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御伽の国のコトカ10
「……じゃあ、いきますよ」
うずらが呟いて、手から光る魔法陣を出す。
彼女の両隣に並ぶコトカと闌もそれに頷いた。
最後の一撃を、三人で。
三者三様の武器を携え、聳え立つ敵をじっと見据えた。
それぞれの得物を虚にぶつけ、そこに全神経を注いだ。死にかけだというのに、その体はやはり堅い。コトカは顔をしかめて、虚の鎧を剥がすように鎌に力を入れた。
鎌の先端が虚に刺さった。手前にぐっと引っ張ると、黒い皮がべろりとこぼれ落ちる。
「やった……!」
一枚、また一枚と剥がしていき、虚を壊していく。うずらも闌も同様に、着実に虚の体を崩す。うずらは霧散させるように、闌は粉々にするように。コトカの二倍か三倍の速さで仕事をしていた。
私はまだまだ未熟だ。うずらちゃんのような攻撃の精度も、闌さんのような破壊力もない。今このときでも、その大きな差は嫌でもわかった。
でも。そうだとしても。
少しでもいいから、しずくの一粒ほどでもいいから、私に強さをください。
そう願いながら鎌を握った。