六日目 存在理由と世界の真実
「ようやくだ……ごめんな、クラーク」
私なんかが居たせいで、本来起こる筈のなかったクラークの死。それを覆す為に、なんだってやった。
クラークの人生を追いかけ、今残る君の存在を集めた。その過程で、シオールや銀河警察の皆から追われる立場になったけど、君の為ならどうでもいい。それに、本来消えるべきは私の方だったのだから。
『ココノエ。ワタシは貴女に、絶大な感謝を述べます。ありがとう』
「何を言う、アルケ。君も憶えていてくれたから、私はここまで頑張れたんだ。私の方こそ、ありがとう」
アルケはピピッと音を出す。どうやら照れている様だ。流石、人気投票でメインヒロインを抑えトップ3に入るだけはある。
「⸺さぁ、世界のルールに反しよう」
*
「何処だ……ここ」
辺りを見れば、荒れ果てた大地。
私はただ、何度嫌だと言っても中学受験を勧める親に腹を立て、家出をしただけなのに。行き場に困り、最近はめっきり来れなくなっていた秘密基地へ向かう途中、触れと言わんばかりに輝いていた木に触れたと思えば、見知らぬ地に居る。
夢か幻かと思い、頬をつねるが痛みが走るのみ。これ以上に確かめるには更なる自傷行為が必要だが、それは必要無かった。
「⸺いき、がっ…くるっ、し……」
聞き齧った知識だが、確か人間は少しでも空気の比率だか何だかが違えば途端に呼吸が出来なくなる……とか何とか。
それが正しい知識かは兎も角、息苦しいのは事実。だが、こんな荒れ地で何一つ持っていない私には如何することも出来ない。膝を付き、大丈夫だと心の中に言い続ける。少しでも焦りを落ち着かせ、呼吸の頻度を抑えなければ。
なのに、呼吸は浅く早くなるばかり。遂には地面に倒れ込んでしまい、このまま、死ぬのかとそう思った時。
『⸺、⸺⸺!』
誰かの声が、聞こえた気がした。
*
「あの時。私が居なければ……私を見つけなければ、君はメインヒロインと出会い、彼女を助けていた。メインヒロインがいれば、君がアグゥーンに道連れの呪いを掛けられた時、彼女の力で呪いは解け、君は生きている筈だった」
昔聞いた、物語の強制力という奴は、ここでは働かなかった。酷い奴だ、私という異分子を排除しようと動いてもいい筈なのに。
クラークが死んだ瞬間、私の頭の中にこの世界の記憶が流れ込んで来た。それは、この世界は物語の世界ということ。青年が自分が生まれた意味と、世界の平和を求めて旅を続ける物語だ。私は、それを読んだ様な覚えも無いし、タイトルも思い出せない。だけど、それ以外のことは全部記憶の中にあった。
その中にあった、一つの質問。
もしも最終決戦でクラークが死んだらどうなりますか。
作者はそれに、こう答えていた。誰かが存在を集めて生き返す、と。そのお陰で、この方法を見つけたのだ。
だから………⸺。
「嘘でなく、本当であってくれよ」




