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大体堕胎な怠惰5

     『ツインズとツイスト』


いっしょだけど、ちがう。


どっちがどっちかな、


もうそれもわからないね。


でもいいの!


捧げるものを捧げ、潰すべきを潰した。


汚れてしまった正義はどこで洗い流せばいい?


二人は一つになって、交じり合う。


もう他のものなんて要らない、わたしたちだけ。


点と線で、大きな丸をつくろう。


     ・     ・     ・



 ――――男を排除し終えた後、ブーバとキキは国家管理局へ再び足を速めた。


 三つ編みを揺らし、長い白衣の袖を揺らし……。


 国家管理局が出来てから、半袖でも長袖でも、好きな衣服を着ることが可能になった。体温や気温の調節機能、これは全国に普及した。FASは移動する装置であるため、常に国民全体へ機能させることは現在不可能だ。ゆえに別の装置が開発され、それが温度調節の役目を担っている。

パトロールをして人々の危険を察知し働くFASとは違って、これは難易度がある程度低かった。ビル街の要所要所に、エアコンのような機器をビルの壁に取り付けるだけ。それだけで、ほどよい体温と気温を保ってくれる。


もちろん季節感も重視されているのだが、いかんせん日本の季節は極端だ。夏はとことん暑く冬はこれでもかというくらい寒い、という過去の事例がいくつもある。「季節らしさ」よりも、人々の健康への影響を国家管理局は取った。



 駅からまっすぐ歩き、二回突き当たる交差点をどちらも左。

 薄茶色の、教会のような見た目をした国家管理局が姿を現した。十分規模の大きい葦原研究所ラボよりもそれはもっと大きい。所狭しとビルに挟まれてはいるが、階の多さや建物自体の高さはラボ以上だ。


 黒い扉の前に、見張りの警備員はいない。セキュリティに対する自信が裏目に出た、双子は口角を上げ、難なく局の扉を突破する。Яに方法を教わったのだ。


 扉の先には、エレベーターホール。ギアーズやカンラクの手がかりを探すべく、偵察に臨む。


「……隠しカメラ、持ってくればよかったね。」「たしかに……、」


 幸運なことに、ホールに敷かれたペルシャ絨毯のおかげで彼女らの足音はいくらか吸収される。無論、それでも注意は必要だが。


さて、どこからいくべきだろうか? ブーバは少し辺りを見渡し、階段に目をやった。大きなエレベーター二台の間にある、地階行きの下り階段だ。今どき珍しい。


「ブーバ、どこからいく。?」「あの階段を降りよう。……地下にお宝があるかも、」



 そうだね。! と、キキは嬉々とした様子で階段を降りようと絨毯の上をとすとすとす、と歩いた。



 ――――が。




「――……誰ですか?」


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