あっとうてきてき!2
1
厚い壁を走るパルメザンが、その先のマスカルポーネと合流する。
全速力直後の急ブレーキ。彼女のブーツの底がアスファルト質の壁を削り、砂埃が舞った。
2
じゃきんッ
モーニングスターの柄から鎖を引き千切った。ただの棒と、ただの鎖につながれた星球。
ぶんぶんと鎖を振り回し、虚の方へ
3
投げる。
大きな弧を描き、棘だらけの鉄球が虚構のバケモノへと向かう。
パルメザンは目を光らせ、右の拳を顔の前で握りしめる。獣のような鋭い、眼光。
……――開!
4
バッと拳を開ける。指の一本一本全てに神経が張る。針金のような鋭さと共に!
開いた掌と同時に、星球の棘が、力強い金属の棘が、
伸びた。
鎖につながれた星球の棘は刹那に長さを持ち、黒い鎧に傷を刻んだ。弾けるような金属音。
それを見かねたマスカルポーネが跳躍し、釘バットを振り、
5
降ろす。
轟轟と鎧の壊れる音がする。
瓦礫が崩れる音がする。
虚構の像も、満月も
がらがら
がらがら、がらがらと
消えた。
――――――!!!!!congratulation!!!!!――――――
ツクヨミ‐【つくよみ】
月の虚。黒い月と共にいる。太陽の裏側。頭部は兎、腕は蟹。そして腰から下は獅子。太陽を守りたかった、守れなかった。