枯枝城再び
寺院にて、吾等は枯枝城の件について更なる話をデスメトーから聞かんとす。
「枯枝城の情報を話すがよい。ボスは誰だ。弱点は何だ」
「ボスは私です。視線に弱いです。見られたら死ぬ」
ってデスメトーが言ったらクエスト完了で簡単なのになー、と一党は淡い期待を寄せるのだった。
期待は裏切られる。
仕方ないので、枯枝城にどの程度の死者がいるか、アンデッド以外に何かいるか。以上の点をデスメトーに質す。
「信徒からの話ですので……3日ほどいただければ、もっと詳しいことを調べられるかと思いますが」
なるほど。では、そのように。
というわけで、吾等は翌日この街の名家の1つウェスト家への調査を始めるのであった。なんでだ。唐突過ぎる。経緯が全然わからんが、そうなったのであった。
「奴は血風党と関係があったのかもしれん」
高貴なるエラドリンは、以前の暴動騒ぎでのウェストの言動を疑う。
「でも名家だしな」
「町長の台頭によって、名家の中でも相対的に発言力は低下しているらしい」
「ということは奴は居なくなってもいい、と!」
高貴なるエラドリンがそう結論す。ゼロか無限か、の選択しかないのか。
吾等は疑わしきは罰する、ていうか即時処刑も辞さず、という政治将校みたいな覚悟で乗り込むこととする。
もう何なのこの人達。ヘカチン困っちゃう。困っちゃうので、チンピラと遭遇してみる。
ウェスト家へ向かう途中、高貴なるエラドリンに、どん、とぶつかってくる者がいたのだ。
「いてててて、骨が折れちまったぁ!」
いっそ清々しい。
「誰? 町長の息子?」
やる気満々の高貴なるエラドリン。
「必ず自分に都合のいい相手を話に絡めようとするよね?」
チンピラ達は5人。
「あー、こりゃひでえなあ」
「誠意をみせてもらわなきゃなあ」
そう言い募る彼等に対し、吾等は大変心配し、
「どこが折れましたか! この手ですか!」
ねじり上げる。
「頸椎ですか!」
ねじり上げる。
「この人、持って帰って治療した方がいいよ!」
拉致ろうとする。
吾等は決して絡まれることはない。なぜなら、こちらの方から絡みに行くから。
「10円で喧嘩買わなーい? て聞いてくる相手に500万で売りつけてる感じだ」
「ぶん殴って『すまんな!』、もう一回蹴っ飛ばして『悪かったな!』てやる」
もう吾等にとってチンピラなど相手にもならぬ。散々やって、
「わ、悪かった! もう勘弁してくれ!」
詫びを入れるチンピラ達に対し、
「じゃあ血判状でも書かせるか?」
「背中に彫っとく?」
もうわかったって言ってるのに。
「助けてくれ! こ、この剣をやるから」
チンピラに似合わぬ名剣であった。具体的には+2ロングソード。
「持ち慣れないもの持って調子に乗っちゃったんだね」
「いいだろう。許す。だが、再びこのようなことがあれば転生してもらうやもしれん」
高貴なるエラドリンはその名剣を収めながら、狂気めいたことを告げるのであった。
◆
そのようなことがありつつ、ウェスト家に到着。だが、当主は不在であった。
「実は当家に泥棒が入りまして」
対応に出た執事が慇懃に頭を下げる。
「主人は衛兵詰所に被害届を出しに行っております」
「手口が同じだ! 手口聞いてないけど」
高貴なるエラドリンはホワイトドラゴンの死体を盗まれた件を持ちだすのだ。
「ところで、何を盗まれたのだ」
「はあ、当家に代々伝わる家宝の剣でございまして……おや、そのお腰の物は……?」
いっそ清々しい。
「お、おれじゃねえ! おれはやってねええ!」
わざとらしいくらい取り乱す高貴なるエラドリン。なんか嬉しそう。一度言ってみたかったらしい。
「今のセリフ、絶対死亡フラグだよね?」
「はめられたんだー! 俺に任せてくれたはずだ!」
わらわら衛兵隊がやってきて、高貴なるエラドリンはつれていかれてしまいました。ノリで。
