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咒言鬼神の転生譚 ~神に請われる神殺し~  作者: TAIRA
第1章 地球から異世界へ
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第5話 ディア先生の魔術講座 三時限目:魔力とは(武神乱入付き)


 今日も今日とて授乳をry


 さてさて、魔術限定だが知識も増えてきた今日この頃、如何お過ごしですか。

 今日こそは魔力まで辿り着くべく、ディア先生を待ってます。

 術式の続きを、サクッと片付けなきゃだな。


 そう言えば、昨日ディア先生が最後に言った、悪魔公…何気に気になる。

 悪魔がいるのね。天使はいないのに。

 天使が堕天すると、悪魔になるんじゃないの?


 それはさておき。

 子供って、ちょいちょい目が覚めてはまた眠るを繰り返すんだけど、昨日の(たぶん)夜中に目が覚めた時、咒式について考えてみた。


 俺は、特に何を考えるでもなく、前世で生まれた時から咒が使えた。

 しかし、不滅の解咒については、何年も試行錯誤を繰り返した。

 俺の咒刻は、その試行錯誤から生まれたオリジナルの咒式でもある。


 試行錯誤の中で至った第一の結論は『組み立て方を理論的に考えなければ、新たな咒式は造れない』というものだ。

 とは言え、無から有を生み出すのは不可能、とは言わないまでも、膨大な時間を要するわけで、俺は既存の理論にアイデアを求めた。

 そして行き当たったのが、電子回路だった。


 俺がリヴァームズから受けた訓練には、諜報や妨害・破壊工作の手段として、ハッキングやクラッキング技能があった。

 また、武器や機器の現地調達手段として、既製の電子部品を用いて造るという技能もあった。

 復讐の念を支えとして必死に学んだが、半導体素子などは脳が痛くなった思い出がある。


 ともあれ、俺はロジックICとパワーエレクトロニクスを組み合わせた、ハイブリッド積層型集積回路をモデルとして、咒式の構築に勤しんだ。


 ディア先生から教えて貰った魔術理論に鑑みれば、俺の咒式は、魔術の術式として転用可能だろう。

 そうじゃないと困る。凄く困る。



『おはよう、キル。今日も可愛いわね』


(あ、ディア先生、おはよう。キル?俺のこと?)


『そう。キルアスだからキル。信愛の情を込めて。ダメかしら?』


(いや、キルか…いいね。ちょっとヤバそうでいい。俺っぽい)


『気に入ってくれて嬉しいわ、キル。じゃ、始めましょうか』



 ディア先生の魔術講座、三時限目、その三、術式(後編)開始だ。


(ディア先生、早速なんだけど、俺の脳内イメージって視れる?)


『ただイメージするだけだと無理ね。私に送るという意思を込めれば、視れると思うわよ』


(OK。…これ、俺の咒式構成イメージなんだけど、魔術の術式としても、使えるよね?)


『…………何よコレ。魔力式が二系統に分かれて、起動式と事象式は組み合わされて…え?全てが並列で実行されるの!?ヤダ、気持ち悪いくらい画期的だわ』


 気持ち悪いって…連用修飾語を間違ってはいませんか?

 まぁ、よろしい。

 俺が送ったイメージに前傾姿勢で見入るディア先生の巨乳の谷間が、素敵すぎて目が離せないから。


(使えるってことで、いいよね?)


『使えるわ。キルが凝視している私の胸も、キルなら好きに使っていいのよ?』


 ミテルーノ、バレテーラ。

 今後の課題は視線の隠蔽だな。


『でも、気を付けてね。キルの術式構成は合理的で負荷が小さいから、普通の人間でも中級魔術くらいなら無陣・無詠唱で使えてしまうわ。キルが信頼できる人間になら教えてもいいけど、邪な人間がこの術式を手にすれば…戦乱が起こるわ』


(わかった。気を付けるよ)


『それにしても凄いわね。あれ、前世の技術が基になっているのでしょう?魔道具や魔装具の刻印にも応用できるし、テクノロジェが知ったら、狂喜乱舞しちゃうと思うわ』


 そうだろうね。技神へのバーター材料になるのは確信してた。

 いやスッキリしたわ。

 魔術陣やら呪文やらの勉強なんてしたくないもんね。


(ディア先生、魔力。魔力いこうぜ!)


『いいわよ。キルの術式理論は魔力制御に通じているから、制御能力の向上も早いと思うわ』



 その四、魔力について。

 宇宙から降り注ぐ、数種類の特殊な素粒子から構成された核子が、二個以上結合して安定な原子核となる。その原子核を魔力の素、魔素と呼ぶ。

 魔素は大気成分の一つとして、空気にも大量に含まれている。

 魔素が生物の体内で融合される際の放出エネルギーを、便宜上の用語として、魔力と呼んでいる。

 が、そんな事は神のみぞ知るってやつだ。


 その謎な魔素は自然に、もしくは任意に体表や呼吸器官から体内へ取り込まれ、これまた謎な魔静管と呼ばれる静脈のような擬似器官に流入し、更に謎な魔力炉と呼ばれる心臓チックな擬似器官の中で融合されると、超謎な魔力というエネルギーが生じる。

 魔力炉で生じた魔力は、魔動管と呼ばれる動脈のような擬似器官を整流し、最終的には魔力袋と呼ばれる擬似器官に貯蔵される。

 また、魔力袋に貯蔵した魔力は、任意に体内を循環させることが可能である。

 …無駄に整った謎だ。無駄だから燃えるゴミの日に捨てよう。


 魔素→酸素、魔静管→静脈、魔力炉→心臓+核融合炉、魔動管→動脈、魔力袋→バッテリーパック、でいいんじゃね?ダメ?

