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咒言鬼神の転生譚 ~神に請われる神殺し~  作者: TAIRA
第3章 公都での暮らし
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第40話 報復と報告


 これは…夢なのだろうか?

 宿のベッドで気持ち良く眠る俺を、ルルとエルがユッサユッサと揺さぶって起こす夢?

 チェンジで。もっとドキワクな夢にして。


「「●▲■!◇□〇!!」」


「寝てらんねーだろーがゴルァッ!!」


「起きてくださぁーい!」


「起こしてるですから、寝れないのは当たり前なのですよ!」


 舌打ちをしながら窓に目をやると、外は薄っすらと明るくなり始めたばかり。

 ド早朝。ザ・ド早朝だ。

 新聞配達を終えた兄ちゃんたちが、メシを喰ってるような時間だ。


「ったく、こんな早くに何だよ?城へ行くにしても早過ぎんだろーが」


「大変ですぅ!昨日のアレですぅ!」


「コンキュート男爵家が、大勢で宿に来てるのですよ!」


「コンキュート男爵家?…ああ、昨日のアレか。んなもんシカトだ。寝る」


「ダメですぅ!女将さんが困ってるですぅ!」


「下の階のお客さんたちも迷惑してるですよ!」


 再び舌打ちをしながら起き上がり、仕方なしに部屋を出ようと扉を開けた。

 扉の外には、困り顔の女将が立っていた。


「あらまあ、キルさんはいい体してるんですねぇ。ウチの旦那の若い頃みたい」


「キルアス様!服を着るですよ!」


 余りにもイラっとしてて、パンイチで出て行くところだった。

 女将の『旦那の若い頃』という言葉で宿の亭主の姿を思い起こしたが、亭主は今でもガチマッチョだ。

 内心で『筋力だけのガチムチと一緒にしないで欲しい』と思いながら、服を着て下へ降りた。


 階段を降りて行くと、宿の入り口には戦斧を担いだ巨漢と、貴族の小僧に付き従っていた小僧二人が苛立たし気に立っていた。

 入口の外でも『出て来い!』だの『ビビってんじゃねーぞ!』的な声が聞こえてくる。

 少なくとも十人程は引き連れているようだ

 俺を見つけた小僧二人が、俺を指さしながら『あいつです!』と巨漢に告げた。


「お前かぁ、パットン坊ちゃんに手を出したガキってのは!」


「それがどうした?あの小僧が俺の連れに手を出したから、倍で返してやっただけだが?」


「ふん、度胸だけはあるようだな?」


「大勢を引き連れなきゃ顔を出せないお前よりはマシかもな」


「なんだとぉ!!」


 無駄に声のデカイ巨漢の前まで行くと、巨漢の後ろに見覚えのある顔があった。


「ん?後ろのお前、昨日ギルドに来た警備隊じゃねーか。なんちゃら男爵に小遣いでも貰ったのか?」


「だ、黙れ!俺は無抵抗のご子息に暴行を働いた貴様を捕らえるのに、協力しているだけだ!」


「だったらせめて警備隊の制服くらい着て来いっつーの。で?お前らは俺とお喋りするために来たのか?」


 俺から少し離れた場所から見ている女将が、多勢に無勢だと思っているのか、心配そうな顔をしている。

 ルルとエルは装備を整えて降りて来たようだ。

 エルは宮廷魔導士の血が騒ぐのか、口を出したい様子が見て取れる。

 ルルは…何故か楽しそうな顔している。謎だ。


「ここで騒ぎを起こしたくねぇなら、大人しくコンキュート男爵邸まで付いて来い!」


「はあ…、ここで騒ぎを起こしたくないのはお前らだろうが。まあいい、行ってやるから案内しろ。茶菓子くらいは用意させとけよ?」


「大口が叩けるのも今の内だ!仲間に墓穴でも掘らせておけ!」


「ルルも行きますぅ!」

「エルも行くですよ!」


「ルルとエルはゆっくり朝メシでも食ってろ。その後は現地集合だ。意味は解るな?これは命令だ」


 俺がそう告げると、ルルとエルは不服そうにしながらも小さく頷いた。

“心配そう”ではなく“不服そう”にしている二人を見て、俺は何故だか笑ってしまった。

