三日目 実家のパン屋に、とうとう所属してる組織のボスまで来ました
「⸺いらっしゃいま……せー…」
どうも皆様ご機嫌よう、パン屋と悪の組織幹部を兼任している者です。私の職場は皆、怪人体で集まるので個々人の人間の姿を知らないことが多いんです。そして私、人の癖を覚えるのが得意でして、怪人体であっても変わらないのが人間素体の特徴です。
何故今その事をと疑問に思うでしょう。私だって、今までは堪えていたんですよ? でも、流石にもう無理です。
他の幹部連中が常連になっているという今までの状況の中で必死に爆発を堪えていたのに、とうとうウチのボスと全く同じ癖の人間が来店しやがったのですよ!?
堪えられる訳無いじゃないですか!?
「みっちゃんレジ変わって! 追加焼いてくるから!」
「⸺どぅうえっう、うん!」
不味い、動揺が声にも出てしまった。少し店内を見てからレジを交代する。落ち着け、落ち着け。平常心平常心……ってか、ボス(推定)どちゃくそイケメンやない?! はっ? 惚れるが???
黒髪ウルフに片目隠れて銀目の高身長お兄さん? 無口系クールお兄さんとか癖です好こです結婚しない?
………いや駄目だ、私まだ14だから法律の壁が立ちはだかってる。クソォッッッッ!!!!!
「おーい、みっちゃーん? お姉さんレジ待ってるんだけどー?」
⸺っは!? 危ない、平日の朝っぱらに腑抜けた顔を晒すところだった。常連のOL(幹部その1)の声掛けで戻れたんだ、お礼しておかなきゃ。
「すみません、待たせましたっ」
「いいよいいよ。それよりどうしたの? 気になる人でも出来た?」
気ーにーなーるー??? そりゃもう目の前にいるお前や後ろで大量のアンパンを買い込もうとしているヤツ、そして今小さく笑ってカメろんぱんを盆に載せたイケメソとかが現在進行形で気になってるんですけどぉ!?!?!?
なぁんでただの、ちょっと人気な町中のパン屋さんに悪の組織の上層部が大集結しちゃってるんですかねぇ!? 今ここにヒーローでも来たら朝の客戦争から昼夜問わずの大乱闘になるんだよ!?




