42/253
あっとうてきてき!3
……崩れていく黄泉を見て、パルメザンが笑う。彼女の武器は、もう元に戻っていた。
「なるほどねえ、ああやって武器を動かせるんだ。面白いね! なあ?」
沈黙。
マスカルポーネの瞳に、憂いが映った。
と、同時に。
――怒りともとれる鋭さが見えた。
「ねえ、パルメザン。……ここの局長にあった?」
「あ? いや、まだだね。一度も見てねーよ」
轟
雷のような音。その正体は、釘バットが地を殴る音。
轟、轟、轟!
……持ち主が口を開く。その前にいるのは、怪訝な顔をした、少女。
「……なぁぁぁぁぁ、お前。
――オレと手を組め」
マスカルポーネ。
彼の美しさが、闇と、憎悪と、狂気を見せた。色素の薄い髪とは裏腹に、黒い。
サイレンのような声が響く。
「オレはな、派遣されたんだ。いわゆる“スパイ”。カンラク局長は元はこっち側の人間だったんだよ!
なあ、お前の強さに見込んで誘ってやる、オレと手を組めよ。それでこのクズみたいな魔法組織を、ぶっ壊す。世の中を語るのは科学! 科学でこと足りる!
――――オレは国家認定研究機関・葦原研究所の人間なんでよォ!!」