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闇に堕ちた魔法使い

 アレクシスのおかげで鳥籠から出ることができたエーデルシュタイン。

 しかし、エーデルシュタインはアレクシスを残して逃げてはいけないような気がしました。

 そこで、アレクシスに一緒に城を出ないかと誘うのですが、アレクシスは首を振るばかり。

 アレクシスは体が城のどこかに封印されているので、心だけで城から出ることができないのです。

 エーデルシュタインは考えました。


 それなら、アレクシスの体を探そう。

 アレクシスの体の封印を解けば、きっと彼は元の生きた人間に戻れるはず。


 そして、アレクシスが止めるのも聞かずに城の中を探し出しました。

 実はエーデルシュタインには心当たりがありました。


 この城に来た日、カミルはエーデルシュタインを城の隅々まで案内してくれました。

 魔法使いの城なので、どの部屋も何かしらの魔力を感じるのですが、その時、エーデルシュタインが特に不思議な力を感じる部屋が一つあったのです。

 城の地下にある墓地でした。


 アレクシスと共に地下の墓地に入ると、エーデルシュタインは不思議な力を放っているものを探し始めました。

 墓地の一番奥、祭壇の前に、黒い棺が一つありました。

 恐る恐るエーデルシュタインがその蓋を開けると……


 そこには、アレクシスそっくりの少年が目を閉じて横たわっていました。

 棺に入れられているのに、その少年は眠っているだけのように見えます。

「これがアレクシスの体?」

 アレクシスは頷きました。

 アレクシスは自分の体がどこにあるのかは知っていましたが、鳥籠の魔法と同じで、今の状態では魔法が解けなかったのです。

「女神の時計を使えば、アレクシスの体にかかった魔法も解ける?」

「分からない。私を封印したのは大勢の魔法使い達だから」

 やってみなければわからないと言うアレクシスに、エーデルシュタインが女神の時計を手渡そうとした時でした。


「どうもおかしいと思っていたけど、まさかあなたが僕の邪魔をしていたなんてね、アレクシス伯父上」

 エーデルシュタインは、聞こえてきた新しい声に顔色を失くしました。

 振り返ると、墓地の入り口に暗い顔で立っていたのは城主であるカミル。


 カミルは驚くべきことを口にしました。

「騙されるなエイダ。伯父上が封印されたのは、その強大すぎる魔力をもてあまして闇の世界に堕ちたからだ。とてつもなく危険な存在だったから一族から封印されたんだよ。そして死んだということにされた」

 エーデルシュタインにはカミルが何を言っているのか、誰のことを話しているのか分かりませんでした。

 分かりたくありませんでした。

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