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6/3〜6/9

6/3


ハッピーバースデー! 私!

家族でフレンチ食べに行って、前から欲しかったバッグをもらった。

嬉しい! ビバ、誕生日!


――――――――


6/4


どうして誕生日を教えなかったのか、と玻璃に怒られた。


どうしてと聞かれても、そんな話にならなかったからで、付き合ってばっかで「私、誕生日なの」ってプレゼントを強請るようで嫌だったからで……


昨日、お店の休業理由をNECTで聞いた時、心底腹が立ったそうだ。

「今週末祝ってやるから覚悟しとけ」と、果し合いみたいな感じに言われた。


私、玻璃はもっと淡白なのかと思っていた。

あんな告白だったし。


でも、彼氏が彼女がとグチグチ言うところを見る限り、かなりの濃厚野郎ということだろう。


嬉しいけど、なんか戸惑ってしまう。

彼氏らしいや彼女らしいって、どういうことを言うんだろう?

今までと、どう変えればいいんだろう?


初心者の私には、本当に難しい。


――――――――


6/5


昨日誕生日の話で揉めてたからだろうか、琥珀くんが来週菫ちゃんの誕生日だと教えてくれた。


琥珀くんの誕生日は11月22日らしい。

忘れそうだからカレンダーに登録したら、ジト目で見てくる玻璃に携帯を奪い取られ、あいつは勝手に自分の誕生日を登録していた。


そんなことをしなくても、玻璃の誕生日は覚えている。

そのことを伝えると、なぜか頭をぐちゃぐちゃにされ、頬にキスされた。


その後の記憶は、帰宅後の自室……

菫ちゃんたちの前で何をしてくれてんだと、怒り忘れている気がする。


ってか、あー、本当に無理。どうしよう。

今も思い出しただけで、頭から湯気が出そう。


手早すぎない?

貞操の危機だよ、これ。


――――――――


6/6


体育祭の予行と準備。

実際に競技はしないけど、立ち位置や進行の確認だけ。

明日の本番もそれでいいと思うのは、私だけだろうか?


相変わらず、玻璃と琥珀くんの人気は凄かった。

全学年集まる場所だから当たり前だけど、視線の数がヤバい。


そして、「え? あの子が彼女なの? 嘘でしょ?」という声が多かった。

聞こえるボリュームで話すなら、いっそのこと声を潜めず話してほしい。


まぁ今日は、昨日のキスが恥ずかしくて玻璃を避けてしまったから、玻璃や琥珀くんほどの視線には晒されなくてよかった。

ただ玻璃の瞳は怒っていたような気がする。


……NECTで謝ってから寝よう。


――――――――


6/7


体育祭。

疲れた! やりきった! 負けたけど、私は気にしない!


とか、書きたいところだけど、そんなこと本気でどうでもいい。


少女漫画定番の呼び出しをされ、「玻璃と別れろ」と言われた。

実際にあるのかと感慨深くなっていると、押されて転かされた。


正当防衛だな。よし、殴ろう。

ここで怯んだら、捕食対象にされてしまう。

負けられない戦いだ。


この前の蘭ちゃん1人の方が恐かったからか、冷静にそんなことを思っていたら槙田先生が助けてくれた。


呼び出しよりも驚いたのが、槙田先生が一部始終を動画で撮っていたことだった。

彼女たちの行いは、学校に報告されるそうだ。


座り込んで泣いている彼女たちを見ていた私に、槙田先生が「許す必要ないよ」と言ってきた。


その顔や声が冷たすぎて、私まで泣きそうだった。

慌てた様子で駆けてきた玻璃にしがみつくほど、恐怖に芯から冷えて震えていた。


私の顔が真っ青になっていたからか、玻璃に抱きかかえられ保健室に運ばれた。


落ち着いた今思えば、お姫様抱っこされてる!

あ、あ、ああ、恥ずかし! 恥ずかしすぎる!


先生いなくてよかったよね。

誰かに見られていたら羞恥心で死ねる。


いや! それよりも、もっと恥ずかしいことされたけどね!!


