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ついに出会った

憧れのオンワードに出会ってしまった。

あのグループに入ることに?

まさかの展開・・・

「あの、すみません。アカペラサークルがあるって聞いたんですけど、

 どこにあるかわかりますか?」


振り向いた青年が言った。

「入部希望?」


目が印象的な青年だった。有無を言わせない雰囲気で、

従わざるえないようなカリスマ性があった。

さとるが思わず見上げるので、180cmくらいだろうか。


「はい!」

あっ、思わず返事しちゃったけど・・・


「俺は、青山猛。アカペラサークルへようこそ。

 入部するにはテストがあるんだ。今からテストするけど、いい?」


猛はさとるの目を見て、不思議な感じがした。

まっすぐに人を見つめ、奥まで見透かすようだった。

こいつは決めたらやりきるヤツだな、と直感で感じた。

だから、すぐにテストをしたくなったのだ。


さとるは、青山猛と聞いて、耳を疑った。

え?青山って、オンワードのリーダー?一番好きな声の人だ。


驚いて黙ってるさとるに、猛はもう一度聞いた。


「大丈夫?テスト受ける?」


「はい。」


「じゃ、高いドから半音ずつ下がって低いドまで歌って」


これ、オンワードの書いた本で見たことある。


できるかな?

「できる、と自分を信じるのだ。」クリスの声がした。

うん。できる!


「ああああ~♪」

できた!! 


「おっ!いいね~。じゃ、なんか歌って?」


「じゃあ、スタンドバイミー」


その時、向こうから人の良さそうな感じの、

やさしそうな青年が歩いてきた。

遠くから見ても、その風貌は目立った。


「あっ、みつる~!いいところに来た。入部希望者だよ。来いよ!」

「おう!何やるの?」

「スタンドバイミー。」


みつる?若いな。やっぱり、生で見るとかっこいいんだな。


そんなことを思って感心してるうちに、リーダーに言われた。

「始めて!」


「When The Night!Has come・・・」と歌い始めると、

いきなり、2人がコーラスで加わってきた。


うわ~、一緒に歌ってるよ。

この頃からうまかったんだ。CDで一緒に歌うのとは違うな。

この曲はオンワードがカバーしたアレンジが好きだった。

すっげ~。うれしい!感動!


さとるの歌声は、もともとはキーが高い。

オンワードのCDを聴きながら歌っているうちに

低い声が出るようになったのだ。今では一緒のキーで歌える。


「いいんじゃない。うまいじゃん。声伸びるし。これから練習したら、いけるよ。」

と、猛が興奮ぎみに言った。


やった。やっとこれだと思うヤツを見つけた。

猛のグループはアカペラでストリートライブするなどの活動をしているが、

何かが足りなかった。

越えられない壁にぶち当たったような状態だった。


だから、新メンバーを探して、新しい風を吹き込みたかった。

ルックス、声、度胸、どれも合格だった。

いきなり歌わせて、これだけ歌うならやれる。

猛はさとるを絶対にグループに引き込むと決めた。


「うん。いいね。良い声だよ。うちのグループにはぴったりだね。

 やっと見つかって、よかったね。」と、みつるは満足そうに答えた。


これだけの度胸があれば、うちのグループでやれるな。

素直そうだし、猛の強引さにもついていけるだろう、と考えていた。


これまで、猛の強引さについていけず、やめたメンバーもいたからだ。

そして、メンバーは個性派揃いなので、馴染めずにやめた奴もいた。

そして、歌だけではなくて、ルックスのいい奴じゃないとダメだった。

さとるはその条件をクリアしていた。女だということを除いては。


そんな2人の思惑も知らず、さとるは、好きなオンワードに

自分の歌を褒められて、飛び上がらんばかりに嬉しかった。

「本当ですか?やった。褒められた。」


「ちょうどいい。他のメンバーにも紹介しよう。部室にいるからさ。

 こっちに来いよ」

みつるに促され、ついていった。

他のメンバーにも会えるんだ。やった。ラッキー。


そう思ってついて行ったのが、ややこしい関係の始まりだった。


「ほら、ここだよ。入って。」

がちゃっ。

ドアを開けたら、3人が一斉に振り向いた。


圧巻だった。美系が3人揃うとまぶしいばかりだ。


「入部希望者を連れてきたぞ~。」と猛がうれしそうにみんなに言った。


「やった!!もう、テストしたの?」

と、茶髪でやんちゃそうな青年が答えた。


「みつると2人でやったけど、すげ~、良い声してるんだよ。

こんなにハリのある高い声が出る男子はそういないね。」


え?男子?また、間違えられた。

さとるはよく高校の時から男子に間違われた。

部活で鍛えた筋肉質でスラリとした体系。

ショートカットに端正な顔立ち。

街中で女の子に声をかけられることも少なくはない。


「へぇ~、リーダーがそう言うんだから、間違いないな。」と、

落ち着いた雰囲気の青年が言った。この低い声は、和真だ。


「ようやく見つかったんだな。最近ずっと入部希望者をテストして、

うちのグループに合うヤツを探してたからな。見た目もいいじゃん。」と、

おもしろそうな青年が言った。


やっと見つかった?男に間違えられてるけど、大丈夫かな?

一応、男じゃないと間違いを訂正しようと勇気を振り絞って声をかけた。

「あの・・・」


その時、ドアをノックする音が聞こえ、ドアが開いた。


「あの、すみません。早稲田1年の松岡めぐみと言います。

この前の路上ライブを見て、ぜひ、一緒に歌いたくて入部したいのですが・・・」


さとるの言葉は誰の耳にも届かず、みんなはドアの方にいる女の子を見ていた。


「悪いけど、俺らは男だけでやってるから入れないんだ」

と猛がそっけなく答えた。


猛はこのタイミングで来た部外者を少し迷惑に感じていた。


「そうなんですか?じゃあ、またライブ見に行きます。」

そんな猛の様子には気づかず、女の子が答えた。


「ありがとう」と適当に猛は言い、ドアをガチャリと閉めた。


げっ。女の子はダメなんだ。


猛のそっけない態度を目の当たりにして、言い出せなくなった。


リーダー、ちょっとひどい人かも。嫌だな。

猛のことを怖いな、と感じた。


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