 そんな俺を見たルルもニコッと笑い、エルはヤレヤレといった風に苦笑を浮かべた。


 俺は周りを囲まれながら男爵邸に向けて歩かされる。

 男爵だから貴族街でも外周の方だろうが、それでも三十分くらいは歩かされることになるだろう。


 歩きながら俺を囲む男たちの装備を見てみると、冒険者や探索者だろう奴らが散見された。

 大半の者が大した装備を着けていないことから、街のゴロツキでも雇ったのだろう。


 ようやく男爵邸に着いて門を潜ると、玄関前には更に二人の男たちが、装備を固めて待ち構えていた。

 外見は冒険者といった風だが、俺にはこいつらの“仕事”が直ぐに判った。

 雇われの殺し屋だ。


 殺し屋と暗殺者には大きな違いがある。それは主に気配と殺気に表れる。

 殺し屋には快楽殺人思考の者も多いが、プロの暗殺者はビジネスとして殺す。

“遊び”と“仕事”の差は大きく、身に付け磨かれるスキルの類や質も異なる。


 全員が敷地内に入ると門が閉ざされ、門扉には暗幕が掛けられた。

 すると玄関の扉が開き、血の滲んだ白布を顔に巻いた貴族の小僧と、父親であり男爵家当主であろう身形の男が姿を現した。

 なかなか慣れた段取りだ。今回が初めてではないらしい。


 貴族の小僧は声こそ発しないものの、その双眼は憎悪に塗れている。

 片や男爵の方は、見下した目つきで薄ら笑いさえ浮かべている。


「君かね、我が息子をこんな目に遭わせた冒険者というのは?」


「またお喋りか?だったら茶と菓子の一つも用意しとけよ、男爵殿」


「ふふん、威勢の良いことだ。君はこの後どんな目に遭うのか理解していないようだ。いや、理解する頭がないのか。教えて欲しいかね?」


「趣味と実益を兼ねてチンケな殺しをする三下を集めました、ってか?そっちの頭こそ、その辺の悪ガキと大差ないだろうに」


「貴様っ!下郎の分際でっ!」


「おいおい、早くも大物ぶってた仮面が外れてきてるぞ?二人称は“君”じゃなかったのか?テスラの貴族も高が知れてるな」


「くっ、この下郎を殺せっ!終わったら執務室へ知らせに来い!パットン、お前も見物したら直ぐに屋敷へ入るのだ。いいな?」


 憤慨しながら告げた男爵は、踵を返して屋敷へと入っていった。

 その途端、殺し屋二人の殺気が一段増した。

 二人ともニヤニヤと嗤いながら、俺を切り刻む様でも想像しているようだ。


 宿へ来た連中も武器を構えたものの、俺を中心に半径5mほどの円を作るように囲むだけだ。

 実行は殺し屋の二人という役割分担なのだろう。


「パットン様に手を出すなんて、お前バカなヤツだなぁ?」


「そう言ってやるなよ兄弟。こういうヤツがいてくれるから、俺たちが楽しめるんだからよぉ」


 殺し屋二人にとって、俺の死は確定事項らしい。

 血の一滴すら残さず始末するのは簡単だが、それをやると後始末がより面倒になるだろう。

 間違いなく罪科持ちだろうから、死体とステータスプレートが残るように始末すべきか。


 早々に片付けて城へ行こうと考えた俺は、二つの術式を連続して発動した。


「魔咒絶式―空断、炎爆改式―焼灼」


 空間が断裂し、殺し屋たちの両腕・両脚・首が宙を舞った。

 と同時に、パットンの両腕と両脚も切断され、俺を囲む男たちの両脚も切断された。


 パットンと男たちは、身体を切断されたと気付く事も出来ずに崩れ落ちる。

 地面に伏した時には、焼灼によって切断箇所が焼き塞がれていた。


「脚がっ!俺の脚がぁーっ!!」


「痛ぇよぉ!誰か助けてくれーっ!」


 叫びたてる男たちを尻目に、俺はパットンへと歩み寄った。

 パットンは口と舌を切られているせいで『ぐう゛、ぐぅ…』と呻きながら痛みに耐えているだけだが、その目は恐怖一色に塗り潰されている。


「お前の首を飛ばしても良かったが、今の俺には多少の柵が出来ちまったからな。つーか、口の傷くらい大聖堂の神官にでも治して貰っとけや。会話が成り立たねぇだろうーが。ああ、両腕と両脚の治癒は例え聖者でも不可能だ。そういう風に切断したからな」


