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異世界化した現実世界を救済します  作者: アサクラ サトシ
第二章『消失技術の記憶』
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015(108) 『門(ゲート)』

第二章015です。

「お二人もお目覚めになられたようですから」

 机の両サイドにハインとイリアの姿があった。いつの間に、という疑問もまた驚きはもう抱くことはなかった。

 ハインとイリアは僕らとザラを確認すると深い深い溜息をひとつ付いた。

「ふたりとも気がついたばかりなのに悪いんだけど」

 僕はこれまでのこと、そして遺跡への移動について切り出そうとしたが、ハインが片手を上げて言葉を遮った。

「いい。知っている。いや、見せられていた。夢といっていいのかわからないが、体を復元している最中にお前たちの会話も、ここに来るまでのことも映像として見せられていた」

「同じくよ。さすがは創造主よね。敵うはずがないわ」

 ハインとイリアは肩を落としながらつぶやく。

「それで」

 ダリウスが挙手をしながらザラに問う。

「こうやってまた俺たち適正者が集まったわけだが。どうやってそのシュメール文明の古代遺跡へ行くんだ? 話からすると場所はトルコのあたりみたいだが、飛行機で移動するには、ちと遠すぎないか」

「ご安心ください。航空手段を用いての移動はいたしません。少しお待ち下さい」

 ザラはどこからともなくこちらの世界にあるノートパソコンを机の上に置いた。

 モニターを俯瞰しながら打ち込まれるキータイプはソフトタッチで鮮やかだった。ガチャガチャした耳障りになるような煩わしさは感じられない。

「ねぇ。まさかそんな原始的な機械で移動ができるなんて言うんじゃないでしょうね?」

 イリアは失笑気味に言ったがしかし、ノートパソコンが原始的な機械と思えてしまうのはザラの超科学力を目にしたら仕方ないことだ。

「いいえ、向こうにいらっしゃる協力者の方に連絡を入れているだけです。本当はこのようなデバイスを使わなくても、連絡は取り合えるのですが、みなさんにもわかりやすいようにと思って」

 要は、ザラ一人で完結できるけれど、僕らを蚊帳の外へ置き去りにしないための処置ということらしい。

「協力者というのは」

 僕は分かる範囲での質問を投げた。

「アメリカ諜報員の方をお借りして、三日前よりトルコへ入国してもらっています。私が指定した場所で待機されています。あとは……」

 ザラはタイプしていた指を止めると、改めて僕らを見つめた。

「向こうにいらっしゃる諜報員の方が、ここと同じ異空間を作り上げる装置を起動するだけです」

「ごめん。待って。ぜんっぜん話が見えてこないんですけど?」

 イリアが苛立ったように意見を述べるも、ザラのほうは不思議そうにしているだけだ。

「なんでそんな顔をしているのよ。あのね、あたしたちはあんたみたいに超天才の科学者でもなければ、神もどきでもないのよ。トルコにここと同じ異空間を造ります……で、それがなんでここアメリカからトルコに移動できるってことになるのよ」

「すみません。説明不足でした。同じような空間であれば、地球上の何処へでも移動は可能なんです。この空間自体が瞬間移動装置そのものと思っていただければいいでしょう」

「もう……なんでもありね」

 鼻で笑うイリアにダリウスが顔を向けて高らかに笑った。

「そんなこと、ここへ来た時から知っていたことじゃないか。異世界の超技術の前に俺たちの常識なんて通用しない」

「ただ一つ、問題があります。移動できる人数は一度に三人までです。いちおう、これでも改良を加えたのですが、再移動を行うのに三時間から四時間のインターバルを置かなければいけません。先発と後発の組にわかれることになるのですが、いかがなさいますか」

 僕ら適正者は顔を見合わせた。

 先でも後でもいいとう気持ちもあれば、早く言って設計図と動力源を手に入れる、そして失った仲間たちを取り戻したいという気持ちが湧き上がっていた。

 自分の手で取り戻したいという思いはここにいる誰もが同じだった。

 議論の末、古代種とザラとの戦闘を踏まえた上で、僕とシルヴィア、ダリウスが先発組へと決まった。

 ハインは思うところはあったようで、彼は早々に後発組に名乗りを上げた。誰も口にしなかったが、彼だけが唯一、古代種とザラに敗北している。

 先発組の僕らはザラに催促されるまま、何もない壁の前に立たされた。

「門を出現させます」

 ザラは片手に持ったノートパソコンをタイプすると、淡い青色の光と共に仰々しい鉄製の扉が出現した。

 僕が鉄扉に手を差し伸べようとしたら、ザラが引き止めた。

「シンゴさん。これをお持ちください」

 ザラは僕の手に卵型の球体を持たせた。

「これは?」

「私の人形です。向こうについてからのいろいろと補助をしてくれます。卵の頭にシンゴさんの闘気を少しだけ注入すれば起動しますので」

「わかった」

 僕は卵をポケットに押し込み、鉄の扉に触れた。

 扉は簡単に開き、その先は白く輝いていて何も見えなかった。

「どうか、私たちが到着するまで無理をなさらないでください」

「そのつもりです」

 僕は振り返り、残った三人を見つめた。

「行ってくる」

「ああ、後で」とハイン。

「誘惑に負けないようにね」とイリアはウィンクをした。

 咄嗟に僕はシルヴィアを見てしまった。

「負けても、いいのよ?」

 と、シルヴィアもまんざらでもないような笑顔を見せた。

「とても、これから戦いに行くような雰囲気じゃないな」

 ダリウスが呆れた口調で僕らをからかう。

「いろいろと台無しだよ」

 僕が文句を言うと、ザラは笑った。

「人って面白いですね。余裕があるというのは素晴らしいです。さぁ、お早く。この扉を開け続けることは、エネルギーの消費もまた激しいのです。後がありますので。一歩踏み出してください」

「わかった」

 僕は顔を引き締め、扉の先にある光の中へと踏み込んだ。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

次回投稿は7/16です。

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