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異世界化した現実世界を救済します  作者: アサクラ サトシ
第一章 『終末の咆哮』
38/143

034 『今後の話(トーク・オブ・フューチャー)』

034です。


※ 11/3 脱字修正

※ 11/16 誤字修正

 パソコン売り場のフロアは主にデスクトップ型が展示されている。カズさんの目的はノート型なのだが展示品はあまり多くはなかった。どうせいただくのであればアップルにしてみてはと提案してみたが「ウィンドウズしか使えないんだよ」とバッサリきられた。

「学生の頃からウィンドウズしか使ってこなかったから、いまさらマックの操作を覚えるのも面倒なんだよ。それに、マックじゃオンラインゲームできないしな」

「アプリゲームもマックだと遊べないことが多いですからね」

 スマートフォンなどのアプリゲームはいまやPC上で遊ぶのは常識となった。しかし、扱っている会社の弊害というべきか、ウィンドウズで遊べるアプリゲームのほうがシェアは多い。

「アプリ系のゲームはいいよ。たしかにガチャはゲーム会社からすれば金のなる木だし、ゲーム単体を売るよりも収益は大きい時だってあるからな」

「それを言ったらオンライゲームなんて課金厨ばっかりじゃん。酷いのなんてガチャを回して強いアバター、装備にサポート、あれやこれや課金してなんぼでしょ?」

 ポニテさんが鼻で笑いながら言った。

「廃課金は定額制以外のゲームだろ。課金させないと運営が成り立たないからな。だいたいお隣の国のゲームがそういった傾向だけどな」

「ゲーム性もアクションもシナリオも面白かったゲームなのに課金アイテムのせいでバランスが大幅にくずれた名作もあったわね。RMTもグレーゾーンだったけれど容認されていたし。もう十年以上も前の話か……懐かしいわね」

 ノヴァさんが遠い過去を思い出すような目をする。

「十年以上も前からオンラインゲームを?」

「真悟さん、あまり年数を口にしないでくれないかしら」

 ノヴァさんは微笑んでいるけれど、その目は笑ってはいなかった。

 謝っても微妙な空気になりそうなので、そうですよねぇという感じで軽く笑った。

「大なり小なりオンラインゲームで遊んでいる奴は、それなりに昔からゲームをしているってことだよ。俺が『Relic』を始めたのは無課金のくせに課金アイテムなどにそこまでウェイトを置いてなかったところだな」

 カズさんがフォローするかのように間に入ってくれた。

「ゲーム内での課金アイテムは、レリック練度の速度アップとレリック武器の耐久度が一定時間削られないアイテムでしたっけ?」

「それと雑魚レリックモンスターの一掃もあったよね。レイド系のダンジョンに入ると使えなかったけどさ。ゲームで遊んでいた時も、そこまでアイテムの恩恵があるとは思えなかったんだよね」

 ポニテさんの言うとおりで『Relic』はアイテム課金に何の魅力がなかったことだ。

「唯一あるとしたらアイテムボックスの拡張だろ? 装備変更などはないけれど、重要なのはレリック練度を上げる際に必要なアイテムが細々としてて多かったんだよな。そのせいでアイテム枠がすぐにパンパンになった」

 カズさんはカメラ売り場でもそうしていたように、展示されたノートパソコンを触りながら会話に参加した。

「僕もアイテムボックスだけはさすがに拡張しましたね。しかも期間限定じゃなくて、一度購入したらそのまま保持されるのはありがたかった。レリック武器の練度を一つ上げるたびに相当数の素材アイテムを揃えないといけませんからね。武器の修復道具も大量に作らないといけないし、ステ値を上げるための食材や調合アイテムも必要だったし……地味にしんどかったですよね」

