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大体堕胎な怠惰10

 パルメザンとエメンタールは、虚の討伐に努めていた。

 ゴルゴンゾーラから貰った爆弾は威力が弱かった。他人の武器を扱うとなると、自分のものとは訳が違う。攻撃の威力が弱まったり、思い通りに操作出来なかったり。これは魔力指数とコアの存在が関係している。


 じわじわと虚を弱らせつつあるが、効果はいまひとつ。パルメザンの武器は固定してしまっているため使えない。外せばいいのだが、リスクが大きい。虚がどんな動きをしてくるかわからない。パルメザンは好奇心をなんとか抑えた。隣にエメンタールがいるからだ。


 爆弾は使い果たしてしまった。虚の枝をある程度折ることが出来たが、あともう少しというところで爆発は終わってしまった。ゴルゴンゾーラは対戦中だ、頼むわけにもいかない。


 パルメザンは悩んだ。もう一度御伽でエメンタールをドーピングし、倒してもらうか。それとも自分が彼女の鎌を借りて撃破するか。より低コストな方がいい。


 ひび割れた地面の上で、虚の葉が揺れた。あと少しなのに、もどかしい。




 一方ゴルゴンゾーラは、更田真打との交戦の真っ只中だ。爆弾を投げ、起爆し、爆破。その繰り返し。お互いがお互いの爆発を避けながら、じりじりと体力を失っていった。避けていても爆風には抗えない。衣服を焦がし、命をすり減らしている。


 どちらが先に武器を切らすか。この勝負ならゴルゴンゾーラの勝利以外ない。コアがある限り、その意思がある限り、爆弾はいくらでも生み出せる。ギアーズの武器はそういう仕組みなのだ。


 その上、御伽。魔力指数に余裕があるうちはいくらでも使える。増強、時間操作、等々。使えるのだが、それを食む暇がない。あっという間に被爆してしまうだろう。それはゴルゴンゾーラもわかっていた。


 焦げ臭い、爆薬の香り。塔の芝生や花も、黒い犠牲者となってしまった。塔の上の小さな戦場。一歩も譲る気などないのだ。


「ン……、クソ」


 真打が忌々しく呟く。ポケットの爆弾を切らしてしまったのだ。残ったのは誤爆防止のケースのみ。眉間にしわを寄せた。それを見たゴルゴンゾーラは口角を上げる。


「ッ……HAHA! AWARE……」


 右手で空気に円を描き、ジャグリングクラブを出した。その数は、とどめを刺すのに十分。ここで決着を付けようとした。のだが、


「……爆弾コレだけなんて言ってねーだろ」


 白衣に隠れて見落としていた。真打はベルトに取り付けた銃を二丁、両手にそれぞれ装備した。銃口はゴルゴンゾーラをとらえている。


「念には念を、ってやつだ」


 引き金が引かれた。


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