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ここは、どこだろう?
どこだかわからない。ただ暗い場所に隆二はいた。
視線の先、僅かな光が見える。そちらに向かって歩き出す。
「……?」
視界の先に、人影。目を凝らす。
肩より少し長い綺麗な黒髪、線の細いシルエット。見覚えのある柄の、着物。
心臓が跳ねる。
まさかまさかまさか。
「茜っ」
名前を呼ぶ。叫ぶ。
人影は振り返る。隆二のよく知っている笑顔を浮かべて。
「茜っ」
駆け出す。
会いたかった。ずっとずっと。会って謝りたかった。だから。
手を伸ばす。彼女の右手を掴み、
「あかねっ」
その瞬間、彼女は白い骨となり、闇の中へと崩れ落ちた。