 四人ともレリック武器をカンストさせているのでうんうんと頷く。

「装備が固定武器だけで防具系は一切ないからな。その代わりに衣類を作ることでアバターは変更できたのはでかかったな。これもやりこみ要素の一つだった」

 従来のRPGであれば防具を変更することで見た目が大きく変わったけれど『Relic』では防具は存在しないので、衣類を作るしかなかった。

「ステ値変動はありませんでしたけど、見た目が変わるのは大きかったですよね」

「話していると、ゲームだった頃が懐かしいな」

「死んだら終わりのデスゲームですからね」

 白の創造主からの恩恵が受けられないので再復活は不可能。死んだら肉体は消滅し、残されるのは適応者となった人間のレリック武器のみ。一度だけ、車道に残されたレリック武器があったけれど、ある意味、残されたレリック武器は墓標のようでもあった。

「もはやゲームですらねーよ。ただのサバイバルだ」

 カズさんは悪態をつきながら次々へとノートパソコンを触れては次のノートパソコンへと移動していく。

 後を着いてくと、ポニテさんのスマートフォンが着信音を鳴らした。

「ごめん、虎ちゃんからみたい。先に行ってて」

 僕らはポニテさんを残してカズさんのパソコン選びに付き合った。

 その間、カズさんとノヴァさんは道中に起きた出来事を話すようにとせがんだ。僕が気絶している間にポニテさんはどうやら取り乱していたようで、僕らがどのような状況に置かれ、戦闘をしていたのかまったく聞けなかったという。なにより、カズさんもスグルさんの裏切りにより死の直前にいたのだから、落ち着いて話など出来るはずもなかった。

僕はこれまで起きたことを掻い摘んで話をすることにした。出会った適正者のことや、ライブハウスで戦い、この安全区域となった切欠でもある新種の鬼人レリックモンスター、ラクズラールについて話をした。

「新種のモンスターっていうのは怖いな。弱点も分からないし、ヘタしたら死んでたかもしれないぞ?」

 自分のほうこそ適応者になったスグルさんに殺されそうになったというのに、心配してくれるのは、なんとも言いえない気持ちにさせられた。人の心配よりも自分のことも気遣ってほしい。

「新種のレリックモンスターにトラップ型のレリック。ゲーム時代になかったもので溢れているのは厄介ね。カズヒデの言うとおり、情報を交換しつつ収集に当ったほうがいいのかもしれないわ。ただ、問題は時間ね」

「ガルズディア復活までの時間ですか」

「そう。復活する時間はおよそ明日の十四時から十五時。それまでに棺をすべて壊すか、諦めてガルズディアが復活してから番人を倒すかのどちらか」

「番人を倒せばガルズディアの弱体化できたとしても、今いる全員がガルズディアと戦ってくれる保証はありません。それに……」

 僕は最悪の結果を想定しつつカズさんたちに話を続けた。適正者はここにいる四人とラブホテルで休んでいる六人。合わせて十人だ。ゲームだったころのガルズディアはレリック練度が50でカンストしたプレイヤーが十四人いてようやく倒せるレイドボスレリックモンスターだ。

 カンストしている適正者は六人。残りの四人は練度もたりないし戦闘経験すら足りていないだろう。加えて、黒の創造主の側にたった適応者が複数人現れでもしたら、全滅はなくとも数名の死者が出てもおかしくない。

「本当に最悪のパターンだな。瞬間復元が三つあったとしても生き残れる可能性が低すぎる」

「そうなると選択肢は一つ。ガルズディアを復活させる前に棺をすべて破壊して番人を倒すこと。厄介なのは棺破壊前に現れる適応者だけよ」

「真悟。そのエクスと日輪(ひのわ)はかなりの適正者と言っていたが信用していいのか?」

「エクスさんは頼りになると思います。問題は日輪さんでしょう。本人がいない所でいうのも気が引けますが、日輪さんは感情の浮き沈みが激しい方で、悪い意味で気分屋のところがあります」

