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4  怒れるメイド達と恐れる主人

本当はヒロインであるフィアとの会話回の予定(書き置き、プロット的に)だったのですが、著しくテンポロスな上に何話か続けての説明回っぽくなるので辞めました。


取りあえずは冒険者だのなんだのってやっとそれらしくはなってきた感じですが、幼少期リンスター家編はまだ続きます。

だってヒロインをまだオとしてないですからね(ゲス顔


次回は私が他の作者様方が書かれてらっしゃるハイファンタジーを読んでいても割と好きなシーンである主人公修行編です。強くなっていく主人公を見るのは楽しいですよね。

「ただいま、戻りました」


丁度日も暮れ、辺りが薄暗くなってきたころボクは屋敷のドアを開けそう言った。

すると何故か様々な装備を身につけたメイド達が、扉を開けた状態で立ち止まっているボクの事をホールから一斉にこちらを見つめ、そして何を思ったのかワッと皆で駆け寄ってくる。


それはある意味狩りの獲物を見つけた狩人のようで、当の獲物であるボクにとって物凄い恐怖であった。

考えてもみてほしい。


何故か大剣やらレイピアやら弓やらを装備した八人程のメイドが物凄い勢いでこちらに迫ってくるのだ。

それはもう意味の分からなさや物理的な恐怖やらで混乱のオンパレードである。


「「「シアリス様!!!」」」


「ぇ、あの、ちょっと、え!?」


そうしてあっという間に八人のメイドに囲まれるボク。

そのメイド達は離れにいた頃からボクのお世話をしてくれていたメイド達で、ボクが嫌がらせをされたりした時にフォローや励ましてくれていた者達でもある。


「シアリス様、今までどちらにいたのですか!?」


八人の中の一人が代表してそう聞いてきた。

名前は確かエリスさん、だったはずだ。年齢は分からないけど見た目的に二十歳になったかなってないかってところかな。

人族として一般的な少し茶色の入った長い髪が綺麗な、しっかりとしたお姉さんって感じの雰囲気を持った美人な女性だ。ちなみにエリスさん以外のメイドさん達も若い人ばかりである。


恐らくはボクの年齢に合わせてなるべく近い年齢のメイド達を集めて結果だろう。


このエリスさんを含めたメイドさん達にはそれこそ物心つくかつかないかの小さな頃からお世話をしてもらっていたのでとても感謝していた。

そんな人がとても心配そうな顔でこちらを見つめてきていたのでボクは、安心させる意味も込めて笑いを浮かべた。


「うんと、ゴメンなさい。遊んで最中に森の中に入って迷っちゃいました」


「森の中に!?そんな危険な所へ入るのならばどうか私達の誰でもいいので連れて行ってくださいッ」


「・・・本当にごめんなさい」


本気で心配してくれている事が分かってボクはシュンと項垂れる。

しかし同時に少し嬉しかったりもした。


基本的にこの八人のメイドは先も通り、ボクのお世話役としてとても良くしてくれた人達ではあるのだが、実のところあまり会話らしい会話をしたことはなかったのだ。

故にこの屋敷では本当の意味でのボクの味方はいないものだと思っていたのだが・・・。

どうやらそれはボクの思い違いだったらしい。


心の中ではちょっと喜んでいるボクなのだが傍から見たら怒られて落ち込んでるように見えるのだろう。

エリスさんを含めた他のメイドさん達も目に見えて慌て始めた。


「い、いえ!これからそうしていただければ大丈夫です!取りあえずシアリス様が無事だったというだけで今は十分でございますので!」


「・・・はい。心配してくれてありがとうございます。ボク、もしボクなんかがいなくなっても心配してくれる人なんていないと思っていたのでうれしかったです」


そういって落としていた顔を上げてメイドさん達に笑いかける。

これは、日本に蒼井湊として生きていた時から思ったことはなるべく態度と言葉で素直に示すようにしていたのでこの世界でシアリスとなった今もそうしたのだが一瞬、メイド達の動きが固まった。


(ぁ、怒られた後すぐに笑ったのはダメだったかな)

と、少し反省していたのだが恐る恐る反応を窺ってみれば・・・。

何故かメイドさん達は揃って恍惚とした表情を浮かべていた。


「か、かわぃ・・・ッ」

「この子本当に天使だわ・・・!」

「この仕事してて・・・よかったッ」


「ぇ、あのっ。えと、皆さんはなんでそんな武装してるんですか?」

何か危ない感じがしたので慌てて話題を変える。

日本にいた頃にも似たような空気になった事が結構あったので敏感に察知することが出来た。


すると他のメイド達も割と危険な雰囲気ではあったがその中でも一番恋人にしか見せちゃいけないような顔をしていたエリスさんがハッと我に返る。


「あ、ええとこれは皆でシアリス様がお帰りにならないので攫われたのかと思い・・・不届きな輩がいた場合に備えてまっさt、いえ、探そうかと思っていたところでして・・・」

何か物凄く物騒な言葉が聞こえた気がする。


今回の騒動が誘拐事件ではなくて本当に良かったと思う。危うく死傷者が出るところであった。

いやボクは割と死にかけてたけど。


「わ、わざわざボクのためにありがとうございます。あ、ボクの事はこれからシアと呼んでくださって結構ですので。では、ボクは自室へ戻らせていただきますね」

そうして軽く頭を下げたボクは、「あぁ、これからシア様と呼べるだなんて・・・ッ」と再び天に召されたかのような顔をしているメイド達を置いて逃げるように自室へ戻るのだった。



