きっとたぶんはじめてのともだち4
――――そうだ、絶対あのときのあの子だ。
その見た目からして、乙はおそらく【チェダー】だろう。五味うずらに、プライバシーの話題を投げかけたギアーズのメンバーだ。
そんな思考を巡らせているコトカなんてお構いなしに、乙は教師に生徒らしからぬ態度をとる。
「紙とか正直興味ないんで、めんどくさいし……あ、コードはちゃんと取りましたよォ。……ン?」
ばちりと目が合った。
まずいまずい、関わらないようにしないと。……慌てて目をそらす。
「……まあ、それならいいんですけど……はあ。……再開しますね」
もしかしたら実は人違いかもしれない。もし本人だとしても、当番が同じにならなければ関わることもないだろう。コトカは冷や汗を流すと同時に、その先の教師の話も聞き流してしまったのだ。
高天原中学校‐【たかまがはらちゅうがっこう】
コトカの通う中学校。家からは割と近い。コトカは2年9組。どの学年も12組まである。
現代では、「部活動」という概念はもうほとんど残っていない。教員に顧問としての労働をさせないためだ。国家管理局教務課が行った政策。代わりに、市の学校合同のクラブチームが存在する。コトカは無所属。