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咒言鬼神の転生譚 ~神に請われる神殺し~  作者: TAIRA
第1章 地球から異世界へ
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第1話 そうサクサクは進まないわけで


 さて、僕神の世界に転生することにした訳だが、僕神は何をモタモタしてんでしょうね?


《えーと、転生を始める前に、最後の意思確認をするよ》


(あ?意思確認?なんだそれ)


《転生を拒絶する意思があると、越界する時に魂の情報が欠落するんだ。今回の転生趣旨からして、君には完全な状態で転生して貰いたい。それに、欠落が大きいと、他の魂の輪廻に影響が出ちゃうから、この世界の神に後始末をさせる事になる。僕より高位な神に、余計な手間を掛けるのは避けたいんだよ》


(この世界にも神がいるのか。どの世界でも、神ってのは仕事しないんだな?自分のケツは自分で拭け、そしてキッチリ救済業務を熟せと説教してやりたい)


《ちょっ!聞こえてるから!やっと貰えた転生許可を取り消されでもしたら、どうすんのさ!!》


 え、転生って許認可制なの?

 神の世界もお役所仕事ってことか。しかも縦割り社会くさい。

 夢も希望もねーな。


(俺は転生する気満々だ。ちゃっちゃと始めやがれ)


《まったく…。あと、ここを出発したら、途中で止まるとか、引き返すとか出来ないから。今なら、この世界に少しだけ干渉することが出来る。例えば、君の遺品が特定の人へ渡るようにするとか、遺言を伝えるとか。何かある?》


(そういうのはない。が、この世界の物を、お前の世界に持って行くことは可能か?)


《物に依っては可能だよ。僕の世界の法則から外れる物はダメだけどね。あ、ネットワーク機器とかは使えないよ。法則からは外れないけど、僕の世界は文明が未熟だからインフラがない。何を持って行きたいの?》


(どうしてもってわけじゃないが、俺が使ってた武器を二つな。俺は単体戦力だったから、武器がパートナーみたいなもんだ。ナイフは咒式で改造してるし、有ると便利、的な)


 俺のストライクガンは、荷電粒子ハンドガンだ。

 エネルギーパックが切れたら撃てなくなるが、その名の通り、打撃武器としても有効だ。

 バトルナイフには分解と崩壊の咒式を刻んである。

 物理攻撃では分解が発動するから、硬度や物性を無視して断ち切れる。

 崩壊は、不死の咒を解断して死ぬために構築した咒式だが、もしかすると、色葉の救出で使い処があるかもしれない。ないかもしれないが。

 何にしろ、俺と苦楽を共にした相棒たちだ。持って行けるなら、何気に嬉しい。


《あー、あれね。銃の方は、この世界の文明の高さを知らしめる武器だね。ナイフは僕からしても秀逸の一言に尽きる。不完全とは言え不滅の咒を解断するなんて、神殺しの領域に一歩踏み込んだ武器だよね!いいよ、僕の世界に転送しとく》


(あと、細かい事だが、俺の不死をお前は不滅って言ってるよな?不死と不滅は意味が違うと思うぞ?)


《え?ああ、自覚はないだろうけど、君は不死じゃなくて不滅の存在だよ。例え体を消滅させても、君の魂と権能は消滅しない。何千年の時を経ようとも、依り代さえあれば君は復活するよ。ついでに言うと、君がセットだと思ってる自己再生と不滅は、別々の能力だから。ま、その話は僕の世界に行ってから、詳しく説明してあげる。じゃあ行くよ!》


 途端、僕神が異様な雰囲気を放ち始めた。

 何らかのエネルギーだろうか?なかなかに圧倒的だ。

 不意に、俺の意識がモザイク処理をされるかの様に、虚ろで曖昧に薄れていった。



◆◆◆



 唐突に意識が覚醒した。

 うたた寝をしてて目が覚めた様な感覚だ。


「僕が創造せし世界、フレアヴァースへようこそ!」


 少女?少年?中性的で美しく整った顔をした子供がいる。

 というか、そんなビジョンが俺の意識に投影されている。


(…って、ぉお!?お前…僕神?)


