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エンジェルキッス団の興亡

 吾は武と名誉を重んじるドラゴンボーンの戦士、へカチン。

 高貴にして神秘なるエラドリンのレンジャーと神の御業を顕す敬虔なるエルフの僧侶グエドベ、怜悧なるヒューマンのウィザードであるペンテル、更に新たに加わりし神の護り手ヒューマンの聖騎士スプマンテらと共に旅をしている。

 あてどない旅である。


  ◆


 さて、再び死者どもが彷徨う魔城と化した枯枝城へと向かう吾等。

 その途上、死者達の群れに襲われるハーフリングを見る。

 義を見てせざるは由紀さおり。

 吾等はその死者どもを討ち果たし、そのハーフリングを救うのだった。

 ハーフリングは自らをソイジョイと名乗り、深々と頭を下げてきた。

「危ないところをありがとうごぜえやす。ところであなた方はどちらさんで?」

「我々はエンジェルキッス団の者だ」

 そうらしい。吾等善なる一党はそんな名前になっていたのだ。だって、高貴なるエラドリンがそう名乗るのを誰が止められよう。

「人助けはマイプレジャー」

 そうも嘯く。

「ところで、あなたは何故こんなところでゾンビに追われていたのですか」

「へえ。実はセイハニーンの司祭デスメトー様に言われて、枯枝城の偵察に行ったんですが……」

 ハーフリングの密偵ソイジョイの話によれば、枯枝城の周りには死者の群れがうろつき大層危険だという。

「城を外から眺めるだけで精一杯で、中まではとても忍びこめやせんでした。あの城へ向かう? およしなせえ。とても無理です」

 そう言われては吾等としても考えざるを得ない。

「セイハニーンの寺院でなんか良いものもらって来ようぜ。この話したらなんかくれるだろ」

 この発言を、たかる、という言葉で理解して欲しくはない。敬虔なるグエドベは神からの導きを期待してこう言ったまでである。一方、高貴なるエラドリンは負傷している密偵ソイジョイに対して、

「よし。貴様もアヴァンドラの使徒としてついて参れ!」

 自らの盾として活用せんと試みるのだった。

 ちょっと久しぶりに冒険を再開したのだが、このように全然キャラがぶれていない。もはや完成されている。いつも通りの吾等であった。いつも通りの全き善。

「そういえば、城にはアンデッドの他にもホブゴブリン達がいやした」

 ソイジョイが話を誤魔化すかのように続けた。

「おかしなことに、そいつらはアンデッドどもの中に居ても襲われる様子はありやせんでしたぜ」

 ほう、ホブゴブリンの一隊とな? 吾等は以前、枯枝城を探索した際、血風党に属するホブゴブリンと共に行動したことを思い返す。

「もしかして、そいつらはこういう印を身につけては居なかったか?」

 吾等は密偵ソイジョイに赤い髑髏のマークのついたバンダナやら指輪やらを示す。

「ああ、それです! 確かにそんな旗印を掲げていたような……」

「そうか。これは血風党の一員であることを示すマークでな……ところで、それを何故俺達が持っていると思う?」

「は!? し、しまったー!?」

 血風党の者にべらべら喋ってしまったことを悔い、密偵ソイジョイは叫ぶのであった。

「まあそれは嘘なのだが、それ以外にも何か見たことはないのか」

 たやすく誤解を解くと、吾等は密偵ソイジョイに更なる話を聞かんとす。

「へえ。そういやあ、枯枝城へと入っていく荷馬車がありやしたね。その荷馬車にはおぞましいことに死体が幾つも積まれているようでやした。その馬車もアンデッドどもに襲われたりはしやせんでした」

「それだ。その真似しようぜ。まず死体を作らなきゃ」

 敬虔なるグエドベが密偵ソイジョイを見つめる。何をする気か、察しと思いやりの文化の中で育ったものであれば明白であろう。

「えーと、そいつらは何かアンデッド避けの護符か何かを持ってるから襲われねえんじゃねえですかね?」

 密偵ソイジョイは自らの身を守るため、独自の推測を披露した。

 高貴なるエラドリンはまだソイジョイを吾が一党に加えんとす。

「君も1人では寂しいだろう。仲間になったらどうか」

「いや、あたしはもうあの城に近付くのはこりごりでさ。この手のことからは足を洗いやす」

 聞くや高貴なるエラドリン、懲罰者の顔となり、

「勝手に抜けるのはセイハニーンが許さない!」

 そんなことをアヴァンドラの信徒から言われても困るであろう。

「私はセイハニーンからアヴァンドラの司祭を命じられている」

 どういうことか。何を言っているのだ、この人は。これで異端審問にかけられぬとは、アヴァンドラは大層心が広いようだ。

「アヴァンドラは心広いかもしれないけど、お前はなー」

 敬虔なるグエドベが高貴なるエラドリンを見つめる。どういう意図か、察しと思いやりの文化の中で育ったものであれば明白であろう。それに対し、高貴なるエラドリンは少しの衒いもない様子。なぜなら、至極当り前のように口にするからだ。

「我こそはアヴァンドラ一の信徒。いつかアヴァンドラを超えるかもしれない」

 そう自らの絶対性を口にする。

「じゃあ、アヴァンドラには頑張ってもらわないと」

 敬虔なるグエドベは善神アヴァンドラのため、世界の平和のために祈った。

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