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挨拶は大事

前回までのあらすじ

 血風党から護符をもらった。

 町長にチンコロした。


  ◆


 他に町長から人数分のヒーリングポーションをもらったり、セイハニーンの司祭デスメトーからポーションオブクラリティを2本もらったり、と戦いに備えることに余念なし。

「ポーションオブクラリティってどういう薬?」

「これ1瓶飲んでおけば、1回だけ振り直しができる」

「つまり3万本飲んでおけば、幾らでも振り直しができる」

「あー19か。振り直しちゃおっかなー」

 更にパラディンのスプマンテはプレートメール+1とバスタードソード+1をティーフリングの商人スリルから購入す。購入というか、いつものようにサイコロ勝負で手に入れたのだが。

 ともかく、もう十分であろう。吾等は再び枯枝城へと向かった。今一度アンデッドどもを駆逐するのだ。

 途中、何度も死者の群れに出会う。が、ショックからもらった護符のおかげか、死者達は吾等に見向きもしない。

 そうこうするうちに、いよいよ枯枝城が見えてくる。小高い丘の上に立つ廃城は今やうろつきまわる死者に囲まれ腐臭凄まじい。

 と、城へ向かう荷馬車を見る。御者はホブゴブリンのようであった。死者の群れはその荷馬車にも襲いかかる様子はない。あれも血風党の手の者であろう。荷馬車に積まれているのはどうみても死体。それもどこかから掘り出してきたかのように土にまみれている。

「こちらも血風党の振りをして近付こう」

 吾等は血風党のマークのついた指輪やらバンダナやらを身につけ、その荷馬車に向かって手を振った。すると、向こうも気付いたのか手を振り返してくる。

「……死人どもにたかられてないってことは、あんたらも血風党……だよな?」

 荷馬車を止めて挨拶してきたホブゴブリンは吾等の顔を見て、小首を傾げた。そして、

「何しに来たんだ?」

「いやあ、俺達もここへ行けって言われただけで。新しく配属されたんじゃない?」

「人員は足りてるはずだが……そもそも、俺達の部隊はホブゴブリンだけの部隊だし、あんたらが配属されるとしたら、あの臭え骸骨の親玉のところか?」

「あんたは何を運んでいるんだ?」

 吾等は荷馬車のおぞましき積荷を見て言う。と、ホブゴブリンは肩を竦めるのだ。

「素材さ。城で死人どもを作っているスカルロードの命令でな。……まったくやってられんぜ」

「ホブゴブリンとそのスカルロードは仲が悪いのか?」

「仲が悪いってわけじゃないが……だが、気に入らんのは確かさ。俺らホブゴブリンは戦いの神ペインに従っている。俺らは死後、ペインの元で永遠に戦い続けるんだ。なのに、あのくっさいアンデッドときたら……。俺らホブゴブリンの死体すら素材にしちまうんだ。こんなことが許せるか? アンデッドの神ヴェクナに俺らを捧げて、俺らに約束されている死後の戦いを冒とくしてやがる……命令だから従うしかないがな」

 などと話しているうちに吾等は荷馬車と共に枯枝城へと到達した。城の門を守るのは荷馬車の御者と同じ、ホブゴブリン達だ。手に手に武器を持ち、吾等を窺うようである。

「……なんだ、あんたらは?」

 疑念の含まれた問い。それに対して高貴なるエラドリン、1人1人のホブゴブリンを指差しつつ、

「ユー! ユー! ユー! よろしく!」

「うわーむかつくー」

 心のこもった挨拶でホブゴブリン達の気分を害すことに成功す。

「俺達はこの城に新たに配属されることになったものだ」

「そんな話聞いてないぞ」

「でも、そうかそうか。なら、まずスカルロードさんに挨拶して来いよ」

「ああ、絶対スカルロードさんに会った方がいいな!」

「この城に配属されるってんならまずスカルロードさんに確認取らなきゃ」

 ホブゴブリン達は、やけにこの城の支配者であるというスカルロードに吾等を引き合わせようとするのだ。

「スカルロードさんのところまで案内してやるよ!」

 わざわざ敵の大ボスのところまで案内してくれるというのだから、ありがたい話ではないか。

 吾等は城の地下へと連れて行かれる。

「この先に居るから。じゃあな」

 吾等を案内してきたホブゴブリンはそそくさと去った。

 どういうわけか、問答無用でバトルの予感。吾等は隊列を組んで、奥にスカルロードがいるという扉を開けた。

 果たして、そこには骸骨の群れが控えている。一番奥に大釜が鎮座し、その前に立つ三つ首の髑髏がスカルロードであろう。その脇には4本手の骸骨が護衛然として立ち、その近くに浮いているのは燃える頭蓋骨。他にも全身が燃えている骸骨や肘から先を削って棘のようにした骸骨などが並んでいる。