「その剣について、チンピラから渡されたのを見ていた連中も多いだろう。そいつらを連れていけば疑いも晴れる」
というわけで、吾等はその目撃者を捜しに行くこととする。
高貴なるエラドリンは1人衛兵詰所へと連行されたのだった。
◆
衛兵詰所の留置所で1人の高貴なるエラドリン。
こんなところを敵に襲われたらどうするのだ。
と、留置場の扉が開くではないか。見知らぬティーフリングの男が姿を現した。
「お前がカランバを殺った奴か」
「いや、彼は勝手に自害した」
「あいつはいい奴だったんだがな。俺はカランバの仲間で、ショックというものだ」
カランバの仲間ということは血風党の仲間ということで、
「お前の持っているゴッドクロスのパーツを俺に渡す気はないか? 見返りは渡す」
なんでこんなところに血風党の者がいるのか。最初から、ここへ連れてきて話をしようと仕組んでいたのだろうか。
「マガンテもゴッドクロスのパーツを集めるのにご執心でな。俺はそれを防ぎたい。お前のパーツを俺に預けろ」
「どういうことだ?」
「マガンテは頭がおかしいのさ。奴は戦って支配地域を増やすことしか考えてない。俺達はもう十分でかくなった。そろそろ楽しんでもいい頃だ。なのにあいつは戦いに備えろ、と鞭打つばかり。俺はもうごめんだね」
血風党の党首マガンテに対して含むところのある言葉であった。
「どうだ? パーツを渡す気になったか?」
「お前はアヴァンドラを信じていない。答えは否だ」
「そうか。だが、考えを変えたら会いに来い。それなりの物はくれてやる」
そういうとショックなる男は去った。
なんで留置場に入れられた時点でゴッドクロスのパーツ没収しちゃわなかったの? といった疑問とか知りません。
◆
疑いの晴れた高貴なるエラドリンが解放されたのはすぐのことである。
自らの家の名剣を利用されたウェストは、盗み出したチンピラ達を捕え、その裏に居る者を吐かせると約束してきた。
どこまで信用していいものかわからぬが。
「よし、じゃあ行こう」
高貴なるエラドリンは枯枝城へと向かうことにしたようだった。
あれ? デスメトーに枯枝城の情報を探るよう依頼していたはずだが。3日待ってくれと言われていたはずだが。
でも、行くのであった。どういうことなのだ。じゃあ、なんで頼んだのだ。嫌がらせか。常人には理解できぬ世界がそこには広がっているようであった。
◆
さて、枯枝城に行く途中。
吾等はこちらに向かって駆けてくるハーフリングと遭遇する。
「助けてくれ! 追われてるんだ!」
見れば、負傷している様子。そして、その背後から迫りつつあるのは死者の群れであった。
ゾンビに追われて逃げきれないハーフリングというのも随分とろいと思うが、吾等はもちろん善であるからアンデッドどもを粉砕すべく武器を構える。吾等はハーフリングを庇いつつ死者どもを撃退しなければならない。
そしたらこれがえらいことだ。
ゾンビのできそこないは雑魚なのでまあいいとして、チルボーンゾンビ2体が困った。
チルボーンゾンビの傍に居ると冷気ダメージを食らってしまうのである。しかも、これらの冷気ダメージは累積する。チルボーン2体の間に挟まれていると、それだけで10ダメ。しかもこちらを凍りつかせて逃がさないようにしてくるし。
「チルボーンゾンビ100体くらい整列させて進ませれば街の1つくらい簡単に落とせるんじゃね?」
「居るだけで1ターンに範囲内500ダメージ与える計算」
さらに倒したと思ったら自爆するし。
とにかく、勝つには勝ったが厳しかった。ので、助けたハーフリングから詳しく話を聞くのは次回へと伸ばされる。
◆
ゾンビのできそこない(経験値38)×6=228。
チルボーンゾンビ(経験値250)×2=500。
でかぶつゾンビ(経験値350)×1=350。
1人当たりの経験値は215。
なんか他にも敵を倒したり技能チャレンジしてたような気もするけど、もう忘れちゃったので加算してません。




