令和元年5月1日0時40分
日本中のモニター画面や端末が乗っ取られたが、それは国会議事堂や首相官邸等、内閣府・各省庁問わず、政府関係の端末も例外ではなかった。
故に大混乱に陥っていたのだ。
しかしながら、元号が変わる瞬間の出来事であったため、各大臣をはじめとする閣僚は首相官邸に揃っていた。
直ちに緊急関係閣僚会議が開かれた。
「まず、現時点で分かっている情報を整理しましょう。」
「えー、情報が錯綜しておりまして、その…」
「いいから、事実かどうかは後で調べればいい。状況はどうなっている?」
「は、はい。まず日本中のモニター画面や端末がハッキングされ、同じ映像が流れたようです。」
「規模はどれくらいだ?」
「家庭用のテレビ画面をはじめ、パソコン、スマートフォン等の携帯端末、街頭モニター、そして首相官邸をはじめとする政府関係のコンピュータもです。」
「バカな…セキュリティはどうなっている!!」
「万全の状態でした。」
「ありえん!!…一瞬で乗っ取ったとでも言うのか!?」
「落ち着いてください。ところで皇居の方はどうなっていますか?」
「あちらは外部のネットワークとは完全に切り離されていますので問題ありませんでした。」
「そうか…幸いというべきか」
「映像の発信者は特定できんのか?」
「現在早急に調べておりますが、そもそもどうやってハッキングしたのかその手段すら皆目見当つかない状況でして」
「もういい。そちらは引き続きまかせた。」
「そんなことよりも、犯人の目的です。これだけ大規模なハッキングをして、あの『宣戦布告』が嘘とは考えられません。」
「うむ。これはもうテロと判断するべきか」
「非常事態宣言を出すべきでは?」
「ここは総理に判断を仰ぎましょう」
「「「総理、ご決断願います!!」」」
「そうだな…ところで国民は?混乱している様子は?」
「都内をはじめ、いたって平穏です。放送が話題にはなっていますが、宣戦布告については余り本気にしていないようです。ネット上ではかなり嘘情報が飛び交い混乱しているようですが…」
「そうか…嘘の情報が拡散するのは困るな。記者会見の準備を。それから、自衛隊・警察・消防・海上保安庁に、念のため最大限警戒するよう伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
「ところで非常事態宣言は…」
「国民が混乱していないんだ。とにかくまず落ち着くように伝えよう。」
「わかりました。」
等のやり取りの後、1時半から緊急記者会見が行われる…はずだった。