抱きかかえられたまま座られて、転けた時に擦りむいた手を舐められた。

通常運転中なら「ばい菌が」って抗議しただろうけど、玻璃の生々しい舌の感触に頭がショートした


あいつ、何してんだよー!

脱線だ。大事故だ。大爆発だ。


ああ、もう、明日のデートどうしたらいいんだろう……

無理だ。私に平常心を保つ術はない。

誰か助けて……


あ、本当の本当に今気づいたけど、玻璃は助けに来てくれたんだよね。

よく見つけてくれたな。

きちんとお礼言わないと。


――――――――


6/8


恥ずかしくてペンが動かない。

日記に残していいのか悩む。

だって、誰かに読まれたらどうするのって話だよ。

だってだって、まさか初チューされるなんて思わなかった。


今日は私の誕生日を祝うというデートで、どこに行くのかと思ったら玻璃の家だった。


食事もDVDも用意していると言われたけど、保健室のことがあったから渋ってしまったら、「食事を無駄にする気か?」と眉を顰められたので仕方なくついていった。

腐ったら勿体ないし、ご飯に罪はない。

ケーキも用意されていて断らなくてよかったと、この時点では思ってた。


そして、ミステリーの映画を見ていたら、突然玻璃に手を取られ「もう痛くないか?」と心配された。

犯人を知りたいから映画に集中したかったけど、ちゃんと「大丈夫」って返した。


本当に、もう痛くなかったしね。

鑑賞中に返事するなんて偉いよね、私。


でも、顔を向けなかったのがいけなかったのか、「俺を見ろ」と耳を噛まれた。

驚きすぎて息できてなかったと思う。


耳を噛むってなに?

漫画の世界だけじゃないの?


頭の中が真っ白の間に、あいつに顔をもたれてキスされた。

それはもう、初心者には理解できない濃厚なやつを。

しかも、ものすっごい長い時間された。


あー! 耳に卑猥な音が、玻璃のヤラしい声が残ってる!

ねぇ! キスってあんなに激しいの!?

苦しすぎて泣くくらいだったんだけど、本当にあんなに体力いるの!?

唇が痛いんだけど!

恋愛のハウツー本があるなら欲しい!


ああ! 書いちゃった! 書いちゃったよ!

絶対に両親の目には触れないところに日記を隠そう。


そういえば、キスしている時に、玻璃が何か言ってた気がする。

何言ってたんだろ?


――――――――


6/9


バイトは1日ずっと高木さんとで、休憩時間に恋愛について相談してみた。


まず、今まで付き合った人数から聞いてみたら「5人」というモテ男発言をされた。

5人って多いよね? そんなことないのかな?


「初デートで家に行くのはどうですか?」の質問には「付き合う前の関係によって変わるんじゃない」と言われ、「付き合いはじめてからキスするまでの期間は?」と尋ねれば「付き合う前にしている場合もあるから、それぞれだと思うよ」と答えられた。


こちとら、花のピカピカ女子高校生なんですよ。

回答、大人すぎません?

もっとこうハッキリとした答えを求めてたんですよ。


相談する相手を間違えたと落ち込んでいたら「彼氏できたの?」とニヤニヤされるしさ。


答えたくないよね。

絶対に面白がってイジられると思う顔してたもん。


でも、相手は上手だった。

答えずに惚けたら「店長に聞いてみよう」と両親にトツされそうだったので、慌てて引き留めて正直に話した。


両親にバレるとか無理。

恥ずかしくて、両親の前で接客できなくなる。


高木さんには、「あー、あの子かぁ」と可哀想な子を見るような目で見られ、「俺で力になれることなら協力するから、なんでも相談してね」と言われた。


なんであんな顔されたんだろ?

騙されてるって思われたのかな?


今日もバイトの帰りは送ってくれたから騙されてはいないと思う。

キスを思い出すから顔を見られなかったけど、玻璃は上機嫌のように感じたし。


なんだろ?

ここ最近玻璃が笑うだけで、ずっとほわほわしてる。

私、幸せなのかもしれない。




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