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6  森の中での二人

テンポ良く、を意識して書いたのですが、よくなりすぎた気もします。


取りあえず投稿のためにさっと書いたものですので、後々文章の修正など行うかもしれませんがご了承下さい。


ちなみに最初に堕ちるヒロインかと思われていたフィアさんは・・・まだ堕ちません。

最初に堕ちるのはチラッと出てきたあの子です。

そんなこんなで、ボクが森へ通い出して早くも半年が経過していた。


精霊の事を教えてもらったあの日、同時にボクからもかねてから言おうと思っていた自立のための鍛錬について話したのだ。

それを聞いたフィアは少し悩む素振りをしたものの、ボクからも魔法を教える事を交換条件としてこの森への立ち入りの自由を許可してくれた。


尤も、この森は別にフィアの所有物というわけではないのだがフィア自身が森の中で暮らしている事もあって、一応許可を取っておいた方がいいのではないかと思ったのだ。


そして森への立ち入りの許可とは別に、精霊術に関しても教えてくれるとフィアは言ってくれた。

曰く、それだけ精霊に愛されているのに精霊術が使えないのでは勿体ないし精霊達も可哀そうだから、と。


さて、その肝心の精霊術だが教えてもらってからの最初の数週間は全くと言っていいほど進捗がなかった。


これは諦めたほうがいいんじゃないかな。そう焦る程には。

ボクは精霊の目を持っているわけでもないので教えを請い鍛錬をしたところで精霊の姿が見えるようになるわけではなかったが、それでも諦めずにフィアに教わり続けた結果、ここ最近ではその存在を感じられるようになっていた。


見える、という事に比べれば大した事無さそうに聞こえるかもしれないがよく考えればこれは大したものだろう。


何せそこらに溢れている未知の力に対して、何も感じない、から感じられるようになったのだから。


そうして精霊の力を感じられるようになってからは、全くと言っていいほど使えなかった精霊術も割と自由に使えるようになっていた。

勿論まだまだ未熟ではあったがいざ使ってみた感覚として例えるとするなら、ある直線距離を進むことがあるとして、自分自身の脚でその目的地まで歩いてくのが通常の魔法。そして自転車や車など自身で操作するものではあるけれど他からの力を借りて進むのが精霊術、といった感じ。


そう聞けば精霊術にはメリットばかりあるようだが、実際にはそうでもないみたいだ。


まず精霊術に関する知識がある人間が稀有である事。

そして自分の持つ魔力とは違い、自分自身の努力によって変わるものがあまりないという事だ。


通常魔力とは、各々が生まれながらに持つものであり、普段から魔法使ったり定期的な魔力消費がある度にその絶対量は増えていく。

とはいっても無限に増えていくわけではなくその人自身の限界量というのも勿論存在するのだが。


鍛錬すれば増えていくものの、その上昇値と限界値には人によって差があるという点でいえば体力と同じようなものか。

それでも、努力さえすればどんな人でもある一定のレベルまではいけるという事だ。


その観点からすると、精霊術にレベルに関してはどれだけ鍛錬しようがその力が増えることはない。

なぜならば自分の持つ力ではないからだ。


当然使えば使うほどに、使い方や効率化などは出来るかもしれないが魔力のように力そのものが増すわけではないという事だ。

フィア流に言えばその人自身がどれだけ世界に愛されているか、という事らしい。


本当はもっと専門的で細かい話も聞いたのだが、ボクが理解できたのは大体こんなところ。

この理解した部分についても自己解釈が入っているので違う部分が多々あるかもしれないけれど。


そんなボクが、精霊の存在を感じられるようになってから実に呆気なく精霊術を使えるようになった際にはフィアから「精霊の姿も見えていないはずだし、使役する理論もよく分かっていないでしょうに何でそんなアッサリと使えるのかしら」と言われ「理不尽だわ」とちょっとした八つ当たりまがいの愚痴を言われもしたがそれも過ぎた話だ。


そんなこんなでボクの自立計画は魔法や精霊術に関して言えば途中少し躓いたものの、今現在は実に滞りなく進んでいた。

そう、魔法分野においては。


「ふっ・・・!」


ひゅん、とした音を残し、練習用の大木を斬った剣は斬った後の体制・・・格闘技などでいう残身の形で止まる。


その様子を黙って見ていたフィアは一連の動作が終わったことを確認すると軽く拍手をしながら近づいてきた。


「相変わらず凄いわね。女の子みたいな顔してどこにそんな力があるのかしら」


「いえ、これは別に大した力は必要ないんですよ。必要なのは逆に力を抜くことで・・・って女の子みたいな顔は余計です」


「ふぅん。よく分からないわ。私から見れば凄い事には変わりはないし。他の人から見ても凄いんじゃないかしら。私もこんな森で生活してるくらいだから他の人がどれだけ凄いのかも分からないけれど。・・・でも、シアは不満そうね」