―――――――――


「でも、今日は濃い日だったな・・・」


自室へと戻ってきたボクはベッドへ横になり思わずそう呟く。


それはそうだ。何せ森で死にかけたのだから。

もう駄目だと思うくらいの怪我であり何とか助かることができたのはたまたまだ。

まさに僥倖というやつだろう。


そう、森の中で死にかけたものハーフエルフのフィアさんと会ったのも夢ではない。


一応、また後日色々話すことになったというのが今日の会話の最後だ。

助けてもらった後、ボクの事を何者かと疑うフィアさんに、身の上話から始まりあの森に入った経緯、そして傷を負った理由などを話す事になった。


恐らく、兄に罠を掛けられたのだと。

急に後ろから殴られた後に痺れ薬を飲ませれ森に放置されたのだ。ついでには体の周りに野生の動物や魔獣などを誘きよせるためのエサを撒かれていたことなども話した。


最初疑いながらボクの話しを聞いていたフィアさんであったが、ボクの話しが終わると同時にポツリと質問してきたのだ。

「あなたはそれでお兄さんを恨んでいるの?」と。


その質問に対してボクは「いいえ」と答えた。


確かに、死にそうになったことに対してはやりすぎだとは思う。

けど立場が逆だったとしたら気持ちは分からないでもないからだ。


離れで暮らしていると話にだけ聞いていた血も繋がっていない弟が急に出てきて自分と跡継ぎ争いをする事になり、挙句に多少教養があるというだけでちやほらされているのだから。

でも言ったように人を殺めようとするのはメッなのでそこは厳しく言いたいところではあるけれど。


その旨をざっくりとフィアさんに言ったところちょっと考え込んだ後に少し笑われた。

しかも「あなたお人好しな上にバカなのね」とまで言われてしまうボクである。

ちなみに少しへこみました。


まぁ確かに自分でも心底甘い考えなのだろうというのは分かってるけど。

それでも誰にだって過ちはあるものだ。特に兄さんであるアルフォードだってまだ十三歳なのだし。

って、そう思えるのはボクが精神年齢的に上だからのかな?


何はともあれ兄さんへの復讐はしないし、周りへの公言も避けることにしたのだ。


そう決めたこともフィアさんに話したのだが、またこういうことがあってもいけないし釘だけは刺しておきなさいよとボクが釘を刺されてしまった。

中々に締まらない話である。

それに随分と大人びた考え方や物腰ではあるがフィアさんはアルフォード兄さんより年下の十二歳らしい。

どうやらエルフの血が入ってることで、適齢期までの成長が早いみたいだ。曰く本人談ではあるが。


何故だかその話をした後から少し態度が軟化したフィアさんに、改めて治癒してもらってことに礼を言ったのだが「私は殆ど何もしていないのだけど。詳しい話もしたいからまた明日ここに来て頂戴」と言われ、明日またあの森へ入らなければいけないことになったのだが、ボク自身も少しやりたいことがあったので丁度良いといえば丁度良かった。


ちなみに、そのしたい事というのは魔法の練習と身体の鍛錬だ。


魔法に関しては色々とできる事、できない事を試すような形で。

身体に関してはシアリスの時はからっきしだった武道に関する事だが、湊としては一応殆どの格闘技において段位レベルだったので、その型などを体力トレーニングを兼ねて体に馴染ませようかと考えている。

余裕があるなら剣術などもやっておきたい。一応フェンシングや剣道などもやっていたがこちらの世界の剣術とは違うだろうし剣自体も慣れないものだろうから。


その全ては早く独立するため。


今日みたいな争いはボクが本家にいたから起きたことだ。

特に当主の座に興味のないボクがわざわざ本家に留まる必要もないので王都にある学校へ編入できる歳になったらここを出ていこうと思っている。

自立するからには自分で学費などを稼ごうかとも思っているのでそのために冒険者になる必要があるのだ。

この歳でお金を稼げるのは冒険者が一番手っ取り早いからね。

本家の方へお願いすれば出してはくれるだろうが、将来家へとお金を入れる気もないボクがそれをすればそれは家の者から見ればただの穀潰しだ。

それは避けたい。


なので冒険者をしつつ稼いだお金で学園へ通うというのが今のところベストだと考えている。

学園を出れば定職につけるかもしれないし、そうでなくとも損をすることはないだろう。


これは何というか日本でいう実にテンプレート?みたいな感じになってきたけど逆を言えば予備知識が多少あるという事。

何も分からない真っ新な状態で挑むよりかは幾分かはマシだろうと考えることにした。


そうなってくるとほぼ毎日でも森の中へ行くことになるのだが、その度何とかエリスさん達の目を掻い潜って行かなくてはいけないのがネックとなってくるのだがそれについては取りあえず明日フィアさんのところに行って考えることにする。

明日一日くらいであれば魔法を使えばどうとでもできるからね。


場所に関してはフィアさんの魔力を探して行けば何とかなるだろうし。


何ともまぁ八歳にしては考える事の多い日だ。・・・あ、もうすぐで九歳か。

この世界でシアリスとなって一日目だけど、将来の事を考えるという事も含め色々な事が起きた一日であった。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。


誤字脱字の報告、アドバイス、感想、評価など是非、お待ちしております


一応続きは今日中に投稿できればなと思っていますが、できるかは分からないのでご了承下さい。

また、メイド達の話もいずれ外伝という形で話していければなと思ってますので、上げた際には読んでみてください。


P.S  PVのほうが地味に250を越していました。小さな事かもしれませんが、読んでくださった皆様に感謝をば...

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