五日目 最終決戦地は無法者共が夢の跡
ここ数年、この地には流れ者が集まるようになった。
⸺今から十三年程前だっただろうか。邪悪帝国の皇帝アグゥーンと名乗る男が、全宇宙を支配しようと行動を始めた。アグゥーンの支配は極悪の一言では足りない程であったが………今から二年程前、一人の青年が立ち上がった。
彼に賛同し、彼と共に打倒アグゥーンを目指す仲間も数多くいたそうだ。彼は不思議な力を使い、未知の構造の騎士型機体を乗りこなしていたという。
そして、この地で彼らはアグゥーンを撃破した。
………彼の死と引き換えに。
しかし、我々は思い出せない。彼の名前と、その姿を。
彼という人物が居たという事と、彼が全宇宙を救ったことは憶えているのに。彼の仲間達の名前も姿も、憶えているのに……。
それに、この地を離れると彼が全宇宙に平和をもたらした事を忘れるのだ。この地にいる時だけ、彼が全宇宙を救ったことを思い出せる。
この地に居座る流れ者の中には一定数、彼の事を憶えていたくて残っている者もいる。それだけ、多くの人間が彼の光に焼かれたのだ。
そんな地に、また一人訪れた。が、おかしい。
未知の技術で作られた様な騎士型機体……彼が乗っていた、とかすかに憶えている機体。もしかして、彼は生きていたのか? それで、この地に戻ってきたのか?!
そう思い、機体の元へ駆け寄る。俺や俺の仲間、普段は争い合っている連中、機体が見えた奴らが機体の周りを囲む。そうして……⸺。
「話には聞いていたが……本当に、此処に人がいるのか」
機体の中から出てきたのは、女だった。
「……嬉しいよ。彼の栄光を憶えている人が、こんなにもいるなんて」
女は、涙を流した。俺達はいきなり泣き出した女に対してオロオロとしか出来ない。そうして、数分が経った頃だろうか。女は涙を拭いて、俺達に聞いた。
「彼……クラークが死んだ所は、憶えているかい?」
*
俺は女を案内する。幸い、俺が憶えていた。
仲間の一人が俺に耳打ちをし、女が銀河警察の二等星だと言うことを知る。
二等星、ココノエ・イグサ。その名と女であるということ以外、全てがあやふやとも言われた銀河警察一の危険人物……それが、この女?
だが、分かる気がする。彼女を二等星として見ていると、姿や声が認識していないと別の誰かに思えてくる。あやふやと言われる筈だ。
俺は彼女に、何故彼を憶えているのか、どうして此処に来たのかを聞く。
「それは……順番は前後するが、此処に来た理由から言おう。答えはただ一つ、最後に必要なピースが此処にあるからだ。そして、私が憶えていた理由だが……今の人間じゃ、ないからだろうな」