そう、魔法の分野に関しては目標とするレベルまで順調に上達していっているボクであったが剣術に関しては正直手詰まり感があった。

今のレベルでも大木程度であれば斬れるくらいではあるがまだまだ目指すレベルには到達していないのだ。


理由は幾つかある。


まず、この世界の剣術をボクが知らない事。

軽い護身用程度のものだったらたまに屋敷へ来る講師から習っているがボクが目指すのは自分で生活できるくらいの稼ぎがある冒険者だ。

それに加え王都にある学園への入学金も稼がなくてはいけないと考えるとそれなりに危険な依頼などを受けないといけないだろう。

と考えるならばやはり強くないとダメだろうと思っていた。


少なくとも死なない程度には。


何せ魔法のあるファンタジーな世界なのだ。

いつ、どこに、どれだけ強い魔物や人がいるか分からない世界であればできるだけ強くなっておくに越したことはないだろう。


しかしながらきちんとしたこの世界での剣術を知らないボクは、当然そういった剣術を元として作られた剣にもあまり慣れていない。

形状は向こう(日本)で西洋刀と呼ばれるものや一般的なバスタードソードのようなものなど様々なものがあるのだが、ボクが習っていたのは剣道にフェンシング、そして居合いだけだ。


今は片刃の片手剣を使って練習しているのだが・・・自己流にアレンジしてみてはいるもののあまり芳しくない。

少なくとも、ボクが目標とする動きまでは程遠いレベルだ。


そしてもう一つの大きな理由。

それはこの身体であった。


九歳となったこの身体だが、どうやらこの世界の平均的な身長よりも小柄なようだ。

それ自体はまぁ別に気にするところではないのだが、問題は九歳の身体だという事。


当然、身体が小さい分体力も力もない。

そこに関していえば成長と共にどうとでもなるような問題ではあるし、そうでなくとも鍛錬すれば何とでもなるような問題ではあったのだが・・・今はその基礎筋力や体力と剣術を同時に底上げしようとしている状態である。


単純な力と技術。その両方を欲張っているというのは分かるのだが、やはり中々うまくいかないものだ。


(・・・今は出来るとこをやるしかないか。あんまり気は進まないけど、王都で冒険者になる前に誰かに師事して剣術を教えてもらうしかないよね)


それなりに考えて立てていたつもりの自立計画ではあったが、どうやら多少の立て直しが必要になるようだった。




―――☆―――☆―――☆―――



私は孤独だった。


元々村の人達からは化け物扱いされていたのに加え、物心つく前に父を亡くしたのが原因だろう。

唯一の味方だと思っていた肉親をアッサリとなくした私はこの世界自体を拒絶するようになる。


ハーフエルフとして生まれてきたこと自体が間違いだったのだと。


幸いハーフエルフとして他の村人よりも身体能力が高く、多少魔法も扱えた私は父を亡くしてすぐに逃げるようにして森へと移住した。

移住先の森は村から少し離れた所にある辺境の森と言われている場所で、野生の獣や魔獣などもたまに出る決して安全だと言えるような場所ではなかったが元々エルフ族は森で生活していたのもあって、敵しかいないあんな村で暮らすよりもよっぽど快適な生活が待っていた。


父にしか話していない精霊の目のこともあって、気配についてある程度察知できるようになっていたおかげかもしれない。


そうして一人で暮らす生活が始まった私であったが、如何せん暇であった。

村にいた頃も誰かと遊ぶなどしたこともなかったのだが、父の仕事を手伝ったり家事を手伝ったりとすることはあった。

しかし森へ移住してからは必要最低限な家事をするだけで暮らせてしまうので時間があまるようになったのだ。

ここら辺は多少なりとも使える魔法のおかげだろう。


この空いた時間をどうしようか。

悩んだ私は折角なので父が私のために集めてくれていたらしい精霊についての本を読み漁ることにした。


自分にも関わりのある話だ、知っておいて損はないだろうと。


――――――――


森での生活を始めてから早くも数年が経っていた。


その生活は毎日毎日同じようなことの繰り返しで、よく言えば安定した生活、悪く言えば変化のないつまらない生活であった。

元からこの世界に対してあまりいい感情を持っていない私なので、別に平穏だろうが何だろうがどうでも良かったが。


どうせ、私は世界から拒絶されているのだ。

何か変化があったところで良い事ではないのだろうとそう思っていた。


しかしそんなある日、精霊の目を通して森に異変が起こったのだ。

この森へ移住してきて以来精霊について調べていた私はそれなりに詳しくはなっていたが、未だかつてこんなにも精霊が集まっているのを見たこともなければ聞いたこともなかった。


これはただ事じゃない。


そう思った私は不覚にも少しわくわくしたような気分で問題の場所へと足を運ぶ。

そこで、出会う少女のような少年が今後の私の色褪せたような世界を変えるとも知らずに。



――――――――


彼、シアリスと出会ってから半年が過ぎた。


そう考えればシアリスと会ってからそれなりの時間が経ったんだなぁと少し懐かしい気持ちになる。

多少の時間は経ったものの、それでも出会った日の事は鮮明に覚えていた。


何せインパクト抜群の出会いだったのだ。

昨日の事のように覚えているのも当然だろう。


出会ったその日、彼は森の中で血だらけで倒れており今にも死んでしまいそうな怪我を負っていたのだ。


正直魔法が多少使えるといっても大したレベルではない私の治癒魔法では助けてあげることは不可能に近かったであろう。

しかし、彼の周りに集まっている精霊たちはまるで彼を助けようとしているみたいで・・・そこでピンッときたのだ。


この数年間で使えるようになった精霊術を使えば助けることが出来るのではないか?