 実は男爵への伝言を残そうと思ってパットンに近づいたのだが、喋れないし腕もないから筆談もムリだと気付いた。

 男爵を引き摺り出すほどキレているわけでもないし、後は誰かがどうにかするだろうと考えて、俺は男爵邸を後にした。



 俺は男爵邸から城へ向かって歩きながら、このまま城へ直行しても早過ぎると考えていた。

 男爵家に雇われたアホ共を即殺したので、ルルとエルはまだメシを食ってる最中だろう。

 時間潰しに商店を覗いたり、大聖堂で技神テクノロジェから神鋼を分けて貰ったりしながら外城門まで来た俺は、一つの不都合に気が付いた。


「俺、どうやって城へ入ればいいんだ?」


 城へ行くことは誰にも伝えていない。

 エルが一緒だから事前通知は不要だと考えていた。

 仕方がないので、俺は外堀沿いに植えてある木立の影から自室へと瞬間移動した。


「お、クリスタいたのか」


「きゃっ!?…キルアス様!?」


 かなり久しぶりに会った気がするクリスタは、俺の部屋を掃除してくれていた。

 クリスタと会って自然と笑顔になった自分に気付き、『ここでの生活も悪くなかったんだな』と改めて感じた。


「近々お見えになるとは聞いておりましたが、お一人で来られたのですか?」


「ああ、ルルとエルは後で来る。父上と宰相に話があって来たんだ。」


「たった数日で更にご立派になられましたね。キルアス様のお顔が見れて、クリスタはとても幸せです」


「立派になってるか?自覚は全くないんだが、クリスタがそう言うならそうなんだろうな。悪いんだが、父上に俺が来ていると伝えてくれるか?」


「畏まりました。ごゆっくりなさっていてください」


 クリスタは紅茶を淹れると、足早に部屋を出て行った。


 クリスタが淹れてくれた紅茶を口にして『やっぱ美味いな…』としみじみ思う。

 茶葉の品質も違うのだろうが、愛情が添加された飲食物は一味も二味も違う。

 不意に『愛を込めて媒体と触媒を作る!』と言ったフェリの顔が浮かんだが、人が変われば愛情表現も変わるのだろう。


 ちょうど紅茶を飲み終わる頃、クリスタが部屋へ戻ってきた。

 城内が広く、父上への連絡経路も数人を介する事を考えれば、クリスタは連絡一つ取っても精一杯やってくれている。


「クリスタ、いつもありがとな。クリスタが乳母になってくれた俺は幸運だよ」


「勿体ないお言葉…。私は生涯キルアス様のお世話をさせて頂きたく存じます」


 目を潤ませてそう言ったクリスタに見送られ、俺は父上の執務室へと向かった。


 執務室へ入ると父上は打合せ用のソファに座っており、宰相は父上の背後に控えていた。

 どうやら俺のために時間を取ってくれたようだ。


「ほぉ…この数日で見違えたな、キルアス」


「正に“男子三日会わざれば刮目して見よ”を体言されておりますな」


「クリスタにも同じ事を言われたよ。城にいた時と比べれば、外での行動量は桁違いだからかな。それでだろう」


「だろうな。俺も出奔していた頃は、常に何かしていたものだ。それで、どんな土産話を持って来たんだ?」


「エントワーズ森林にあった魔獣の領域の話だよ」


「エントワーズか…。行くのか?」


「もう解放してきた」


 その言葉で父上と宰相が固まった。『動くな!』と言われたかの様に。


「…討伐隊を出すような話は聞いていないぞ。ルイド、お前はどうだ?」


「私も存じません。以前にご報告申し上げました通り、冒険者ギルドには断られておりますので…」


