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ハイシーズン

ジメジメした梅雨が終わり青々とした空が広がる7月中旬。

海斗はニューアクトレスに勤め始めて半年以上が過ぎ、毎日太陽の眩しさを感じる事もなく夜の住人として働いていた。


繁華街の移り変わりは早い。先月末に近くのマーメイドと言うキャバクラが閉店した。

しかし、再来月には運営会社を変えて営業を始めるという噂だ。

こういう事はよくある。要は脱税対策で、幾つかのダミー会社を使い、定期的に潰してまた違う会社名で登記を繰り返す。そうして法人税の未払いや追徴課税も逃れる。

ただしその都度、次の営業許可が下りるまで休業を繰り返すので、客やキャストの信用度が下がるし、捜査や摘発の対象にもなりやすい。そういう店はヤクザ直営店の可能性も高い。

しかし、運営会社は変わるが、店舗名は変えなかったりする為、一般には分かりにくい。2年周期で休業→再開を繰り返す店は要注意と坂東さんが教えてくれた。


マーメイドの場合は企業舎弟が運営しているらしいので、黒に限りなく近いグレーらしい。


そして7月から新しく入店してきた結衣奈さん、リンさんが新たに海斗の担当となった。

結衣奈さんはマーメイドから来た19歳。

リンさんはマーメイドの系列店のジュテームという店からきた21歳。

その他にも5人程新しいキャストがここ2週間で入店し、それぞれ坂東さんと西野さんにも担当キャストが振り分けられている。


ランクとしては結衣奈さんはCランク。

リンさんがBランク。

他の5人もB〜Cランク。

7月はボーナス時期の為、少しでもキャストが多い方がいい。なので、1日平均の出勤人数も先月よりも2割増が最低限必要だった。そのタイミングでのキャストの増加はありがたく、実は優矢くんが先々月より精力的に暗躍していたらしい。


お陰で店内も先月より人口密度が客席、更衣室、ヘアメイク室で高いが、待機席は低いという状態。


それだけ忙しいということで、新たに新人ボーイも2人増えた。

それに伴い、海斗はホール長に昇進し、給料が上がった。そして今月から担当キャストの指名売上金の5%も上乗せされる。しかし、1ヶ月で1度でも遅刻や欠勤をした場合は罰金に加えてこの5%もカットされてしまう。

やはり中々のブラック度合いである。


新しく担当となった、結衣菜さんは速攻で杏奈さんと仲良くなってしまった。多分同じ匂いを感じたのかもしれない。

今では杏奈&結衣菜のナーナーコンビとして若い客とワイワイ接客している事が多い。

ただ、やはり杏奈さんの方がスキルは上で、他のキャストと接客しても力を発揮できるが、結衣菜さんはピンの客や、杏奈さん以外と組んで接客するとイマイチ。でもまだ入ったばかりだし、当分はこのままでとの増田さんからのアドバイスがあったので少し放置気味。


リンさんは九州出身で博多と大阪でキャバの経験があり、意を決して都内に移籍してきたが、ジュテームではあまりうまくいかなかったらしい。

ニューアクトレスに来た初日から自分の指名客を呼んで期待に応えたが、ジュテームより、金額が高いためそれ以降呼べてない。

ただし、場内指名率が良いので、これから伸びていくと増田さんは見ている。

気合いが空回りして落ち込ませないように気を遣ってやってくれと言われている。


そして咲さん。出勤率もお客さん受けも良いため僅か2ヶ月にして早くもBランク入りをはたしている。また、どのキャストと組んでも害がない為、坂東さんも使い勝手がいいと言っている。

まだ、テーブルマナーや、ハンドサインにぎこちなさはあるものの、可愛らしい仕草で微笑ましさを演出し、何とか誤魔化している。



そしてこの7月中旬からお盆前まで常軌を逸した忙しさに見舞われた。連日ミリオン超えで、週末はダブルミリオン超え、月の総売りが3000万に達しようとした時、事件は立て続けに起きた。





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