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生命声明5

 それから当番が終わってすぐ、ゴーダは拠点に戻り仮敷島の情報を探った。

 

 仮敷島。

 表向きは「仮敷葬祭」という大きな葬儀屋だが、その裏では数多の殺害依頼をこなす暗殺組織だった。


 この情報はどうやら水面下の社会では有名なようで、その名前を見つけるのに苦労はなかった。しかし、ゴーダが欲している構成員の人数やその詳細などを掴むのはなかなか骨がいった。もちろんイタリアにあるはずがないので、日本で探すしかない。結果的に、目的の資料を持つ情報屋に辿り着くのに長い時間がかかった。全て集めきるまでに年が明けてしまったのだ。 


 この組織はきっと、組織の個人情報を厳重に守っているのだろう。それもそのはずだ、表の顔が濃ければ濃いほど、その裏がばれたときの事態はおぞましい。


 情報の収集をし終え、部屋のソファでその中身を確認した。虚の正体を知るちょうど一週間前の出来事だ。

 

 仮敷島とは、仮敷島姓を持つ人間のみで構成された暗殺組織である。

 その歴史は長く、真偽は不明だが江戸時代から存在していたとも言われている。 

 使用する凶器は刃物や手裏剣など様々。


 などといった文章を読み、そのあと構成員のリストに目を移した。


 見知った顔がいた。



「カマンベール……」


 本名、仮敷島(かりしきしま)たまき。年齢は十三。他にも、身長や体重などの個人情報も包み隠さず晒されていた。

 本当に彼女が父親を殺したのであれば、彼女に手をかけることに躊躇いはない。もしそうでなかったら、吐くまで痛めつけるのみだ。


「カルロ。帰ってたのか」


 玄関からリカルドが上着を脱ぎながらやって来た。そして彼女の手にある資料のパネルを不思議そうに見つめる。


「今まで掴めそうで掴めなかった、父さんを殺した犯人。ようやく特定できる気がするのよ。ほら、仮敷島の情報を買ったの」


「……日本語で読めねえ」

 

 そう言いながらリカルドはパネルを控えめにタップし、表示言語を日本語からラテン語に変えた。


「ちょっと、機械の翻訳は下手くそなのよ。難しくても原文で読まなきゃ」


「いつの時代の話だよ、そんなわけねーだろ。……ふーん……なるほどなあ、葬儀屋……」


「……ともかく、この金髪頭をなんとかしなきゃいけないの。私に任せて」


「えっ、俺は?」


「捕まえた後の拷問を、頼むわ」


 パネルをリカルドに渡したまま、シャワー室へと向かう。リカルドは彼女のその後ろ姿を見やった。……そこには、コルセットピアスという大きなリボンと金属の煌めきが彼女を支配しているようだった。少し、不気味だった。


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