仲間達の沈黙
吾は武と名誉を重んじるドラゴンボーンの戦士、へカチン。
うーん、どーしよっかなー。
あてどない旅である。
◆
さて、暗がり森に巣食う白き竜を倒した吾等。
ほっとするのもつかの間、それまで吾等と轡を並べて(馬なんて乗ってないけど)剣を振るっていた戦闘指揮官カランバが豹変す。カランバは吾等を幻惑し、高貴なるエラドリンからゴッドクロスのパーツを奪わんとするのだ。なんたることか、カランバは血風党の一員であった。吾等は辛くもその謀略を凌ぐ。が、その真意を語る前に、カランバは自ら命を絶つのだった。
ゴッドクロスのパーツを奪って如何せんとするのか。また、白き竜を倒すのに吾等に手を貸したのはなぜなのか。様々に思うところはあるものの、吾等はまず助け出したスリル等商人達を街まで安全に送らねばならぬ。というわけで、それでいいですね?
……返事がないのだ。
今回、敬虔なるグエドベと怜悧なペンテルは物凄く静かである。隠密技能+100ありそうなくらいだ。
正直困った。一応考えてきた物語の展開はあるものの、それを高貴なるエラドリン1人にしか伝えられないというのは残念なことだ。せっかく用意したのだから、なるべく皆にやってほしい、というのは心情であろう。時間をかけて作ったものを1人にしか見せられないで進めてしまうのはもったいない……というと語弊があろうか? というわけで、こちらとしてはあんまり話を先へ進めてしまいたくはないのだが、それではせっかく来てくれた高貴なるエラドリンが面白くなかろう。うーん、どーしよっかなー、であった。
◆
などと考えていても仕方がないので、吾等はともかく街へ戻る。成り行きに任せるのであった。
暗がり森からおよそ半日かけて街へ。そうしてたどり着くと、吾等はすぐさま異変を察する。騒然としているのだ。街の人々がそこここに集まり、喚声を上げている。その熱気がこちらにまで伝わってくるほどだ。きな臭さが鼻を突く。人々の顔は一様に険しい。笑顔の者が誰一人としていないことに、吾等が危ういものを感じたのは当然と言えよう。
これ何ぞ? と窺うに、人々は口々に不満を漏らしているようであった。曰く、
「領主や町長は何やってるんだ!」
「こんな被害が出てるのに、何も対策を取らないのか!」
「前から邪悪な連中が蔓延ってるって話は出てたのに! 結局防げなかったじゃないか!」
どうやらスリル等商人達が襲われたことが街にいち早く伝わっており、それが人々を不安にさせているようである。邪悪の一党・血風党の噂は最早噂ではなく、事実なのだ。脅威を実感した人々が何らかの解決を求めて騒いでいると言ったところか。
「……その血風党って奴等と、町長は手を組んでるんじゃないか? だって、何にも対策を取ってないんだぜ?」
そのような囁きも聞こえてきた。
と、それら人々の幾人かが吾等を見て目を見張るのだ。
「ああ!? あんた達、それは……?」
「もしかしてドラゴンじゃ……?」
吾等は白き竜を倒した証しとしてその遺骸の一部を持ち帰っていた。何か売れるのではないか、という貧乏くさい目論見である。その遺骸(竜の爪やら何やら)を見る人々の眼差しは驚きに満ちていた。
「ということは、あんたらドラゴンを倒したのか?」
「ドラゴン殺しだ!」
人々から驚きと称賛を浴びる。まあ、ドラゴンに止めを刺したのはカランバだったりしたのだがそんなことは瑣末な問題だ。
けれど、吾等に注がれるのは称賛の眼差しばかりではない。ふと見るに、街の者の幾人かは顔色を変えて印を切り、くわばらくわばらといった様子なのだ。
早速高貴なるエラドリンが、すすす、と忍び寄り言いがかりをつける。
「何か?」
何か文句でも? そう問いたげな両の刃がきらりと光る。寄られた方は身を縮めるのだ。そのように怯えながらも、その街の者は言う。
「ドラゴンを殺すとたたられると言いますぞ? その昔、暗がり森のドラゴンを倒した勇者はドラゴンの霊にたたられ、その行くところ、血と破壊が尽きなかったとか……。ドラゴン殺しは災厄を招くと言われておるのです」
「こちらには偽物のドラゴンがいるから大丈夫」
その論理展開はさっぱりわからぬが、偽物のドラゴンとは吾のことか。
色々鑑みるに、なぜ吾はこの一党に加わっているのであろう。そろそろ怒って出て行ってもいいんじゃなかろか。
高貴なるエラドリンはいみじくも言うのだ。
「アヴァンドラが守ってくださる。全てにおいてそうである」
あんまりいみじくもなかった。さらに続けて、
「よし、アヴァンドラに踊りを奉納する」
踊り狂った。全然いみじくなかった。
吾等はとりあえず逗留の宿である「英雄クロムの店」へと戻る。
すると、吾等を目にした店主のクロムが何も言わずに手を挙げて、吾等を呼ぶではないか。
「まずはよくやったな、ドラゴン殺しとは」
どうやら吾等の話を聞きつけていたらしい。
「今日は俺がおごろう。何でも好きな物を頼め」
気前のいいことを言う。
「じゃあ、ロングソード+3くれ」
英雄クロムはロングソード+3という名前のどぶろくを吾等に振る舞うのであった。
「喜んでおけ。ドラゴン殺しなんて、滅多なことで手に入る名声じゃないんだから」
そう言う英雄クロム。さらに続けて、
「もっとも、俺だったら5匹は倒せてたがな」
高貴なるエラドリン、失笑で返礼す。
「……もっとも、その名声ゆえに厄介事も引き受けにゃならなくなるが……」
英雄クロムは含みのあることを言うのだった。
◆
まだ全然話がすすんでないですが、とりあえず次回へ。




