七日目 既に堕ちてるんだって。へぇ〜
「嫌だ! 流石にっ、大勢の前で式とか無理だから!」
「何を恐れる。我らの婚姻は全魔族に、そして人間にも広めねばならぬのだぞ」
「ソレが一番無理! 俺はまだ認めてないから! まだ、俺が女とか、認めてないから!!!」
「………また、それか。ヒイロ、ちゃんと認めているだろう?」
「うるせー!!! なんでこんなジョブなんだよチッキショーッ!」
今日もお二方は言い合っている。魔王城に怨嗟の声以外が響いているのはまだ慣れないが、悪くはないと思う。
我らが王の伴侶がこの城に来たのは、三月程前だったか。ふいに現れた彼女は自身の姿に戸惑っていた。後から聞くと、異界から集団で呼び出された学び人達の教師で、ジョブが「魔王の嫁」であると判明して飛ばされるまでは男だったとの事。まぁ、元が異性などこの世界ではよくある事だ。私も、生まれた性別は女だったし。
「まぁ落ち着け。其方が教師だとは誰も気付かぬ。何せ性が変わっている挙句、少女と見間違う姿だからな。周知させる名も、偽名でいい。大丈夫だ」
「ウッ…ウッ……俺の威厳がぁ。折角頑張って、人当たりのいい教師やってたのにぃ……」
お二方の関係は良好だ。傍目から見ても相思相愛だろう。両片想いになった時は家臣一同で頭を抱え連日緊急会議を開いていたが、なんとか収まるところに収まって良かった。
⸺そろそろこの言い合いに決着がつく頃だろうな。陛下が言いくるめ、ヒイロ様が納得する。今日はこの流れが確率が高そうだ。
「ならば仕方あるまい。式服を来た絵を書いてもらって、それを添えて婚姻を周知させようか」
「それなら、まだ………分かった、フィンが妥協案を言ってくれたからな。俺もそれでいい」
「有難う、ヒイロ。⸺そうと決まれば、早速仕立て屋と画家を呼ばねばならんな。ウェン、直ぐに手配を」
ほら来た。私の仕事もな。
「承知しました。陛下」
*
我らが王が婚姻を結んだ。名はスカーレット。
この者に危害を加える者は我らが敵として殲滅する。
魔族一同
そう書かれた手紙が各国に届いたのは、それから二月後の事だった。人間側は酷く混乱したのは言うまでもないが、その頃のお二方はキャンディスライムよりも甘い時間を過ごしていた事は、述べておこう。
今話で一区切り中。




