。


  ◆


 さて、枯枝城に伝令兵の遺体を届けることでデーモンの脅威を彼等にも知らせることができた。吾等は早々に城を発つ。だが、やはりすんなりと道を行くことはできない。

 気付いたのはやはり高貴なるエラドリンであったか。

「誰だ」

 森の暗がりに向けて言い放つ。何事かと吾が見るに、木の陰の闇の部分に小柄な人影が2つ、佇んでいるではないか。しかも、その頭上、木の枝には2つの影がぶら下がっている。

「……さすがだな。我等に気付くとは」

 それはダーク・クリーパーなる者どもだ。影の世界の住人である。その頭上に居るのは大蝙蝠であろう。

「シャドウフェルの連中が何の用だ」

「貴様等を探していたのよ。我が主の言葉を伝えるために」

 ダーク・クリーパーはまるで囁くようだ。

「暗がり森の新たなる統治者、ブラックドラゴンのクロハガネ様の言葉を伝える。クロハガネ様は同じ竜族を手にかけたお前らに大層お腹立ちだ。だが、クロハガネ様は寛大なお方。貴様等が貢物を持って暗がり森まで出向けば許してやろうとのことだ。ありがたくその慈悲に縋るがいい」

 同じ竜族を手にかけた、というのは昔倒したヤングホワイトドラゴンのことであろうか。

「違う。それをやったのはカランバだ」

 高貴なるエラドリンはいつものように戦闘指揮官カランバの責任を述べたてる。

「そして、それを指示していたのは血風党。私達は関係ない」

「つまり、クロハガネ様のご威光に従わぬというのだな? よかろう、その旨クロハガネ様にお伝えする。おって沙汰があるであろう……」

「余計なこと伝えられる前に殺す」

 高貴なるエラドリンの即断即決。

「我等に手を出すとクロハガネ様が黙っておられぬぞ!」

「いやあ、でも、ねえ? 伝える前に口封じちゃえば」

「いやああ」

 ずんばらりん、と切り捨てられたダーク・クリーパー。倒れた途端に弾けて闇を撒き散らす。その闇に撒かれた者は盲目と化してしまうのだ。

 大蝙蝠が一羽、素早く戦線を離脱していく。何とかそれを撃ち落とそうと試みるも、逃げられてしまった。

「ば、ばかものどもめ! こんなところで音を立てて血を流したら奴等が来るというのに!」

 生き残ったダーク・クリーパーがか細く叫ぶ。

「何が来るというのだ」

 来ました。

 鼻を鳴らす音、息を吸い込むような耳障りな笑い声。

「こっちだ! こっちから血の匂いがするぞ!」

 がさがさと茂みを揺らせて現れたるは、ハイエナの如き獣面の人型の生き物達3体。その後ろにいるのは生き物ではない。真っ赤な体に大猿のような顔をした人型の何かだ。それが2体。

「ノールの略奪者に……デーモンのエヴィストロか」

 混沌にして邪悪な者達。破壊だけをもたらすおぞましき輩だ。

「ここまで来た甲斐があったぜ! 丁度殺し頃の奴等が居やがる!」

 ノール達がひーひー笑いながら叫ぶ。そして、殺到してくる。

「北の死人どもなんざ面白くもねえ! やっぱり血を流す肉袋どもじゃなきゃ駄目だ!」

 デーモンも哄笑しながら爪を振り上げるのだ。

 戦いが始まった。ノール共は1人を集中して攻撃することで追加ダメージを与えてくる。しかも、敵を重傷にすると更に興奮し追加攻撃をしてくるなど手がつけられない。デーモンのエヴィストロも同様だ。血を流し、弱った敵に対してより大きな力を発揮する。

 で、奴等の目標となった不運な者は誰あろう、吾だ。重傷に入り、さらに追加攻撃をざくざく食らう。

「スコーチングバースト」

 怜悧なるペンテルの火炎魔法。だが、エヴィストロはそれを涼しい顔で受け流す。

「あ、おれ、火に対する抵抗10つけるっすわ」

 このデーモンは抵抗できる攻撃ダメージ種類を遭遇ごとに選べるのだ。

 吾はかなり厳しいところに追い込まれる。

「ふーん、大変だね」

「ダメージ全然来ないや」

 攻撃されない人達はいいなあ。

 こうして多大なる犠牲を払って(主に吾が)、どうにか混沌の化け物どもを撃退することに成功するのだった。

「大したことなかった」

「よく頑張ったな。これからも同じように頼むぞ」

 高貴なるエラドリンの労いの言葉に吾はそろそろ転職先を考えるべきではないかと思うのだ。


  ◆


スケルトン(経験値150)×3=450。

ゾンビ(経験値125)×2=250。

ダーク・クリーパー(経験値175)×2=350。

シャドウハンターバット(経験値150)×1=150。

ノールの掠奪者(経験値250)×3=750。

エヴィストロ(経験値250)×2=500。


あと、なんかパラディンらしく正直だったので200。


1人当たりの経験値は530。


  ◆


 これより先の記録は大部分失われてしまっている。

 よってあらましだけを簡単に記してこの記録を終わりとしたい。


  ◆


 善なる一党は無辜の民を守らんと尽力す。

 街に忍び寄る血風党マガンテの魔の手。更に、北方より来るデーモン達。

 危難はいや増すばかりである。

 そんな中、街の領主である少年ウィルは自ら街を守護せんと力を欲す。

 悪魔のインプ、その願いを聞き届け、ウィルに囁いた。

「ゴッドクロスこそが力の源なり。そを手にし者は大いなる力を得るであろう」

 そう、それは枯枝城の城主であったマガンテが辿りし道と同じなり。

 ウィルは、ゴッドクロスを手に入れたならば魂を引き渡す、とインプと契約し、悪魔達を呼び出す。

 ゴッドクロスを奪わんとする悪魔達と一党との死闘。

 悪魔達に追われつつ、一党はウィルを救うことを望む。そのために下した決断は、ゴッドクロスの破壊であった。

 枯枝城にある大釜こそがゴッドクロスを精製した大釜であり、それを破壊することができる唯一のものである。そうと知った一党は因縁の枯枝城へと再び舞い戻る。

 悪魔達との最後の決戦の末、一党はゴッドクロスを大釜に放り込むことに成功した。

 ゴッドクロスの入手が不可能となったことで、ウィルとインプの契約は不成立となり、ウィルは悪しき心から解放される。ウィルの魂を手に入れ損なったインプは仲間の悪魔達に引き裂かれて果てるのであった。

 こうして、ウィルを悪魔の誘惑から救った一党。だが、危機は去ったわけではない。マガンテ率いる血風党はいまだ健在である。北辺ではこの地を飲みこまんとするデーモン達が血風党と血で血を洗う攻防を繰り広げているという。

 ゴッドクロスを巡る因縁に決着をつけたとはいえ、一党の前にはあまたの困難が待ち構えているのだ。

 というところで飽きた。

 あてどない旅である。

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