六日目 ■■として生きる覚悟を
誰が思ったのだろう。この僕が無機物、しかも建物なんていう物になろうとは。
⸺あぁ、また冒険者が来たのか。会話の邪魔だな……少し待て、倒してくる。
「分かりましたわ、風輝様」
*
しかし紅明……君、少し変わったな?
「えぇ、まぁ……私の事はいいんです。風輝様は、どの様な日々をお過ごしですか?」
日々、か……こんな姿になってから一年、まぁ慣れたは慣れたさ。だが、紙とペンが持てないのは未だに不満だな。
「風輝様、勉学が趣味ですものね。……普段の意識は、ダンジョン全体に広がっているような感じでしょうか?」
あぁ、そんな所だ。それと、僕の事は前みたく光人って呼べ。なんだか、距離を感じるからな。それと、話し方もだ、堅っ苦しい。
「……それ光人が言う? ま、そう言われたら戻すしか無いね。で、どう? 人を殺すって行為は」
……正直、最初は躊躇った。だが、僕が生きる為に魔力が必要で、僕を僕として保っている核を奪おうとする侵略者だと強く分からされた時、吹っ切れてしまった。
警告文は入り口に死ぬ程刻んでいる。それでも尚挑む奴は、僕の糧だ。
「……そっか」
紅明、一つ聞く。明石達が勇者をやっていると言っていたな。僕は考えたのだ。時間だけはあるからな。
彼らが魔王を倒したとして、僕らが元の世界に戻れる保証は無いだろう?
「そうだね……多分、帰れない。この世界の創造主様は、一度手に入れた所有物は自分の中に無いとどうしようもない方だから」
創造主、な。僕らには創造主に対する信仰心など無いが、神はそれでいいのか?
「いいんだよ、それで。この世界の生命体からの信仰心だけで、足りてるから。私達を呼ぶ事に同意してジョブを与えたのは、この世界への刺激が欲しかったからだろうし」
……なぁ、紅明。
「なに、光人」
此処に明石達が来ても、僕の事は言わないでくれ。
「……どうして?」
僕、明石にずっと勝ちたかったんだ。何も出来ない様な態度をして、天才。そんな彼に勝負を挑んでも、凄くないと謙遜しながら僕に圧勝していく。
だから……この世界でも、戦いたい。
「そっ、か………分かった。光人の事は、言わないよ」
あぁ。僕は「勇者」に、「ダンジョン」として挑むよ。僕が勝っても、明石達が勝っても………明石達や他の誰にも、僕の事は言わないでくれ。僕と紅明だけの、秘密にさせてくれ。
きっと、先生が怒ってしまうから。頼むよ、委員長。
「………はぁ。そこまで言われたら、仕方ありませんね。そこまでお決めになられたんです。私も、秘密を話さないと、フェアではありませんね」
……紅明?
「⸺私は、この世界で生まれました」




