一日目 自分勝手なんだ、異世界の国って
コツコツと響く、チョークと黒板が触れ合う音。この音が、僕の眠気をさそ……⸺突然、グラリと顔を支えていた腕が机の感覚を失い、座っていた椅子の感覚も無くなり尻もちをつく。
尻の痛みで目が覚め、辺りを見渡すと教師以外の皆が僕と同じ様に尻もちをついていた。
そして、僕たちは教室の中に居なかった。まるで物語の様な玉座の間とも云うべき場所で、大勢のローブを被った者たちに囲まれていた。
「⸺よくぞ来てくださった、異界の者たちよ」
*
授業をしていた教師と委員長が率先し、話を聞いた。
この世界には魔王が存在し、世界を救うべき勇者は殺されてしまったらしい。この世界は五つを超えるとジョブの精査を受ける。ジョブと呼ばれているが、職業若しくは種族がジョブの判定らしく、魔族になる可能性だってあるそうだ。
そして、ジョブが判明するとその者のジョブに相応しい居場所に勝手に転移するそうだ。稀にジョブが変わる者も居るそうだが、極まれだ。その為、異界から人間を呼び出し勇者のジョブを持つ者を求めた……のが、僕達が呼び出された経緯らしい。
「つまり……敵が増える可能性よりも勇者たる人物が生まれる可能性を取った、という事でしょうか?」
「左様。其方らは命尽きるその時まで、この世界に従うしか無いのだ。理解出来たかね?」
委員長の推測を、宰相と名乗った老人が認める。更に、宰相の言葉を肯定するように、本物の殺生道具を持った兵士達が僕らに武器を向ける。
僕らは、彼らの道具になるしか生きる道は無い様だ。
⸺乱雑に一列に並べられ、順に謎の水晶に手を翳していく。ジョブの名が偉そうな司祭っぽい奴に呼ばれた後、消える者も入ればその場に残る者も居た。そうして、僕の番が来てしまう。
恐る恐る手を伸ばし、水晶へ手を翳す。
「お前は……⸺勇者なり!」




