七日目 独りぼっちの存在さま
天上の湖の上で、独り寂しく思い出す。
『⸺私ね、見たいの。……今の世界が壊れる所。だから、手伝って?』
そう言っていた彼女が我慢が出来ず下に行ってしまい、倒されてしまったのも今は昔。此処に居続け、悪の種を蒔き続ける意味も無いのに続けているのは、彼女への当てつけなのだろうか。
「はぁ……いい加減、辞めねばならぬというのに、我は…」
如何に世界の全てを知ることが出来る天上の湖でも、隣に植物すら無い空間にいることの孤独は埋まらない。ならば下に行けばいいと考えても、我の身体は長く此処を離れると消滅する事が頭に残る。
消えたくない。人間や人外たちが死にたくないと思う気持ちと同じで、我も消えたくない。……彼女の消滅時の苦しみ様を見れば、消えたくないと強く思う。
「⸺な、なんだ?!」
突如、湖に波紋が広がる。慌てて立ち上がり周囲を見渡すと、水の中から何かが飛び出てきた。その姿は、ヒーローの中でも有名なチームのロボットだ。
『⸺お前が、世界に悪意をバラ撒いている悪神だな! 俺達が倒してやる!』
ロボットから声が聞こえる。恐らく、彼らのリーダーだ。だが、悪神……だと?
「我は神などでは無い。我は、この世界を定義する上で必要な存在だ。この世界の物語を紡ぐ視点に必要な、唯一残っているのだ」
『………は? 何を言っている?』
「主らは知る由も無いだろう。教えてやる、数百年前だったか? 我と対となり善の物語を紡ぐモノが、悪に倒された。だから、この世界を紡ぐ物語は全て悪だけになってしまったのだ。」
そう。我はただ、物語の視点を閲覧者に繋げる中継地点であり、必要なだけ悪を生み出す役割を持っているだけで、神では無い。




