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精製のための聖戦2

「ギアーズの一員となるには資格が必要のようで、魔力指数という数字を用いていました。我々が忌み嫌う『魔法』を、誰がどれほど適性があるか調べるためのもののようです。


指数は時に変化し、特に思春期の女性が高い数字を誇っています。その中でなぜ私が選ばれたのか見当がつきませんが、そういう傾向にあるようです。


そしてギアーズとなった人間は、『コア』と呼ばれる石を手にします。その人物を映し出す鏡と、内部の人間は言っていました。試しに私ので解析を試みましたが、材質などの情報は一切得られませんでした」


 大きな食卓で、安名茉莉也の声が響く。たまにウォッカの注がれる音や、誰かの咀嚼音が聞こえた。彼はたるんだズボンのポケットから、白く輝くコアを研究員たちに見せた。


「このコアがあれば、以下のことができます。


一に、ウロと呼ばれる怪物と戦うための特殊な衣装に着替えること。

二に、その虚と交戦する空間に入り込むこと。

三に、魔法を使うこと。


……魔法は、コア一つでは相当な集中力と意志が必要になります。私も苦労しました。そこで、御伽オトギと呼ばれる琥珀糖に似たものと摂取することで大幅にコストを削減することができます」


 今度は御伽を取り出し、奥歯で噛み砕いた。すると、卓上のカトラリーたちがふわふわと浮きだしたのだ。それを見た研究員たちは僅かな歓声をあげたり、「こんなことがあってはならん」と怒ったりした。


「ええ、こんな忌々しいものは我々にとって必要ありません。国民を欺く憎き魔法。WSCも終わり、ようやくこちらに目を向けることができます。今後は更なる計画を立て、ギアーズ壊滅に努める方針です」


 「何か質問等はございますでしょうか」と茉莉也が全体を見渡すと、真打が手を挙げた。彼と茉莉也は不仲だ。


「“更なる計画”って漠然としすぎてるだろ。具体的には?」


「ッ……お前だってこの担当だろうが! オレばっかに押し付けてねーで自分で考えろ!」


「あ? 十六のガキが口答えすんじゃねえ」


「ちょっ、二人とも」ペレストロイカが口を挟み、二人を宥める。「落ち着こうよ、会議なんだから」


「……チッ」「……フン」


「……じゃ、じゃあ、マリヤの報告は以上かな?」「……はい」


 Яは少し慌てながら、次の報告者の方を向いた。


「次はショウかな? 国内外の研究所の分布データ更新についてだったね」


 ショウと呼ばれた研究員が立ち、茉莉也と同じように発表をした。


 晩餐会は誰かが酔いつぶれるまで続いた。外では透明な雨が降り、その音は次第に強くなっていた。


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