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勇者と魔王少女たち  作者: ぴよチキ
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-5- 俺、スライムを知りました

スライムに呑まれた。

カヤ:原因は魔除け草やで!

ナラヤ:マジか!

俺がスライムの大きな特徴について分からないって顔をしていたのだろう。

カヤさんはすぐに答えを教えてくれた。


「スライムに共通する大きな特徴、それは…弱いことや!」


思わず目が点になってしまった。


「弱いこと?確かにスライムは弱いですけど、それが今回の件とどんな関係が?」


本題から逸れてきてはいるが、今回のスライムの特徴を聞いている理由自体は、

魔除け草を持っていたことが俺がスライムに呑まれた原因であるという説明のためだ。

…俺もしばらく忘れてたけど


「ナラやんはスライムが生態系の中でどの位置にいるか分かるか?」


「スライムですか?うーん、1番下にいる感じですかね?」


「せや、一部上位種とかがいるけども、基本的にスライムは生態系の1番下辺りに位置しとる。つまりやな、スライムはエサが得づらいんや。」


「それがどう影響して…。」


「気ぃつかんか?エサが得づらいスライムが簡単に得られるエサがあるちゅーことに。」


「あ、なるほど!その簡単に得られるのがこれなんですか!」


俺は魔除け草を見ながら納得する。


「そういうことや、魔物の嫌う匂いを出す魔除け草。でもスライムには匂いを感じる器官がないから普通に近づくことが出来る。しかも食事中も他の魔物に襲われずに安全にエサが取れるちゅーことやな。」


そこまで聞いて、俺は薬草屋のおばちゃんが言ってたことを思い出した。


「油断はしちゃダメだよ!スライムなどの一部のモンスターには効かないんだ、何しろ鼻がないからね!」


スライムに魔除け草、効かないどころか餌としてスライム誘引してました。


「ナラやん、どうしたん?いきなし固まって。」


「あー、薬草屋のおばちゃんに注意されてたのを今になって思い出した。」


「やっぱり、注意はされとったか。でもまあ、普通はスライムに呑まれるちゅー事態は起こらんからなあ…あいつらは基本的に魔除け草を持っとってもこっちが動いとったら近づいてこーへんし。」


「今回俺は魔力切れ起こして倒れてましたからね」


「そういうことや、多分そこら辺の倒木とかと同じ感じに捉えられていたんとちゃうか?」


「勇者なのに…ひどい扱いだ…」


どうも、倒木役の勇者ナラヤです。ってか?

キャスティングミスも甚だしい。


「ちょいとストップや、今普通に流せない単語が含まれとったぞ?勇者?」


「あー、はい俺一応勇者やってます。」


半日前くらいから。


あー黙っちゃったよ…勇者ってやっぱりこうなっちゃうのかな?

なんか下向いて震えちゃってるし…


「わははっ!あーはっは!ゲホッゴホッ…はあぁー」


おぁ!これでもかってくらい大爆笑だ!


「ハフッナラやんが…ッハゆ、勇者やって!ハー勇者やって!」


「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」


「だってさ、初対面の時にナラやんスライムに呑まれとったやん。勇者が、呑まれとったやん?流石にその光景を見た後じゃ威厳もへったくれもないわ。」


…おっしゃる通りです。


「でもまあ、カヤさんが怖がらなくて本当によかったです。」


「怖がる?なんや、ナラやんなんか怖がられるようなことでもしとったんか?」


「いえいえ!別に何もしてないですけど、勇者ということを言った途端に恐怖というか畏怖というか、いきなり態度が変わってしまう方もいたんで…」


「まあ確かに勇者はおとぎ話に出てくる伝説の人物やからなぁ…

強く、賢く、勇ましくある者の象徴となっとるとこもあるし。

まさかそれが、スライムに呑まれとるとは思わんやろうなー」


「もう、それはいいじゃないですか…」


「いやーすまんすまん、ナラやんのあの状況を勇者として置き換えたらおもろくてな。まあ、この話はここら辺にしといたるわ。」


「…ありがとうございます」


「それはそうとナラやんはこの後どうするんや?」


「俺はこの後、ダンデラの方へ戻ろうと思います。ギルドに依頼の報告もしないといけないですから。」


「なるほどな、ワイはこれからチェリブの町へ向かうから暫くはお別れやな。せや、ナラやんにはこれを上げるわ」


そう言うと、カヤさんは液体の入った小さいビンを取り出した。


「これは魔力回復ポーションや、安物で回復量は50くらいやけれども、ナラやんの魔力量なら魔力切れの時に飲めば症状を回復できるで。」


「おお!ありがとうございます!」


「それと、これも必要やろ?」


そう言ってもう1つビンを渡される。


「これは?」


「塩水」


「いや、別にこんなもの要らな…いや、やっぱしもらっときます。」


「せやせや!貰えるもんは全部もらっとくべきやで。

ちゅーことでワイはもう行くわ。勇者は大変やと思うけど頑張ってな。」


「はい。カヤさんも行商頑張ってください。」


そのあと、お互いに握手して俺はダンデラの町へと、

カヤさんはチェリブの町へと向かって行ったのだった。

仲間とは常にそばに居る訳でもないんですよね。

つまりはこれも仲間の形態。

知り合いとも言えるけどもね。

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