3、伝説
~魔界~
『魔王』自室。
「フッ・・・これで・・・僕達は伝説になれるよ・・・[クロノア]・・・」
『伝説?』
「あぁ・・・そう・・・伝説・・・だよ・・・・」
[魔王]は、微笑みながら言った。
『[魔王]・・・何だか、嬉しそうだな・・・・』
[クロノア]は、[魔王]に近づいて言った。
「あぁ・・・なんといっても、またおあの日々が始まるんだ!!」
コンコン。
「[魔王]様、お茶をお持ち致しました」
「入れ」
ガチャ。
[魔王]の部屋に入って来たのは、艶やかな金色な髪、真っ赤な綺麗な瞳、綺麗な真っ黒なドレスを着た女性だった。
『[魔王]・・・あの女は?』
「あぁ・・[クロノア]は初対面だったね・・・・」
[魔王]はそう言うと、その女性を自分の隣に立たせた。
「彼女は、キマイラ。炎使いの魔女だよ」
『魔女・・・・』
「えぇ・・・初めまして・・・[クロノア]さん・・・これから、頑張って世界滅亡を果たしましょう・・・」
キマイラがそう言うと、[クロノア]は軽く頷いた。
ニコ。
「あ、[魔王]様・・・少し・・・よろしいですか?」
「ん? かまわないが・・・・」
[魔王]はそう言うとキマイラと一緒に奥へと消えた。
[クロノア]は一人残っている。
『[魔王]・・・・暇だぁ・・・・・』
一人、呟きながら。
___________。
『・・・ん?』
「お早う・・・[クロノア]」
『[魔王]・』
[クロノア]はいつの間にか、寝ていたらしい。
「寝ている姿を見ていると、かつて、世界滅亡寸前まで追い込んだ魔物とは思えない・・・」
[魔王]は一人静かに言った。
『フン・・・勝手に言っとけ・・・・』
[クロノア]はそう言うとまた夢の世界へと旅立っていった。
[魔王]は犬のようにして寝る[クロノア]を見た。
艶やかな黒い毛、普段は鋭いが寝ている時は優しい瞳、虎のような大きな胴体。
「フッ・・・・飼い犬に手を噛まれぬように、好きな事をさせるか・・・・」
[魔王]はまた静かに言った。
_世界滅亡計画まで、後少し・・・・・。