 擬似とは言え、体内に核融合炉があるとか、怖すぎるだろ。


 ただ、魔力を体内で循環させるってのは重要な気がする。

 俺の咒の一つに“金剛”という咒式があり、体の一部、または全身を堅くすることが出来る。

 金剛を使うと、使った部位に黒い螺旋の渦が纏わりつく。

 もしも魔力が黒い螺旋の渦と同じ性質を持つならば、応用範囲は広いだろう。


 魔力のメカニズムを、現界で知る人はいない。

 現界での定説は、『健康であれば魔力は体内で勝手に作られ、作られる魔力量は体の成長と共に増し、成人前後で最大値に達する』というものだ。

 妥当なロジックだと思う。


『実際には、魔力量の最大値は年齢に関係なく、鍛錬次第で上げられるのだけどね。もちろん個人差はあるけど。これも伝承が途絶した鍛錬法の一つね。それと、他人の助力を得て、魔力量を強引に上げる術式もあるのよ』


(おぉ、他力本願って魅力的。教えて)


 古代魔術の時代には“後天魔導術”という、黒魔術の系統に属する術式があった。

 魔力炉の核融合能力が高く、魔力袋の容量が大きい第三者が、対象者の魔力炉の核融合能力を促進補助しつつ、魔力袋に魔力を流し込む。

 それにより、強制的に魔力炉の性能を向上させつつ、魔力袋の容量も拡張するという方法だ。

 但し、術者の魔力制御能力が低いと、対象者の体内で魔力暴走を誘発し、最悪の場合は死に至らしめる。


『ま、キルには不要な術式よね』


(え?ディア先生、俺にしてくれないの?)


『する必要がないもの。キルの転生体は魔術において、この世界でも突出した資質を持つ血統なのよ。しかも、生まれてすぐに鍛錬を始めるのだから、五年もすれば化け物扱いされるかもね』


(ふーん。そうなんだ?資質に恵まれてるって言われても、実感が湧かないな)


『それは、魔力を認識してないからよ。未接続だから、とも言えるわ。キルの両親は高位の魔導士だから、キルの潜在魔力の大きさに驚愕していたわよ。だから、この部屋を魔力遮蔽術式で覆って、キルが魔力を認識しても、キルの魔力が感知されないようにしてあるわ。それに、キルの世話をするのも、クリスタだけでしょう?』


(それが証拠になるの?)


 ディア先生、いや、神々からすると、今代は魔術が衰退した時代だという。

 最大の要因は、千年くらい前に、色葉によって成された破壊神の封印だ。

 それ以来、滅亡必至とされた脅威が消えた現界では、魔術や武術に心血を注ぐ者の数が、減少の一途を辿った。


 そんな世界において、俺ほどの魔術資質を備えた人間は、往々にして危険人物、もしくは将来的な脅威とみなされ、排除や暗殺の対象になる。

 それを危惧した俺の両親は、部屋を魔力遮蔽術式で覆い、信頼の置ける必要最小限の人員で、俺を匿うように育てているのだという。


『理解できたかしら?人間は破壊神が滅んだと考えているから、自分たちの些末な利害を動機に、キルへ刃を向けてくるわ。キルの神格は不滅だけど、その転生体を失ったら、今代で破壊神に対抗し得る神子は存在しないのよ』


(ふむ。この転生体って、リアルに最後の希望なわけか。だったら――)


『吾・輩・参・上!待ち草臥れたのである!ディアベラよ、独占は見過ごせぬ故に!キルアスよ、これより吾輩と鍛錬に勤しむのである!!』


(え!?武神!?…名前なんだっけ?おまる?まるお?)


『マルティアド!あなた何しに来たのよ!キルと私の邪魔しないで!!』


『笑止である!ディアベラの無駄に大きな乳の方が余程邪魔ブベラッ!』


(わぉ…ディア先生のコークスクリューブロー、速すぎて見えなかった)


『キル、続きはまた明日にしましょう?あの角刈り駄神を、ちょっと消滅させてくるから』


(ウ、ウン。ガンバテネ)


『頑張るまでもないわ。無駄マッチョに格の違いを刻むだけよ。じゃあねキル、愛してるわ♪』


 スゲーな魔神。武神をワンパンって…

 おーお、耳掴んで引き摺ってるし。

 あれ…鍛錬法がまだじゃね?


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