「何だ、お前達は?」

 スカルロードが誰何してくる。吾等は魔法砲台たるペンテルを後方に置いて、前衛を固める形である。それがスカルロードの不興をかったようで、

「どうしてそこの者だけ後ろに控えているのかね」

「こいつ、恥ずかしがりや何すよ」

「後ろに隠れてないでちゃんと挨拶しなさい。そんなことでは実社会でやっていけんぞ。なあに、取って食ったりはせんから。わっはっは」

 吾等は血風党から新たにここへ配属されたものであるとの説明を繰り返した。当然、

「そんな話は聞いておらんが……」

 不審に思われてしまう。

「とにかく、何かお手伝いできることがあれば何でもしますぜ?」

「そうか。実はノルマが厳しくてのう……」

 スカルロードは愚痴をこぼし始めた。

「作ったアンデッドをどんどん納品しなくてはならんのだが、素材がどうにも足りん。そこら辺の墓を掘り返してまで調達している始末だ。できれば近くの村から村人でも攫ってきて死体にできればいいのだが、それをやらせようとするとホブゴブリンどもが厭な顔をするのでな。どうにも行き詰っておった。そこでどうだろう? お前達、素材を調達してきてくれんか。素材1体につき金貨50枚払おう。そこらへんの村人を1人攫ってくるだけで金貨50枚だ」

「なんだ、こいつ話しのわかる奴じゃないか」

 お金さえもらえれば立派な取引相手である。と思ったけど、やっぱりそれは悪いことだと思うので止めました。というわけで、

「実は我々はここ最近のアンデッドの納品の遅れを査察しに来たのだ」

「挨拶しろっていうか、お前の方が謝らなきゃいけないんじゃないのか?」

「上に報告するぞ?」

 突然強気に出るのだ。スカルロード、戸惑って、

「ぬ? お前達は……?」

 はったり成功。そして、不意打ち。吾等は一斉に襲いかかるのであった。

 吾は敵の前衛となっているスケルトンに突撃す。スプマンテや高貴なるエラドリンも同様だ。ペンテルの火炎の魔法が雑魚のポンコツスケルトンを数体纏めて吹き飛ばす。

 だが、不意打ちから回復した敵側の反撃は容赦ないものだった。

 4本手の骸骨、スケルタル・トゥーム・ガーディアンが脅威の移動力8を発揮していきなり敬虔なるグエドベに接敵してきたのである。しかも4本手というところから予想される通りの4回攻撃。グエドベ、いきなり死が間近に。しかも棘手の骸骨、ボーンシャードスケルトンにその棘で突かれる。

「あ、これで継続ダメージ5が入って死ぬわ」

「あー、じゃあ、さっきの自分の手番の時アクションポイント使って追加行動してたことにしてください。その追加行動でグエドベにヒーリングポーション飲ませておいた。そういうことにする!」

 完全に後だしじゃんけんであるが、こっちも酔っ払ってたのでそのくらいいいじゃない。飲みながらゲームやるとポカが多くなるから仕方ないのだ。いいの。俺がルールだ。

 そのくらいの勢いで、吾は敬虔なるグエドベにヒーリングポーションを飲ませるのだった。これで、1ラウンド目でいきなり回復役が戦闘不能になるのをなかったことにできる。それに吾はどうしてもお返しをしなくてはいけなかったのだ。以前、グエドベにグレープフルーツ味のヒーリングポーション飲ませてもらった、そのお返しを。

「さあ、この穿き古した靴下みたいな味のするヒーリングポーションを飲むのだ飲むのだ」

 敬虔なるグエドベ、これまで見たことのないような酸味のきいた顔をした。


  ◆


 といったところで、時間が無くなってしまったため、戦闘中にもかかわらず次回へ続く。

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