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畢竟予兆6
「ン~~~~? AH~~、……。
……まぁすカルポォーネ」
「……!」
――――マスカルポーネ? 何コイツ、ギアーズ? ギアーズもスパイを送ってたっつーことかよ? 嘘、嘘だろ、偶然?? わからない、わからない、わからない。
「ゴミ、曰くゥ~~? “バレたら戻ってきてください! それでスパイは終了!”ン~~、と、イウことで、撤退、てったぁAAい」
「あッ、待てお前!」
割れた窓からピエロが逃走した。それと同時に、もくもくと煙幕が育った。……追うことは不可能だ。
――――……ぬかった。
あのピエロは自分と同じ、スパイだったのだ。お互いがお互いの組織に送り込んでいたということだ。不覚。……その可能性をどうして見抜けなかった、自分は。しかも、こちらは深手を負わされ、あちらからは情報と、道具――コアと御伽しか奪えていない。
「宣戦布告だね」
「! Я……」
混乱し、自責の念にかられている茉莉也へ、Яが歩み寄った。その後ろには、原翔の姿も。
「いやはや、これはオドロキだね、一本取られたよ。
……戦争が、始まる」