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キズとキズナ論考2
その声の主は、【パルメザン】。どことなく近寄りがたい、独特の雰囲気を纏っていた。
緑色と黄色を基調とした服に、拘束具のようなもので体を巻いている。首元の真っ赤なリボンの鮮やかさに目を引かれると、そこには深緑色の宝石のようなものが装飾されていた。これが彼女のコア。
「……いつも思うんだけどさ、その髪型。もう片方ちょん切っちゃえばいいと思うんだけど」
「あ? 知らないの? “アシンメトリー”っつぅーモンだって! 綺麗な見た目なのに、意外と知らないんだねぇ? HAHA!」
パルメザンはこめかみから頬、そしてあごの下まで垂れ下がる右横髪を揺らした。対して左は、頬骨あたりで切られている。うなじまで伸びた後ろ髪と同様、癖の強いカールをつくっていた。
「ふぅん……。本人が満足なら、いいか。……じゃあ、エメンタール。僕らは東区に行くよ、またね」
「うん、気を付けて!」
マスカルポーネが聖女のような微笑みを、パルメザンが小悪魔のような不敵な笑みを浮かべながら、博物館を後にした。
【ゴーダ】がやってきたのはその十分後だった。