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R  作者: 牧場サロ
緊急首脳会談
5/11

令和元年5月5日23時00分(日本時間)

「只今より、緊急首脳会談を始めます。」


 物々しい雰囲気が、モニター越しでもハッキリと伝わってきた。



(一体、どうしてこんなことになってしまったのでしょう…?)



 緊張と混乱で半ば涙目でオロオロしながら、彼女――清河しの(キヨカワシノ)は、この5日間に起きた出来事を思い出していた。



      *



 5月1日、しのはG県にいた。


 彼女はまだ国会議員になりたての新米だったため、実績を残すこと、さらに顔を覚えてもらうことを兼ねて地方へのあいさつに回っていた。


 ……というのは表向きの話。

 本当は、除け者にされていた。

 新人いびりの類いである。


 それが偶然、この日はG県での挨拶だった、ただそれだけのことである。

 はずだった――



 しかし結論から言うと、彼女の命は助かった。



 日本中の主要都市が容赦なく破壊された中で、G県だけが無傷だったからだ。


 しのは情報を得るため、最も近かったT市を訪れた。

 ところが自分が国会議員ということもあって逆に頼られたため、不慣れながらも指示を出すことになってしまった。


 それからはひたすら情報収集と避難民への対応、食料等の物資調達に追われた。


 テレビも、インターネットも、ラジオもない。

 当然、携帯電話もまともに機能しない。

 そんな中で情報を集めることは困難を極めた。

 また電車やバス、飛行機等の公共交通手段も全てストップ。

 道路や線路が寸断され、そこから先の状況は全く分からなかったからだ。

 わかるのは、どこまでも地面だけがむき出しになっている、ただそれだけであった。


 絶望的状況の中で希望の光が差したのは、5月3日になってのことだった。


 ヘリコプター搭載護衛艦の内、A国との合同演習に参加していた1隻が、戻ってきた。


 ――A国の艦隊と共に。


 そこからは早かった。

 次々に情報が集まるようになり、A国の支援もあって自衛隊・警察・消防・医療機関・各自治体等、新たな連絡網が構築され、ある程度連携が取れるようになった。


 しかしながら、情報が集まれば集まるほど、被害の全容は計り知れなくなっていき、再び絶望が日本中を包んでいった。


 まず、T都はもう存在しないこと。

 T都だけでない。

 O阪、K都、Y浜、N古屋、K戸、S幌、S台、N潟、S岡、F岡、K本など政令指定都市を始めとした大きな都市が、跡形もなく消え去っていた。

 

 そしてこの時になって、G県だけが全くの無傷であることが判明した。

 緊急措置として首都機能をT市に移し(移すと言っても生き残った人員のみであったが)、新たに臨時首都とすることが決定するのに、時間はかからなかった。


 生き残った議員の中で会話が出来た者で決めたのだが、全くの無傷或いは軽傷程度で済んだのは、しの自身を含め地方挨拶に出ていた新米議員達であった。

 ……そして、その中で与党議員かつ党員としての経歴が一番長かったのは(と言ってもごく僅かな差であったが)、しのであった。







 ――そして彼女は、内閣総理大臣(臨時)となった。


 その直後に、A国大統領からコンタクトがあり、主要国及び新興国による緊急首脳会談の開催が伝えられた。

ここから先は週1ペースで更新できたらベストかなーと考えています。出来る限り話の中の時間と現実の時間は合わせたいですが…orz

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