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一日一話三十分  作者: 針野 あかうめ
四週目 世界観:中世ファンタジー お題:クラス転移
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二日目 帰りたくなかった


「………泣いても良いと思いますわ、私」


 数時間集中していたせいなのか、誰もいらっしゃらないことを良いことに気が抜けたのか、つい独り言を漏らしてしまい、更には普段の口調になってしまいました。

 ですが……泣いてもいいと思うんです、私。だって……⸺自らが逃げ出した地に、連れ戻されてしまったのですから。

 折角、あちらの世界で生きていたのに……授業の途中、気が付けば見覚えのある装飾があって、呼吸が止まりかけましたわ。恐らく、というより確定でしょうが、私がいた事でクラスの皆様が選ばれたのでしょう。その点と、国の愚さに罪悪感を覚えますが、それよりも私は自身の命が大事なんですの。


 この地に気付いた瞬間、先生から教わっていた技術を使って包囲網から離れました。ですが、先生方は私の事を気付かれているのかも知れません。


 ⸺そうでした。私のジョブをお伝えしておりませんでしたね。私は、この国の”第二王女の影武者”です。この国の暗部の関係者の両親の元に生まれたのですが、このジョブのお陰……いえ、このジョブのせいで私が国を離れる可能性が欠片も無くなりました。

 だから、第三国家書庫の中に埋もれていた禁書を使ってあちらの世界に逃げ出したのですが……そのことがバレて、更にはこの世界の為という名の国の為に集団転移に利用したのでしょうね。


⸺⸺くぅぅ〜〜。


 私の下腹部から、間の抜けた音が鳴りました。受けていた授業は四限目でしたからね……日が沈み始めた今、空腹であるのは仕方がありません。


「(……腹が空いては戦は出来ぬ、でしたか? 食糧庫から保存食と飲料水をいくつか拝借しましょうか)」


 食糧庫から必要な物を拝借しながら、思考を巡らせます。私の存在が露見してしまう事は不味いと早々に退室しましたが、もしかしたら……異界を渡った影響でジョブの変化が起こって無いでしょうか? ジョブの変化は、周囲や本人の状況で起こるもの。


 例えば、二人の騎士が片手を失ったとしましょう。

 一人は片手だけでも武器を扱えましたが、もう一人は片手だけでは武器を上手く扱えず、ジョブの方から別のジョブに変わります。国や上司はジョブの判断によって雇う者を測定します。一応、本人の実力も審査しますが、殆ど形骸化しています。


「(確か、騎士団の倉庫に使い捨ての水晶石が保管されていましたね。取りに行きましょうか)」


 幸い、倉庫周りや中には人はいらっしゃらず、手際良く鍵を解錠して水晶石と短剣、回復薬を拝借して鍵を施錠しました。

 その後は城から離れ、王都近郊に存在する廃村に向けて走り続けました。


 *


「⸺『我は求めん、主から授かりし力を拝見することを』………〖鑑定〗」


 ………今の私のジョブは、「級友の助言者」。我らが創造主サマは、私に贖罪をしろと仰られているのですか。

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