「俺、ルル、エルの三人で解放した。証人はギルドマスターのグレイスと、トライワンズって三人組のAランク冒険者たちだ」


 俺は解放の顛末を話した。

 エントワーズ森林のほぼ全域に十三万体近い魔獣が生息していたこと。

 特級から三級までの危険種が二十体いたこと。

 全ての魔獣を討伐し、森林を消滅させて農地用に整地と土壌改良をしたこと。


 一つ聞く毎に脱力していく父上と宰相を眺めつつ説明を続け、ふと思い出したナントカ男爵家の跡継ぎを達磨にしたと最後に付け加えた。


「お前なぁ…俺には言葉が見つからんぞ。エントワーズ解放は称賛するくらいでは足らん大功績だ。本来ならお前の領地として統治させたいところでもある。しかしな、たった数日で男爵家の後継を達磨にするか?普通しないだろ?」


「陛下、男爵家一つとエントワーズ解放では価値が違います。男爵家の方は私が処理しますので、ここはキルアス殿下のご功績を第一にお考えになるべきかと。しかも、既に農地としての基礎開発が完了しているとの由なれば、これは紛うことなき大偉業にございます」


「ルイドの言う通りだな。いかんな、男爵家の後継を達磨にしたのが我が息子だと聞いただけで、大局的な見地を失うようでは。俺も精進が足らんらしい」


「何を仰せになられますか。陛下のそのお人柄こそが、テスラ大公国を日々大きく育てておるのです。陛下のご即位以来、公都の人口だけでも五万人余り増加しておりますれば」


 なんだろうか、中年二人が褒め合う光景というのは…軽く引いてしまう。

 まあ、宰相は無条件に喜んでいる様だし、テスラの食料事情に貢献できるって事でいいか。


「しかしグレイスも苦労している事だろう。親子二代で苦労を掛けるのは心苦しいが、これも因縁だと諦めて貰うしかあるまい」


「ん?父上はグレイスを知ってるのか?つーか、親しいのか?」


「グレイスには冒険者時代に世話になった。あれは長命なダークエルフ族だからな。ギルドマスターに就任させたのも俺だ。半ば無理矢理ではあったが…」


「なるほどね。グレイスは321歳だもんな。それを考えれば何もおかしくはないか」


「何っ!?グレイスはお前に年齢を明かしたのか!?あれの年齢を知るのは同族くらいだと思っていたが…」


 あ…そう言えば、グレイスは年齢の話をしたがらない感じだったな。

 こういうのを“口は禍の元”と言うのだろう。


「口が滑った。俺が魔術で強引にステータスを読んだんから知ってるだけだ。他言無用で頼む」


「そういう事か。俺もまだ死にたくはないからな。禁忌に触れる様な事はせんよ」


 禁忌事項なのかよ…

 俺も気を付けるとしよう。


「ところでキルアス殿下、跡継ぎを達磨にしたという男爵家ですが、家名か紋章はおわかりになりませぬか?」


「あー、何だったけなぁ…ミュータント?コンピュート?悪い、憶えてない。達磨にした息子の名はパットンだったと思う」


「それであれば、コンキュート男爵家ですな。あれは良くない噂の絶えぬ家なれば、奪爵するにも迷いは要りませぬな。幾何かは国庫の足しにもなりましょう」


「コンキュート家か…俺には覚えがないな。法衣の無役か?」


「左様にございます」


 そんな話をしていると、扉前の近衛兵がグレンの来訪を知らせてきた。

 宰相が父上と俺の顔を見る。父上が頷いたので、俺も頷いた。


「失礼致します。陛下、コンキュート男爵殿が軍務院に来て騒ぎ立てているのですが、おそらくはキルアス殿下がお手を下された一件かと愚考し、念の為お知らせに参りました。キルアス殿下、ご健勝のご様子、何よりにございます」