 僕の返答にカズさんとノヴァさんは顔を見合わせて小さく笑った。

「それだとポニ子と相性は最悪かもね。気質は似ているけれど、方向性が違うから同族嫌悪を起こすかもね」

 ノヴァさんは僕らがライブハウスで戦っていた様子を見てきたかのように言い当てた。

 僕の表情を読んだのかカズさんとノヴァさんは二人して僕の肩を叩いた。

「向こうの二人だって異世界とリンクしたこの世界を元に戻したいはずだ。協力はしてくれるだろうよ」

 エクスさんは二つ返事で協力してくれそうな気はするけれど、問題は日輪さんだ。

 僕らが助けに来た時も変に天邪鬼を出して、混乱させられてしまった。なぜかポニテさんと言い争いという場面もあった。二人の関係は最終的に戦闘を続けるに連れて協力はし合っていたけれど、それが今度もうまくいくとは限らないのだ。

「そのエクスたちなんだけどさ」

 僕らの背後からポニテさんの声が聞こえた。

「私たちと一緒というのは無理っぽいよ。詳しい話は戻ってきてから話したいってさ」

 ポニテさんはノートパソコンが置かれた机の上に座った。

「向こうもようやく落ち着いたみたいだし、カズっちとノヴァちゃんとも話がしたいみたい。今後のことについて顔を合わせて詰めたいって」

 時間を確認するとカズさんたちと合流してから一時間近く経過していた。

「少し時間を取り過ぎたな。此処で待っていてくれ。レジ裏に行ってパソコンを取ってくるから」

 カズさんはそそくさとレジカウンターへと向かい、五分後にはむき出しになったノートパソコンを手にして戻ってきた。そのノートパソコンを紙袋の中に入れるのを確認して、僕らは家電量販店を後にした。

 ラブホテルへと戻るとロビーで虎猫さんが出迎えてくれた。

 虎猫さんはカズさんの姿をみるなり駆け寄って、カズさんの空いている手を取った。

「カズヒデ! 無事で良かった。心配したよ」

「おう、この通り足は二本あるぜ。他のみんなは?」

「あたしらがいた部屋に集まってる。ただ、日輪と一緒に囚われていた二人の適正者はダメっぽい。もう心が折れたみたいで、これ以上、戦いたくはないってさ」

 そうだろうとは思っていた。ラクズラールとの戦いで彼らの戦闘意欲は完全に削がれていたからだ。

 話もそこそこにしてみんなが集まっている虎猫さんとハンプティさんの部屋に入り込んだ。

 部屋に入ると、ソファにはハンプティさん。ベッドにはエクスさんと日輪さんが腰をおろしてテレビを眺めていたが、僕らが入ってくるなりテレビの電源は落とされた。

「カズさん、ノヴァ姐さん、無事でよかったよ!」

 ハンプティさんが両手を広げてカズさんたちの帰還を喜んだ。

「お前も無事でよかったよ。かなり活躍したんだってな」

「よしてくれよ。俺はやれるだけのことをやっただけだ。それに、瞬間復元まで使ったから、情けない結果に終わったよ」

 カズさんの褒め言葉にハンプティさんは照れていたが、嬉しそうだった。

 再会を喜んでいると、ベッドに座っていた二人が腰を上げた。

「はじめまして。カズヒデさん、ノヴァさん。俺は弓術士のエクスといいます。隣にいるのは斧術士の日輪」

「はじめまして。日輪っつー名前でプレイしちょりました。二人が戻るのを待っとりました」

 僕らがライブハウスで助けた時と違って、日輪さんはかなり落ち着いた雰囲気になっていた。

 カズさんとノヴァさんが自己紹介をし終え、今後のどのように行動するのか話し合われた。

 まず、カズさんが瞬間復元を手に入れるまでネットやアプリ『R』を使って情報収集を行う話をした。

 それを聞いた上で、エクスさんが口を開いた。

「カズヒデさんの考えは良いと思う。知らないままで戦うのは自殺行為に当たるからさ。棺の破壊も早いほうがいい。残った棺は二つだ……そこで俺たちから提案があるんだが、聞いてくれるか?」

 エクスさんは人前に立って話すのが得意なのか、僕らを上手く自分にへと引き込ませていった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


ほぼ説明的な話になりました。

もっと盛り上がりのある展開ができていればと反省しています。


次回投稿は11/5です。

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