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5/27〜6/2

5/27


給料日ー! 嬉しい! 嬉しい! 嬉しい!

初めてもらった。

はぁ、幸せだ。

今まで行けなかった高めのカフェに行ける!

いつ行こうかな。


それと、今日から教育実習の先生がやってきた。

各学年2人ずつなので、全員で6名。


私のクラスに来た教育実習の先生は、髪の毛も瞳も光の当たり方で紺色がチラつく感じ。そして、男前。

名前は、槙田柘榴(まきたざくろ)先生。

見事に、女子ワクワク、男子ガーンだった。


菖蒲ちゃんが、「モデルしてほしい!」って興奮してた。

なんだか先生に見られた気がしたけど、きっと菖蒲ちゃんの興奮している声が聞こえたんだと思う。


――――――――


5/28


今日から体育は、体育祭に向けての練習。


私が参加するの全部走るやつなんだよねぇ。

あーやだやだ。

二人三脚とか、玉入れとか、綱引きとかに出たかった。

100メートル走とかクラス対抗リレーとか、本当に出たくない。

目立ちたくないし、遅かったら文句言われそうで嫌だ。


くじ引きで負けるなんて運がなさすぎるよ。


――――――――


5/29


なんでだ? どうしてこうなった?


いつの間にか、玻璃野郎と付き合っていた……

お買い物とかじゃなくてピンク色の方……菫ちゃんと琥珀くんと同じカップルの付き合うだ……


書いてる今でさえ混乱してる。


今日、果敢にも玻璃野郎に告白した子が、そう断られたらしい。

目が血走ってる蘭ちゃんに問いただされて、小さい悲鳴をあげてしまった。

「知らない」とは言えず、というか蘭ちゃんの顔が怖すぎて声が出ず、その間に自己完結した蘭ちゃんに「友達だと思ってたのに」と叫ばれ走り去られた。

いや、友達じゃなくてただのクラスメート……


とりあえず、噂の根源である玻璃野郎に確かめたら「は? お前オッケーしただろ」って言われた。


記憶を総動員して考えたら1点思い出した。


そう、あれは、バイト上がりに玻璃野郎が私を待っていた時だ。

「ちょっと付き合え」と言われたのに、向かった先は私の家だった。


そう、あの時だ。


おかしいと思ってたけど、あれは彼氏だから送ろうと思ったのだそうだ。


え? 命令口調で告白した割に、彼氏だからとか考えるの? と本気で驚いたら頭を叩かれた。


私、彼女なんでしょ? ひどくない?


それに、あいつはあの時「何か用だった?」と尋ねたら、「別に。ちょっと治安が悪化したからな」と答えた。


いやいや、告白が用事になるでしょ。


謎すぎて確認したら、玻璃野郎の中で告白はお店の前で終了していて、その後に送り届けることになったので、「何か用だった?」は送ることに対して聞かれた思ったらしい。


怒られながらも詳しく聞いて、なんとか理解できた。

気持ちは追いついてないけど、「付き合うのは覆らねぇからな」と言われたので、私は今超絶美形の初彼氏がいる。


書いていて、思ったけど……


はぁ? もっと分かりやすく告白してよ!

ドキドキしたかった!

人生初の告白にドギマギしたかった!


そもそも、あいつは本当に私を好きなのかな?

好かれている自信全くないんだけど、付き合うってこんな感じなの?


いいや! 菫ちゃんと琥珀くんはピンク色を纏っている! 絶対に違う!


怒られるとは思うけど、明日もう1度聞いてみよう。

モヤモヤしときたくない。


――――――――


5/30


意味が分からない……古典や英語並みに意味が理解できない……


まず玻璃野郎は、私をペットとしては好きだそうだ。


はい、ここから意味不明。

何言ってんだ、あいつ。


しかも、もっと意味不明なのが混乱している時に言われた「別にいいだろ、ちょっとしか付き合わねぇんだから。お前が俺を好きなんだし問題ない」だ。


私が固まってしまったからだと思う。

「だから、ちょっとしか付き合わないんだから気にする必要あるか?」と、追い討ちをかけられたのだ。


話を聞いていた琥珀くんに「玻璃の言い方が気になると思うけど、無視して大丈夫だよ。あいつのちょっとはものすごく長いから」と微笑まれた。

それはもう天使かと思うくらい可愛らしく微笑まれた。


はい、琥珀くんも意味不明。

何も大丈夫じゃない。


というか、別れる前提で付き合うってどうなの?

あいつにとっては遊びの一種か?

いやいや、そもそもどうして私が玻璃野郎を好きだからなんだ?

私が、いつ好きだって言った?


え? 私、自意識過剰に巻き込まれてる?


――――――――


5/31


玻璃野郎のことは、菫ちゃんに話を聞いてもらって心を落ち着けた。

菫ちゃん曰く「んー、相当紫陽花ちゃんが好きだと思うんだけどなぁ。琥珀くんもそう言ってたし」らしい。


ふむふむ、なるほど。


ここで私は閃いた。

あいつは、恥ずかしくて私を好きだと言えないことに。


可愛いところもあるじゃないかと、なんか一気に心が軽くなった。

初彼氏が苦い思い出にならないと分かった安心からかな?

ふわふわして嬉しいって思えた。


そういえば、今日帰りに玻璃野郎……彼氏になったから玻璃と呼ぼう……玻璃と槙田先生が仲良さげに話してた。

知り合いなのかな?

覚えてたら聞いてみよう。


――――――――


6/1


お給料で懐があたたかいので美容院に行ってきた。

毛先を揃えてもらって、初めてのヘッドスパなるものをやってもらった。

はぁ、ものすっごく贅沢した。

美容院で、あの金額出すなんて初めてだった。

大人になった気分。


帰りにドーナツを買って、サラサラになった髪の毛にルンルンになっていたら、途中で玻璃が待ち構えていた。

付き合ったことより驚いたよね。


「え? ストーカー?」と溢したら、めちゃくちゃ怒られた。

だって、どこにいても現れるんだから、普通そう思うよね。


ドーナツを奪われたことと、毛並みがよくなった髪の毛を存分に触らせたことで許された。


許してくれなくていいから、ドーナツ返せ。

30分並んだんだぞ、おい。


なんだか知らないけど、機嫌がよくなった玻璃に家まで送られ、夜のバイトの時も送迎された。


あれ? あいつ、私のこと好きすぎじゃない?

あーやばい……嬉しい……


――――――――


6/2


今日は、お店にご飯を食べにきた時と、バイト終わりに家まで送ってもらう時に玻璃に会った。

「大変じゃない?」って聞いたら、「別に」と言われた。


私に会いたい方が勝るってことだろうか?


そこまでは恥ずかしくて聞けなかったけど、目が合った時にふっと笑いながら頭を撫でてきた手が優しかったから、勝手にそう思うことにした。


これがカレカノか。

なんだか全部が恥ずかしいな。




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