「よおグレン。しかし、なぜ俺が関係していると判ったんだ?」


「昨夜、我が妹であるリリアーデから『コンキュート男爵殿の動向に留意して欲しい』と頼まれまして。リリアーデはギルドマスター殿の指示を受けたものと推察しております」


 なーるほど、流石はグレイス。伊達に歳を取っ…いかん、禁忌だった。


 宰相が再び父上に目を向けると、父上も再び頷いた。


「グレン殿、私が処理する故、コンキュート卿を私の執務室へ連れて来てくれるか」


「俺も同行しよう。俺の尻拭いをルイドに任せるのもな。つーか、また何か企むようなら潰してやろうと思って、俺を殺す為に雇った殺し屋二人の死体とステータスプレートは保管してあるんだ」


 父上たちは、コンキュートが俺を殺そうとしたと聞いて驚いた。

 いやいや、俺だっていざこざ程度で相手を達磨になんてしないから。


 それを聞いた父上が『殺し屋の死体があるなら運ばせよう』と言った。

 父上たちが収納庫を知らない事に思い当たった俺は、収納庫の仕様を説明して、結界の中に出せば部屋を汚しもしないと付け加えた。


「であれば、謁見の間だな。この場の四人で処理する。グレン、コンキュートを謁見の間に連れて来い。ルイド、奪爵の書面を用意しておけ」


「「御意に」」


 謁見の間に入ると、コンキュートは片膝を突き、首を垂れて待っていた。

 父上の声掛けで頭を上げたコンキュートは、玉座の横に立つ俺を視界に入れて驚愕した。

 流石にこの場では罵詈雑言を吐けないのか、口を只パクパクとさせるだけだ。


「コンキュート卿よ、貴族の尊厳を踏み躙るに相当する大事だと聞いたが、相違ないか?」


「へ、陛下、畏れながら私の話の前に、横に立つ御仁が何方かをご教示くださいませんでしょうか…」


「うむ、コンキュート卿は初対面であったか。これは我が息子、第二大公子のキルアスだ。今は城外で暮らしているのでな、城で顔を見ぬのも当然であろうよ」


 その言葉を聞いたコンキュートは顔面蒼白となり、ガクガク体をと震わせ始めた。

 俺は『面倒なやり取りだなぁ』と思いつつも、貴族社会の体裁を壊さぬよう、努めて大人しく傍観する。


「してコンキュート卿、その大事とやらを聞かせてくれるか。我も秩序を乱す輩に容赦するつもりはないのでな」


「はっ、いえ、その…多少大袈裟に申し立てを致しましたが、陛下のお心を悩ます程の大事ではございませんので…」


 俺が『この流れからどう落とし込むんだ?』と考えていると、宰相が徐に口を開いた。


「コンキュート卿、卿の申し立てとは対極の話になるのだが、このところ裏の組織から殺し屋を雇い、邪智暴虐なる行いを続ける貴族家があるのだ。これを断罪に処すべく、軍務院が捜査結果を今日にも陛下へご報告申し上げる。この指揮を執るのは、卿の横に居るグレン黒曜騎士団長殿だ」


 コンキュートが震えながらグレンに視線を向けると、グレンが殺気を放ちながら剣の柄に手を添え、抜剣の姿勢でコンキュートを見据えた。


「ヒィッ!…申し訳…ございませんでした。何卒…命ばかりは…」


 コンキュートは消え入りそうな声でそう言いながら、両手両膝を突いて平伏した。


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