結果から言えばそれは間違いではなかった。


精霊術を通して彼を治癒するよう命じた途端、待ってましたと言わんばかりに精霊達がその力を使ったのだ。

その様子を見た私は、むしろ私は必要なかったのでは?と思ったくらいである。


まぁ理論的に言えば、ハッキリとした自我を持たない精霊達は自らその力を使うことが出来ないので媒体となる私が必要であったのは間違いではないのだけれど。


そうして助けた彼であったが、私は最初女の子かと思っていた。

というか、疑いもしていなかった。

天使みたいにすっごい可愛い子だな、と。


取りあえず、目が覚めた彼に警戒心を抱きつつも声を掛け事にした。

あれだけ精霊に好かれているものが普通なはずがないからだ。


しかし当の本人はキョトンとした顔をしていて、精霊についても全く知らないみたいだった。

その事でまた少し警戒の度合いを上げた私であったが、その後にそんなことなどどうでもいいかと思われるくらいの衝撃が起こる。

そう、彼女は、彼、だったのだ。


その事で混乱した私は頭を整理するため、細かい話はまた後日しようと言った。

今から思えば人と接触することを嫌い、自分の生きているこの世界に対してでさえ興味がなかった私が言ってしまえば「また会おう」と言った時点で兆候はあったのかもしれない。


本当に興味さえないのならそもそも助けないし、見殺しに出来ないからと助けたにせよその後さっさと追い出してしまえば良かったのだ。

でも、私はそうしなかった。


それから後日改めて来た彼に、精霊に関しての話しをした後逆に彼からも話がある言われた。

内容としては家を出たいので相応の力を身につけたい、と。

屋敷でそんなことをしていればどんな騒ぎになるかも分からなければきっと迷惑もかけてしまうのでこの森を利用させてくれないかというものだった。


この森を使うこと自体に私の許可なんかいらないはずだが彼はきっと律儀な性格なのだろう。

その提案を聞いた私は一瞬迷った。


しかし答えは出ていないはずの私の口からは勝手に言葉が出ていた。

それは精霊について教える代わりに魔法を教えてほしい、というもので言ってから私は自分で自分が分からなくなる。


あれ、なんで?と。


だって、化け物扱いされ気味悪がられるのが嫌だからこの森へ移住したのに何で自分は進んで人と会おうとしているんだろう。

確かに彼は私のことを気味悪がったり、ハーフエルフだと聞いても嫌な顔一つしなかったのだが・・・あれ?なら問題ない・・・のかな?


平静な表情とは裏腹に内心はプチパニックであった。

自分で自分が分からなくなるというのは初めての経験だったのだ。


当然彼はそんな私の内心など知るはずもないけれど、彼の視線に対してやけに落ち着かなかったのを今でも覚えている。


兎にも角にも、私の出した交換条件を受け入れた彼はそれからほぼ毎日この森へ通うこととなった。


そして驚くことになる。

彼の才能に。


魔法は勿論、私が数年かけて使えるようになった精霊術でさえ数か月で使えるようになっていた。

私みたいに精霊が見えるわけではないものの、彼の精霊からの好かれようは助ける時に見ている。

精霊術をもっと上手く使えるようになれば一体どれほどの事が出来るようになるのか私にも想像がつかない程だ。


そんな魔法分野において世間知らずな私から見ても天才以上だと思う彼だが、彼の才能はそれだけではなかった。


格闘技や剣術も人間離れしていたのだ。

いや、世界を見渡せば彼以上の者はいくらでもいるだろう。


そう今は、まだ。


彼はまだ九歳である。

自分よりも三つ程下の、普通であれば両親にまだ甘えているような年齢だ。


一体どれだけの才能を持っているのだろう。

単純に今後どうなっていくのか興味があった。


それに、人間的にも決して嫌いではない。

いや、むしろ好ましいくらいだ。


私がハーフエルフだからといって特別扱いせず友人のように接してくれ、色褪せていた私の世界に色をくれた人。

そして何より、見た目がとっても可愛いのだ。


これはもう、彼が王都へ行くときに付いていくしかない。


他の人間を嫌って森へと逃げた私は、ここ最近ではそう思うようになっていたのだった。

読んでくださった方に感謝を


未だ評価や感想など一つもなかったりするので、誰かしてくれてもいいんですのよ・・・?(チラッチラッ

べ、別にしてほしいわけじゃないんだからねッ


というか、気付けばPVが700を超えていました。

この数字が全てではないのですが、読んでくださってる方がいるんだなぁと思うと感慨深いです。

そして同時に自分のプロットの甘さに今更ながら気付き、書き直したい衝動がガガガ・・・

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