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勇者と魔王少女たち  作者: ぴよチキ
9/123

-9- 俺、朝から震えます

ナラヤ:昨日は色々あったな

勇者に任命されてから、初めての朝がやってきた。


「ふぁああぁ~」


俺は盛大に欠伸をしながら昨日起こった出来事を思い出していた。

勇者任命・冒険者登録・初魔法・風呂屋…捕食(スライム)、そして王様やアイラ達 様々な人たちとの出会い…

もう既に朝から疲れが…眠気が……


「おはようございます。ナラヤさん!」


「お〜、アイラ〜おはよぅ〜」


「眠そうですねーじゃあちょっと眠気を覚ますお手伝いをしましょうか。」


「うぇ〜?何する気〜?」


「お父さーん、ちょっときてー!」


まだ半分くらい寝ぼけている俺に小悪魔的な笑みを浮かべて、お父さんを呼んだアイラ。どうやら、アイラのお父さんは基本的に厨房にいるらしい。


「アーちゃん?お父さん今料理中でちょっと手が離せないから要件だけ教えてー。」


厨房辺りから返事が帰ってきた。明るい声色だ。

するとアイラは、


「要件だけー?えっとねー今ねーナンパされてるのー!」


と返事をすると同時に俺の座ってた席の横を通って壁に何かが刺さった。

びっくりして横を見ると…壁に血のついた包丁が刺さっている。

わーすっごい投擲技術!ないすすろー!わー!


「え゛え゛え゛?!」


包丁じゃん!え?はものじゃーん?やべぇじゃんよー?

すっかりパニックになった俺に、ナイフを投げた張本人の声が響く。


「ねぇねぇー、僕の大切なアーちゃんをナンパして無事で済むと思ってる?」


地獄の底から響くような低音ボイスで、尋ねてくるアイラのお父さん。

ごめんなさいごめんなさい。俺は無実です。助けて。マジで。

既に声も出せなくて、心の中でとにかく理由もなく謝っていたら。


「お父さん!大丈夫だよ、ただの聞き間違いだったー」


アイラがお父さんを静めていた。


「な、なーんだ!聞き間違いだったのかー!それならよかった!」


ちなみに、その時俺は会話とか関係なくまだ「ごめんなさい。」連呼を繰り返していた。


「さあさあ、お父さんは戻った戻った!早く料理作ってよね。」


「はいはい。アーちゃん、また何かあったら呼んでね。」


そう言って、アイラのお父さんは厨房に戻って行った。


「どうですか、ナラヤさん。眠気覚めましたか?」


「………」


「ナラヤさん?」


そこまでいってから、俺が震えながら虚空を見つめていたことに気付いたのだろう。慌てながらも宥めてくれた。

しばらくして、落ち着いてきた俺にアイラは言った。


「ごめんなさい。軽い気持ちでこんなことになってしまって…」


「うん…アイラはお父さんに愛されているんだね。」


ナンパ相手に包丁を飛ばすほど。


「はい、たまに言動が行き過ぎてはしまいますけれどもね。」


ナンパ相手に包丁を飛ばすこと?

すっかりトラウマ化している俺だった。

そもそも、ナンパなんてしてないのに。


「あ、ナラヤさん!そろそろ用意しないとダメな時間です!」


アイラに言われて壁にある時計を見てみると6時20分、魔法訓練が7時からで移動には30分ほどかかるので、そろそろ部屋に戻って置かないとマズい時間だ。


「大体あと10分くらいしかないぞ!アイラは用意大丈夫か?」


あとは部屋に戻って荷物を取ってくるだけの俺なら10分でも少し余裕があるが、女の子のアイラが今の状態で1から準備したなら確実に足りない。だから、確定のためにアイラに聞いたのだが。


「流石に用意は既に出来ていますよ、ほらっ!」


そう言ってアイラがポシェットを出した。もう既に荷物まで持ってきて準備万端だったようだ。


「ナラヤさんはあと部屋から荷物を取ってくるだけだったので、10分前にお知らせしたんですよ。」


「おう、じゃあちょっと部屋から荷物取ってくるから少し外すわ。アイラまた後で!」


俺はそう言ってアイラと別れ、部屋に荷物を取りに行くのだった。


ーーーーーーーーーー


「じゃあ、行きましょうか。」


荷物を持ってきてアイラと合流した俺は魔法訓練を受けるために、軽く雑談しながらギルドに向かうのだった。


「あーなるほどな。アイラがギルドの職員をやってるのは様々な人達と会ってみたいからか。」


「はい。宿屋である私の家には確かに多くの人が来ますが、ほとんどが冒険者か行商人なので、他の人とも触れ合ってみたいと思いまして。」


「でも、ギルドも大体冒険者ばかりじゃないか?」


「意外と冒険者以外にも採集した情報を送る研究員さんや、討伐された魔物を下ろす時にお肉屋さん、あとは依頼のためにも色々な人達が来ますよ!」


「へえー、そういう関係もあるんだな。」


と、少し豆知識的な情報も得つつギルドに着いたのであった。


「集合場所は…第2会議室なのでこちらですね。」


アイラに案内され、部屋に入ると今回同じ訓練を受けるだろう人達が座っていた。数は大体20人ちょっとかな?大半が12〜15歳くらいのようだが、数人その中にも大人が混じっている。


俺が座ってからしばらくの間、そうやって周りを見渡しているとどうやら時間になったらしい。部屋のドアがガチャりと開いて、魔法使いの正装である三角帽子とローブを着た男性が入ってきた。どうやら、この人が魔法訓練の教師ということのようだ。

その男性はゆっくりと部屋の1番前にある教卓までいくと、


「皆さんおはようございます。今回の初級魔法訓練を担当させてもらう、ホーマーと言います。これから3日間よろしくお願いします。」


と自己紹介をした。

こうして、俺の3日間の魔法訓練が幕開けたのだった。

アイラ:色々な人との出会いっていいですよね!

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