「僕神って何さ?変な呼び名を付けないでくれる?僕がこの世界の創造神、クレアティオンだよ。長い付き合いになるだろうから、改めてよろしくね!」


(何故か爆発させたい衝動に駆られているが、よろしくな。で、俺の転生はどうなったんだ?未だに意識だけっぽいんだが)


「まだ僕の世界に来ただけだからね。此処は僕が天界に構築したテリトリーだよ。越界するのに時間軸の調整が必要だったから、境界から此処へ直接入れるゲートを開いておいたんだ」


(ふーん。意味わからん)


「端的に言うと、僕の世界と君の世界には、三千年くらいのズレがある。そのズレが魂に影響しないよう調整する場所、って感じかな」


(マジか。ん?待て待て待て。色葉は転生した後に亜神になって、破壊神を封印してるんだろ。色葉が三千歳なんてこと、ないよな?)


「そんなことないよ。この世界の時間軸で言うと、彼女が転生してきたのは、今から先年くらい前だね。でも、亜神に成る時に肉体年齢を固定したから、外見は若いままだよ。種族特性的にも、彼女の外見は殆ど変わらないんだけどね」


 俺の知能では理解できそうにない。

 世界間の時差?が三千年で、色葉の転生が千年前。

 肉体年齢が固定されたとは言え、精神年齢は千歳…Yes、ふぁんたしー。

 つーか、色葉って俺のこと憶えてるのか?


(なあ、色葉って俺のこと憶えてんのか?何歳で亜神になったんだ?)


「それね、僕も驚いたけど、彼女は君のこと憶えてるよ。自然転生は魂の情報が初期化されるものだけど、彼女は特異な存在だったみたいだね。だからこそ、僕の目にも留まったんだけど。彼女が亜神になったのは十八歳の時だね。銀髪ナイスボディーの美人さんだよ?」


(はぁっ!?何で色葉が銀髪なんだよ!?俺の記憶にある色葉は、身長170cmくらいで、黒髪ロングのスレンダー美人だぞ!)


「いや、だって、彼女は自然転生なんだから、外見が違うの当たり前でしょ?彼女はハイエルフっていう超希少種族に転生したから、神前色葉の面影はないよ。因みに、ハイエルフは大精霊の一種だよ」


(ナンテコッタ。この世界では精霊さんが市民権を得ていらっしゃる。つーことは、俺も外見が変わる方向?)


「君は僕の権能で転生するから、前世の姿に似せるのは可能だよ。君は日本人だけど、鬼の末裔だけあって体格が大きいし、顔の特徴も日本民族のそれとは異なる。君の世界の神によると、闘神が堕天する際の神子として選んだのが、君の時代でいうアラブ連邦の辺りで繁栄してた、古代文明の皇太子だったらしいよ。まあ、日本に定住していた期間が長いから、君も神前色葉も、日本民族の遺伝子がそれなりに反映されてるけどね。それはさておき、僕の希望としては、君には僕が強く推奨する血統での出生を考えて欲しいな。正直に言うと、この機会を逃したくないんだ」


 血統ねぇ。

 俺も色葉も鬼の末裔だから異能っていうか、咒が使えた。

 自分でも外見が日本人離れしてるとは思っていたが、それにしてもアラブ原産か。

 俺の最後の戦場が中東だったのも、何かの因果ってやつかね?


 血統を重視した出生って云われても、この世界を知らないから考え様もないな。

 あ?ちょーっと待て、出生?

 出生の意味:生れ出ること。誕生。

 ゼロスタートかよっ!?


(俺の転生先は僕神に任せる。が、質問がある。俺は産まれるところからスタートか?それと、僕神は前世の色葉の姿をなぜ知っている?)


「回答。産まれるところからスタートです。神前色葉の魂の情報から、前世の姿を確認しました。因みに、君の存在も、彼女の魂の情報で知りました。最後に、僕は僕神じゃなくて、クレアティオンです。おーけー?」


 のっとおーけー!これだけ自我が発達した状態で乳児スタートって、どんな苦行だよ…。

 しかも、魂の情報が取り放題ってどうなの。個人情報保護の概念は?

 神ってのは、ストーカーの最上位互換か?


(あー、もういいや。何を聞いても意味ないような気がしてきた。時間がもったいないし、僕神セレクトで転生させてくれ)


「クレアティオンだってば!」


(だまれ僕神。僕って言うの止めたら、名前で呼んでやらなくもない)


「僕のぉ…。無理、僕って言っちゃう…。もう僕神でいいよ。ちょっと移動するから、僕に付いてきて」


 この場では転生しないらいしい。調整室って言ってたもんな。

 あ、ショックな事が多すぎて、報酬の話すんの忘れてた!


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