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フィルター越しの共闘3

 エメンタールとチェダーがウロと交戦する少し前、【ロックフォール】と【スティルトン】もまた、国家管理局監視塔・南区で敵の襲来に目を光らせていた。


 ――――見張りは全神経を使え。……軍人の鉄則だ。


 大地を踏みしめ、仁王立ちをするロックフォール。彼女は「少女」と呼ぶのには似つかわしくない。どちらかというと「少年」と呼んだ方が的確な気もする。詰襟の黒い男子学生服を身に纏い、膝まで丈のある白いキャバリエブーツを履いている。

 ふわりと風がそよぎ、彼女の藍色の短髪が肌を撫ぜる。それと同時に、芝生に咲く赤と緑のユリに似た花の花弁も揺れた。


「なあ……敵はどのくらい強いと思う?」目線は前を向いたまま、ロックフォールがスティルトンに問う。


 スティルトンは腰を下ろし、自身のコアである真っ赤な数珠を指で弄びながらロックフォールの質問に答える。


「どうなんだろうね……あの眼帯さんは?」


「私たちならいける、と。喜んでいいのか……?」


 五味うずらは不在だ。というのも、別件の職務があるのだ。


「FASの中ってどうなってるんだろうねえ……? 眼帯はあそこに行ってるんだろう?」


「まあ、整備するほどの空間はあるんだろうな。きっとどこかの屋上に停まってるさ、ヘリポートみたいに」


 ――――……少し、賭けに出てみるか。


 スティルトン。彼女は独特の雰囲気を感じる。灰色とも銀色とも言えるその長い髪は重力に任せるまま垂れており、頬にかかる毛束は筒のような形をした赤い髪飾りでまとめている。それだけでも、なんだか呪術師のようである。


「なあスティルトン。私は指扇さしおうぎ捷子しょうこだ。君は?」


「はっ……?」スティルトンが驚くのも当然。ギアーズではソウルネームを使うからだ。本名を明かしてしまってはそれも意味がない。


「ああいや……言うのが嫌なら構わない。だけど、『同胞』には名前を呼んでほしくて。君とは気が合うような気がするんだ」


「というと?」


「……私はな、軍人の家系の生まれなんだ」


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